「通信文化新報」特集記事詳細
2026年6月8日 第7356号
【主な記事】
いんどう周作参議院議員 地域住民のためのサービス展開を
先端技術で生産性向上
収入源の多様化も重要
自民党のいんどう(犬童)周作参議院議員は5月13日、参院決算委員会で質問に立ち、我が国の地域の暮らしを守っていくため、日本郵便の今後の業務のあり方に関し、日本郵便株式会社法において同社の目的として規定されている「郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務」に重点を移していくべきだと強調した。また、同時に、日本郵政に対し、日本郵便への業務支援の一環として、新たなAI技術の活用などの徹底した生産性の向上のための設備投資を積極的に行うべきと主張した。さらに、日本郵政、日本郵便の子会社・関連会社について質問した上で、収益源の多角化の観点からも、地域の暮らしを支えるサービスにつながるような業務展開を子会社・関連会社の活用により図っていくことが重要だと指摘した。
いんどう議員は、日本郵政、日本郵便はいずれも法律で設置されている特殊会社であり、両社の目的は法律で定められているため、その目的に沿って経営が行われているのか、目的をどの程度達成しているのかについて、国としても監督していくことが必要だと指摘した。
その上で、日本郵政の法律上の目的が「日本郵便の経営管理、業務の支援」であることを踏まえ、まず、日本郵便の厳しい経営状況を確認した上で、日本郵便の現状に関し、民営化が行われた約20年前と比較し、我が国が人口減少局面にあることやこの間、社会のデジタル化が進展し、郵便物数も減少の一途であること(郵便物数は2001年度の262億通をピークに令和6年度には126億通とほぼ半減、年賀状についてもピークの2004年時点の44.5億通に対し、今年は7億5000万通と相当な減少)について言及。今後、文化的な側面を持つ手紙、はがきは一定数維持できても、大きく改善していくことはないとの見通しを示した。
このような状況の中、いんどう議員は、日本郵便として引き続き郵政三事業のユニバーサルサービスの維持を図っていくことも重要である一方、我が国の最大の課題である人口減少・超高齢化の地域の暮らしの維持の観点から、現行の日本郵便株式会社法で同社の目的として定められている「郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務」にこれからは重点を移していくべきだとして、そのための対応策として、二つの方向性で考えなければならないと主張した。
一つは法律を見直し、時代の変化に合わせて目的や業務内容を見直していくことであるとし、この点については現在、自民党が各党、各会派の協力を得ながら、郵政民営化法等を改正する議員立法を今国会で提出することを目指しており、この法改正事項の一つとして「郵便局を活用して公共サービスやその他の地域住民が日常生活・社会生活を営む基盤となるサービス」を郵便局の新たな本来業務として位置付けることとしていることに言及した。
さらに、いんどう議員は「日本郵政、日本郵便自らもしっかりと経営努力をしなければいけない、これが二つ目の対応の柱だと思っている」と述べ、「フィジカルAIやエージェンティックAIなど新たな技術が出てきている中、こうしたものを徹底的に活用し、生産性の向上を更に上げていく必要がある」と指摘した。その上で、現在、日本郵便が人手不足や赤字基調にある中、持株会社である日本郵政が「日本郵便の業務の支援」という目的に沿って、積極的な設備投資を行っていく必要があるとし、同社の認識を問うた。
日本郵政の加藤進康副社長は「DXやAIに投資を行い、それらを活用して抜本的な生産性向上とコストの削減を図っていくことが必須だと考えている。日本郵便ではこれまで、配達ルートを最適化するシステムの全国展開、あるいはメール等によって事前の配達通知を行うことにより、不在の再配達率を削減する取り組みなどにより、生産性向上を行ってきたが、まだ十分とは言えないと考えている」と答えた。
また、日本郵政が、グループ各社の顧客の名寄せの鍵となる共通IDの開発、独自のポイントサービスである「ゆうゆうポイント」など、共通システムを整備することによって、グループ全体として利便性の向上とデジタル化による効率化を支援してきたと説明、「日本郵便においては、AI、ロボットアーム等先端技術を活用して荷物等の区分け作業を自動化していく、あるいは生成AIを活用した効率的な運送便や配達ルートの設定、各種業務の自動化などによって抜本的に生産性向上とコスト削減を図っていきたい」と述べた。
さらに、「日本郵便におけるこれらの投資を支援するために、日本郵政は昨年6月に6000億円の増資を行った。ただ、更に追加的な投資財源が必要な場合には、投資効率を見極めながら追加の支援を検討していきたい」とした。
加藤副社長の答弁を受け、いんどう議員は、日本郵政に対し、引き続き積極的な設備投資、徹底した生産性の向上に期待したいと述べた後、併せて、収益源の多様化の観点から、既に収益源になっている不動産事業のほかにも、日本郵政、日本郵便の子会社・関連会社を積極的に活用していくことが重要と指摘した。
その上で、特に、地域の最後の砦と言われる郵便局ネットワークを拠点に、子会社・関連会社も活用しながら、地域の暮らしを支えるような様々なサービス展開を図っていくことが日本郵政、日本郵便の設立目的に沿ったものであるとし、日本郵政としての見解を問うた。
日本郵便の西口彰人副社長は「地域住民の利便性に資するような新規業務をしっかり行っていく必要があると思っている。まだ小さい規模だが、例えば子会社のJPロジスティクスは自治体向けの災害備蓄品の輸送や保管業務を行っている。また、他の子会社では、コロナ禍でのワクチン接種に係るコールセンター業務、最近の自治体の行う物価高騰対応給付金の事務局の仕事も請け負わせていただいており、まだ小さいレベルではあるが、こういったことを通じて、地域住民に喜んでいただけるような側面も持った新規業務、収益源の多様化に一生懸命取り組んでまいりたい」と答えた。
最後に、いんどう議員はこれからの社会のデジタルが進展していく中、「バーチャルの世界とアナログの世界のタッチポイントには必ず人間が必要になるため、そこに郵便局の価値が出てくるので、地域住民のための新しいサービス展開を期待したい」と述べた。
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