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2026年9月14日 第7370号

【主な記事】

全国郵便局長会 森山真専務理事 地域社会の崩壊招く民営化
郵便局の経営体質が弱体化
求められる不断の見直し

 


 改正郵政民営化法が成立したが、全国郵便局長会の森山真専務理事は、民営化の弊害を是正するために不断の見直しが必要だと語る。株主資本主義からの転換の動きを指摘したうえで、日本郵政グループの組織形態について、「公共性」の維持が担保され、グループが一体的に経営できる組織形態構築の必要性を強調する。そして、金融2社に対する上乗せ規制を直ちに撤廃すべきと主張する。
 
■6月に郵政民営化法等の一部を改正する法律(以下「改正民営化法」)が成立しましたが、郵政民営化についての思いをお聞かせください。
 郵政省時代、郵便局は国から税金を一円も投入することなく、独立採算で公共的な使命を担い全国津々浦々まで郵便、貯金、簡易保険の3事業のサービスを提供していましたが、貯金、簡保で集められた資金を財源とする財政投融資について、数々の問題が指摘され社会問題となり、その改革のため「財投の入り口を止める」との名目と「民でできるものは民で」というスローガンの下に「民営化ありき」で郵政民営化は議論が進められたように思います。
 私は役人時代、郵政民営化準備室で郵政民営化を進める立場におりましたが、郵政民営化の現状が評価されないのは、そもそも将来の少子高齢化、人口減少や過疎化、都市部への一極集中やIT化、DXなどの急速な進展や変化に対する現状認識、将来予測などの十分な議論や検証がなされないまま、とにかく「民営化ありき」で進められてきたこと、また民営化に当たって各社が円滑に運営できる緻密な制度設計がなされなかったことが原因ではないかと思います。
 当時、与党内での議論を目の当たりにしておりましたが、郵政民営化に反対する意見が、圧倒的に多数を占めていたと記憶しています。そのような状況であっても郵政民営化は成案化され、郵政解散を経て成立しました、その後、郵政民営化の弊害が顕在化し、一度目の郵政民営化法等の改正が行われ、本年再度の改正が行われました。
 20年前では想像できなかったほど我が国の社会環境が大きく急激に変化しているということかもしれませんが、冷静で丁寧な議論、検討が行われていれば今のような厳しい状況は招かなかったのではないかと思います。
 前回、今回の法改正は民営化後に生じた様々な弊害を是正するために行われたものです。これからも残された弊害を是正するために不断の見直しをお願いしたいと思います。
■郵政民営化によってどのような弊害がもたらされたと考えていますか。
 お客さまの視点で郵政事業の現状を見れば、民営化前よりも良くなったことを見出せていません。郵便局の現場でお客さまと接している社員や局長は民営化によりお客さまに対してかえって不便やお手数をお掛けしていることが増えていると感じていると思います。
 当初の郵政民営化法審議時、国会で、与党が作成した「郵政民営化すればバラ色の社会が到来する」という「あすなろ村の郵便局」という紙芝居に対して、衆議院の委員会で野党議員が郵政民営化をすると「村には誰もいなくなり郵便局は無くなる」という内容の「あすなろ村の惨劇、そして誰もいなくなった」という紙芝居を発表しましたが、今は「あすなろ村の惨劇」の状況に進んでいるのではないでしょうか。郵政、郵便局の現状があまりにも符合していることに感心しています。
 まさに郵便局の経営体質を弱体化させることにより地域社会を崩してしまいかねないことが最も大きな弊害と思っています。
■郵政民営化法が改正されましたが評価をお聞かせください。
 6月に民営化法等一部改正法が成立しました。今回の法改正のポイントは公的な業務を郵便局の本来業務と位置付けられたことだと思います。郵便局の位置付けが大きく変わったと認識しています。20年前の民営化後も郵便局で働く局長や社員の皆さんは変わらず地域において公的な存在である意識を持ちつつ、郵便局を郵便・物流、金融サービスの提供拠点として日々これらのサービスを提供されてきたと思います。近年、郵便局は、社会環境の急激な変化を受け、国や地方公共団体からその業務の一部を担うことを求められるようになりました。今回の法改正は社会の要請に合致していると高く評価しています。
■「基盤的サービス提供業務」が日本郵便の本来業務に追加されました。地域住民の生活を支えるために、郵便局はどのような役割を果たしていくべきだと考えていますか。
 郵便局の役割は今までにも増してしっかりと地域に根差し、地域に存在することが重要と考えます。郵便、貯金、保険の3事業のサービスに加え、新たに基盤的サービスを提供できることにより、今まで以上に地域のお客さまのお役に立つことができます。郵便局、郵便局長は、お客さまの利便性の向上に努めながら、しっかりと地域の声を聞き、様々な地域課題を見出し、解決に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 ただ、少子高齢化や人口減少、急激な過疎化などで日本の社会自体が縮小していく中で、地域の状況やお客さまの利便を踏まえながら郵便局の最適な配置を考えることも避けられないと思います。(2面につづく)


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