「通信文化新報」特集記事詳細
2026年4月27日 第7350号
【主な記事】
郵政民営化法改正案を了承
金融2社株式処分 当分の間3分の1超保有
自民合同会議
自民党は、4月16日に開催した総務部会などの合同会議で郵政民営化法などの改正案を了承した。郵政三事業のユニバーサルサービスを確保するため、日本郵政に、当分の間、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の3分の1を超える株式の保有を義務づける。ただし、連立を組む日本維新の会に配慮し、金融2社の株式売却について、現行法の「できる限り早期に」の文言は維持する。自民党は各党との調整を急ぎ、連休明けにも法案を提出する方針だ。成立すれば、2012年の改正以来、14年ぶりの改正となる。‖3面に法案の概要‖
少子高齢化、過疎化が急速に進行し、「地域の最後の砦」としての郵便局への期待が高まる中、自民党の「郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟」(郵活連、山口俊一会長)を中心に民営化法の改正案づくりが進められてきた。
自民党は昨年6月17日に公明党、国民民主党とともに議員立法として改正案を提出したが、審議に入れず継続審議となった。昨年10月召集の臨時国会でも審議入りできず、今年1月の通常国会冒頭の衆議院解散に伴い廃案となった。
「日本郵便の経営には徹底的な改革を施す」と主張してきた日本維新の会は法案に反対していた。
ところが、昨年10月に自維連立による高市政権が発足し自民党は維新の意見を踏まえた修正を迫られることになった。
その結果、日本郵便の「自助努力による経営効率化等に向けた取組の義務付け」を規定するために、日本郵便株式会社法を改正し、(1)日本郵便に対して、デジタル技術活用等の業務効率化に向けた取組を義務付け(2)日本郵便に対して、経営資源の有効活用に向けた取組を義務付け(3)事業計画への経営の適正・効率的実施の方針の追加―を追加することにした。
16日の合同会議では、郵政事業に関する特命委員会の武田良太委員長が「2月の衆議院選挙で民営化法改正を政権公約に掲げた。これは国民に対する約束であり、何がなんでも仕上げていただきたい。昨年、議員立法として提出した法案の骨子は守りながら、日本郵便の自助努力、効率的な経営を促す政策を盛り込んだ形で仕上げたい」と述べた。
自民党は3月12日に開催した郵活連の拡大役員会で法案の内容を固めたが、その後「将来的に日本郵政の政府保有株を全て売却し、完全民営化を実現する」との立場をとってきた維新の主張に歩み寄る形で、金融2社の株式を「できる限り早期に」売却するとの文言は維持することにした。
小泉純一郎政権下の2005年に成立した郵政民営化法は、2017年9月までに金融2社の株式を完全に売却することを義務付けていたが、2009年の民主党への政権交代を経て、2012年の法改正で「できる限り早期に」に修正されていた。
「地域の最後の砦」としての郵便局への期待が高まる中で、法案は郵便局に公的地位を付与するため、三事業の遂行に支障のない範囲内で行う「基盤的サービス提供業務」を本来業務に追加するとしている。
日本郵便と金融2社との業務契約を現行の届け出制から認可制に変え、日本郵政が日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命に対して、必要な協議を求めることができるものとし、総務大臣はこの協議に関して必要な助言をすることができるものとする。
また、昨年提出された法案では、郵政管理・支援機構が、日本郵便に対し、郵便局ネットワークの維持の支援のために交付金を拡充するとしていたが、条件不利地域を含む全国の郵便事業等の安定的な業務遂行の確保に向けて、新たな交付金を交付すると規定した。
郵活連が当初検討していた素案に盛り込まれていた「日本郵政と日本郵便の合併」については、政府が、公布後2年を目途として、両社の合併について積極的に検討することにした。
また、当初の素案には金融2社に対する上乗せ規制の緩和が盛り込まれていた。金融2社の子会社保有の制限については、日本郵政がそれぞれの会社の株式の2分の1以上を売却すれば規制を削除するとしていた。しかし、保険業界などからの反対意見を考慮し、政府が3年ごとの郵政民営化委員会の検証の際、上乗せ規制の在り方について検討することを民営化法に盛り込むことにした。
維新の意向に沿って自民党が修正した法案に対しては、昨年共同で法案を提出した公明党、国民民主党のほか、立憲民主党、中道改革連合からも異論は出ないと見られている。法案の作成に尽力してきた国定勇人衆議院議員は「できるだけ多くの議員の支持を得て法案を成立させたい」と語る。
合同会議では「2万4000の郵便局ネットワークはなんとしても維持していかなければならない。そのためにも条件不利地域における郵便局の活用をもっと積極的に考えていくべきだ」との意見が多数あったという。また「郵政民営化の総括をすべきではないか」との意見も出された。
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