「通信文化新報」特集記事詳細
2026年8月31日 第7368号
【主な記事】
郵便局の利活用推進事業
地域の持続性の確保へ 8件が決まる
総務省の「地域の持続可能性の確保に向けた郵便局の利活用推進事業」(募集期間5月29日~7月10日)の採択事業者が8月10日、公表された。14件の応募があり、有識者の評価を経て8件が採択された。今年度は前年度までに得られた「行政サービス」「医療・保健」「買い物支援」「デジタル支援」の4分野の課題を提示したうえで、それらの解決も含めて事業内容を企画し、申請してもらった。
採択されたのは①北海道十勝郡浦幌町「郵便局を活用した行政・地域支援拠点・フェーズフリー分散備蓄の実証」(申請者:一般社団法人十勝うらほろ樂舎)②宮城県牡鹿郡女川町「新しいモビリティ導入と郵便局の移動支援拠点化プロジェクト」(同:女川みらい創造)③愛知県豊田市足助町「山村地域の担い手創出事業 ~郵便局が地域住民・関係人口予備軍の窓口になる~」(同:OSSA)④三重県北牟婁郡紀北町「郵便局を核とした医療×買い物の地域ハブ実証」(同:MIYAMA)⑤大阪府河内長野市「リモートご遺族サポート窓口と市内全局での図書受取・返却事業」(同:河内長野市)⑥兵庫県豊岡市「郵便局を拠点とした「住民接点を活用した生活支援モデルの実証」(同:豊岡市)⑦島根県大田市「地域の暮らしを支え豊かにするコミュニティ・ハブ〝暮らしの郵便局〟モデル」(同:石見銀山生活観光研究所)⑧岡山県真庭市「郵便局を核とした「医療×行政×物流」の多機能コミュニティ・ハブ化」(同:アクシスITパートナーズ)の8件。
課題については、行政サービスのオンライン診療では「デジタル機器に不慣れな利用者の支援には時間を要することから、局員の通常業務との両立をどう図るか」「プライバシーに配慮した環境の確保」、同医療保険では「聞こえにくい利用者と医師との円滑なコミュニケーション」「診療時間までの待機環境の確保」「オンライン診療と服薬指導で、接続システムが異なる場合の局員の負担」、同健康教室では「積雪や季節、天候などにより、活動量が低下することに対する対応」などがある。
買い物支援では「郵便局で購入・受け取りできる商品と利用者のニーズがマッチしない場合の対処策」「郵便局内で食品を販売する場合、来客が集中する時間帯に局員の業務負担が増えることに対する運用の在り方」「無人販売で在庫が切れた時の連絡などの運営体制」。
デジタル支援では「スマホ教室の参加者はデジタルリテラシーにばらつきがあり、個別対応の負担を抑えた効率的な指導・支援プログラムの作成」などがある。
各事業者は課題を踏まえた実証事業を提案している。北海道浦幌町の「郵便局を活用した行政・地域支援拠点・フェーズフリー分散備蓄の実証」は、浦幌局、厚内局、上浦幌局、吉野局の4局で実施される。郵便局長が地域コーディネーターとして、来局した高齢者に声掛けや安否確認を行う。役場職員が郵便局に出向き行政相談を行う(各局1か月に1回)。防災の一環として、町の保存食を郵便局に備蓄するとともに、局内で無人販売も行う。災害時には町が所有する保存食を無償で提供する。
宮城県女川町の「新しいモビリティ導入と郵便局の移動支援拠点化プロジェクト」は女川郵便局で実施される。女川町は東日本大震災で津波の被害にあった地域で、住民は近くの高台に移転した。役場やスーパーのある中心部は低い場所にあり、バス便も少ない。買い物などに不便を感じている高齢者が多いことから、自動三輪車を貸し出す。郵便局は鍵の受け渡しや社会福祉協議会の協力を得て、乗り方の講習も行う。
このほか、宮城県が提供する脳トレや、防災情報などを配信する町公式LINEの登録サポートやスマホの相談を実施する。スマホの使い方の悩みを共有するため、郵便局内にスマホお悩み掲示板を設置する。
愛知県豊田市の「山村地域の担い手創出事業~郵便局が地域住民・関係人口予備軍の窓口になる」は足助郵便局で行われる。郵便局が空き家の利活用についての講習会を実施する。空き家お悩み診断が必要な人には専門事業者を紹介する。空き家の利活用と共に地域ネットワークを利用し、関係人口の創出にもつなげる。
三重県紀北町の「郵便局を核とした医療×買い物の地域ハブ実証」は桂城郵便局で実施する。オンライン診療やバイタル測定などを行う。同地区では高齢者が多く、買い物支援が求められている。商店はあるが店主が高齢で営業時間が短くなってきていることもあり、住民からは生活に欠かせない食料品や日用品を郵便局で販売してもらいたいという要望があった。無人販売で要望に応える。
大阪府河内長野市の「リモートご遺族サポート窓口と市内全局での図書受取・返却事業」には、河内長野局、河内長野南花台局、河内長野緑ケ丘局、河内長野美加の台局、三日市局、河内長野高向局、河内長野青葉台局、河内長野千代田台局、千代田局、河内長野松ケ丘局、河内長野本町局、河内長野野作局の12の郵便局で実証が行われる。
リモートご遺族サポート窓口は、河内長野南花台局、河内長野緑ケ丘局、河内長野美加の台局の3局に開設。郵便局と河内長野市をオンラインでつなぎ、死亡後の家族の行政手続きのサポートを行う。死亡後は国民健康保険や介護保険、国民年金、葬祭費用の一部助成など、多くの手続きが必要となる。説明や一連の手続きで1時間から2時間、掛かることもあるという。
同市ではオンライン予約システムが整備され、手続きの場所を郵便局にすることができる。郵便局で市の説明から行政手続きまでを完了できる。手続きの内容は、カメラで撮影され、市側が保存。書類の署名はタブレットでできる。
このほか、各郵便局では窓口で図書館で借りた本の返却や予約した本の受け取りができる。
兵庫県豊岡市の「郵便局を拠点とした住民接点を活用した生活支援モデルの実証」は但東中山局、久畑局、但東局の3つの郵便局で、それぞれ、買い物支援や、市役所が遠い地域向けの地域巡回サービス、運動器具を使った健康づくりが行われる。
買い物支援では、移動郵便局の車両を活用し、買い物支援や行政の出張相談を行う。地域巡回サービスは行政窓口と民生委員と郵便局の連携体制を構築する。
島根県大田市の「地域の暮らしを支え豊かにするコミュニティ・ハブ〝暮らしの郵便局〟モデル」は、石見銀山大森局、志学局、井田局、馬路琴ケ浜局の4局で実施する。石見銀山大森局では近くの会社の入力作業を請負う。このほか、各郵便局では災害に備え、スマホの充電やWiFiでの通信も提供する。日用品や観光土産の無人販売や健康教室、スマホ教室も実施する。
岡山県真庭市の「郵便局を核とした医療×行政×物流の多機能コミュニティ・ハブ化」は、湯原局と二川局で、買い物支援や、オンライン診療・服薬指導(二川局のみ)、オンライン行政窓口を実施する。
買い物支援は郵便局のタブレットまたは利用者のスマホで注文し、郵便局で受け取る。買い物した商品やオンライン診療で出された薬はコミュニティバスを利用して配送される。
今年度の同事業の予算は1・7億円。複数の郵便局の場合は上限が2000万円、単独局の場合は上限が900万円。
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