「通信文化新報」特集記事詳細
2026年7月6日 第7360号
【主な記事】
改正郵政民営化法が成立
全国郵便局長会 宮下民也会長
将来に向け「全特ビジョン」策定
待望された郵政民営化法改正が実現し、郵政事業は新たな転換期を迎えた。全国郵便局長会の宮下民也会長は、会員が一致団結し、大きな環境変化に適応する必要があると強調し、全特の将来の方向性を示すために「全特ビジョン」を策定する方針を示した。国民共有の財産で、社会の生活インフラである郵便局ネットワークを次世代へ確実に引き継ぎ、地域住民の生活を守るため、積極的かつ果敢に取り組んでいくと語った。
■5月に全国郵便局長会会長に就任されました。就任の抱負をお願いします。
5月の全特長野総会で会長就任の際のあいさつで話したことですが、会員が一丸となって、郵政事業、郵便局を取り巻く幾多の困難をいかに乗り切っていくかということが非常に大事だと思っています。進化論で知られるダーウィンは「真に生き残るものは、最も強い者ではなく、環境の変化に最も適応した者である」と述べています。やはり全特が今の時代に乗り遅れることがないようにしていく必要があると思っています。
例えば、女性社員の比率が急速に高くなっていくといった状況の変化に対応して、局長会の在り方を検討し、改革を進めていく必要があると思います。
私は、全特を取り巻く様々な課題の解決に向けた取り組み、方向性を示していきたいと考えています。特に、将来に向け「全特ビジョン」というものを策定します。全特には、いわばバイブルとして『礎』がありますが、全特が将来どのような方向に進んでいくべきかというビジョンを示す必要があると考えています。
「地域密着型」という我々の理念に基づき、日本郵政グループの中期経営計画とベクトルを合わせながら、我々の将来ビジョンを描くということです。その際、「選考任用」「不転勤」「自営局舎」という三本柱は非常に重要ですが、それも時代に合わせていく必要があると思います。
また、前島密翁の偉業について学ぶ機会を設けたいと考えています。昨年、全特の役員で前島記念館を訪問し、館長から前島密翁の偉業を詳しく聞かせていただきました。前島翁は日本のインフラの基礎を築いた方で、郵便だけではなく、電信・電話、鉄道、金融、教育など様々な分野で重要な役割を果たしました。その発想力の原点がどこにあるのか、前島翁であれば、現在の厳しい郵政事業の状況についてどのように考えただろうかという興味が湧きました。ぜひ局長さんに前島翁の発想力などを勉強してほしいのです。
■会長就任以来、多忙な日々を送られています。
6月15日に能登半島を訪れましたが、まだまだ復興が進んでいないと感じました。こうした中で、北陸地方郵便局長会の石田尚史元会長は、伝統の揚げ浜式製塩を継承する「奥能登塩田村」の運営責任者を務め、本当にご苦労をされながら地域活性化に尽力しています。被災によって人が住まなくなった場所にある郵便局をどう運営するかが、非常に大きな課題だと聞きました。ただ、「郵便局が残っていることは本当にありがたい」という、地域の方の声も聞きました。
国土交通省も能登の復興に力を入れていただいていますが、全特も最大限バックアップしていくことを約束して戻ってきました。
■6月19日に改正郵政民営化法が成立しました。「基盤的サービス提供業務」が本来業務に追加されたことの意義についてどうお考えですか。
今回の法律改正により、日常生活、社会生活の基盤となるサービスの提供や社会貢献を、本来業務に支障のない範囲でという限定はありますが、郵便局が業務として行えることとなりました。
民営化後、利益の追求が強調されるようになりましたが、我々の一丁目一番地は「地域貢献」です。地域に恩返しするという局長の活動が、今回法的に認められたことは非常に嬉しいことです。
集落支援員、地域の自治会の運営や公民館、地域の図書館の管理などは、地方だけでなく都市部でもニーズがあると思っており、そういった点も含め、会社に幅広く検討することを申し入れていきたいと思います。
■法改正により、日本郵便に「常に経営を適正かつ効率的に行うよう努めなければならない」ことが義務付けられました。
経営効率化は、企業である以上、当然であると思っていますが、経済合理性のみで論ずることなく、将来の我が国の社会の状況を踏まえ、郵便局が公益的、公共的なサービスを提供していくことを前提として取り組んでいく必要があると考えています。
■地域の一次産業の振興における郵便局の役割について聞かせてください。
以前から、地域の農産物、海産物については、ふるさと小包としての販売などをしており、地域では一定の評価を得ているところです。しかしながら、生産者の後継者不足や生産者が直接作物を持ち込める身近な「地方卸売市場」の統廃合や閉鎖が進んでいることから、総務省の実証事業として、静岡県や秋田県では、農産物配送・流通に関する実証が行われています。また、栃木県では、郵便局の人材やネットワークを使って、地方の農業が抱える雇用の問題を一緒に解決するという取り組みが行われています。このような取り組みが今後、全国に展開していくことを期待しています。(2面につづく)
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