「通信文化新報」特集記事詳細
2026年11月9日 第7378号
【主な記事】
地域の持続性確保に貢献
伝統的建造物群保存地区 愛知県豊田市
足助郵便局 空き家対策の窓口に
総務省の「地域の持続可能性の確保に向けた郵便局の利活用推進事業」に採択された足助郵便局(柴田伸行局長、愛知県豊田市足助町本町)の実証事業開始式が10月20日、同郵便局近くの古民家・田口家(伝統的建造物認定/観光案内所)で行われた。郵便局周辺は伝統的建造物に認定された古民家が立ち並ぶ。歴史を感じさせる町並みが保存されている一方で、高齢化が進み、空き家も多く見られる。同事業では、郵便局が地域住民の相談窓口となり、空き家対策や関係人口増加に取り組む。
江戸時代末期から明治、大正期の古い建物が残る。この地区は、文化庁から2011年6月、重要伝統的建造物群保存地区に選定された。伝統的建造物は所有者が申請する形で認定される。認定されると、外観の改修費用の8割は市の補助金を活用できるが、外観は元のデザインを保持しなければならないといった制約もある。
老朽化する建物に、所有者は「何から始めればいいのか」「どこに相談すればいいのか」という悩みを抱えているという。
郵便局は地域の人が気軽に来て話ができる場所でもあり、この課題に協力する。
柴田局長は「家族のことなど何気ない話の中で、相続などの話も出ることがある。まだ相談するほどでもないという場合でも気軽に相談してもらえれば」と話す。相談を受けると郵便局では、その内容を整理して、支所や専門家などにつなぐ。
同事業では「空き家の勉強会」(10月20日と12月上旬)、「空き家の悩み事個別相談」(11月~、来年2月)「足助の魅力を知ってもらうための地域外の人向けのイベント」(11月上旬~中旬の2回)により、空き家を考えるきっかけづくりや関係人口創出につなげる。
豊田市、古民家再生を手掛ける「㈱つぎと」(大阪府貝塚市、内田一平代表取締役)、足助まちづくり推進協議会は5月、「足助の町並みを活用した地域活性化の推進に関する連携協定」を締結した。同事業を運営する「OSSA」(豊田市足助町、横地朗社長)はこの協定に基づき設立された。
同事業では、高齢化が進み空き家が増えている同地区で、歴史ある町並みを次世代に引き継いでいくため、家を維持していく人の課題を一体で捉えるという考えの下、同事業に取り組む。足助地区の人口は8月1日現在で6451人。そのうち、65歳以上は3037人で、高齢化率約37%。
セレモニーには関係者や地域住民ら約15人が出席。同事業を運営する「OSSA」の横地社長が「地域の皆様に身近な郵便局と一緒に取り組めることを心強く感じている。一つひとつ丁寧に取り組み、実証実験がこれからの足助に関わるきっかけになれば」とあいさつした。
同事業を主催する総務省の菅野諒郵便局活用課推進官は「総務省では、郵便局が地域の身近な存在として行政サービスや住民支援サービスを一体的に提供するコミュニティ・ハブとして活用する取り組みを進めている。地域の皆さんの声を聞き、必要な支援につなぐことや地域外の人が足助に関わるきっかけづくりは、郵便局が持つ地域のつながりを生かした意義深い取り組み。成果や課題を実装に生かすとともに、他の地域の参考になることを期待している」と述べた。
続いて、日本郵便の大角(おおがく)聡東海支社長が「本事業の本当の価値は空き家をきっかけにこの地域に関心を持つ人とつながり、この地域に関わってみたいと思う人が増えていくことだと思う。そこに大きな可能性がある。つなぐ役割を郵便局が担わせていただく。そこに実証事業の大きな意義がある。郵便局は地域との接点がある。地域とのつながりを今回の事業にどうつなげていくのか。実証事業はその可能性を探る大切な一歩になる。地域の皆さんから率直な意見をいただき、求められていることや課題を一つひとつ確認しながら足助に合った仕組みを一緒に作っていきたい」と同事業への抱負を語った。
事業説明で柴田局長は郵便局の役割について「全国で空き家が増えており、課題になっている。所有者がどう考えているのか。郵便局が相談窓口になり、支所や専門家など関係者にうまくつないでいければと考えている」と述べた。
続いて、郵便局に設置される「空き家相談所」の看板の除幕式が行われた。(4面につづく)
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