「通信文化新報」特集記事詳細
2026年3月30日 第7346・7347合併号
【主な記事】
日本郵便の経営効率化を
民営化法改正案 6党で共同提出へ
郵便局ネット維持に交付金拡充
自民党が郵政民営化関連法の改正案の今特別国会での成立を目指し、動きを速めている。法案が成立すれば、2012年の改正以来、14年ぶりの改正となる。3月12日に開催された「郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟」(山口俊一会長)の拡大役員会で、法案の内容が固まった。昨年6月17日に提出された「郵政民営化法等の一部を改正する法律案」をベースにし、①日本郵便に自助努力による経営効率化に向けた取り組みと資産活用の最大化を求めること、②郵便事業の安定的な業務遂行の確保を目的として、郵便局ネットワークの維持のための交付金を拡充することによって、日本郵便の負担が軽減されることを明記する内容を新たに盛り込んだ。
日本郵便に自助努力による経営効率化に向けた取り組みと資産活用の最大化を求めることは、日本郵便株式会社法の改正案に盛り込む。具体的には、日本郵便の事業計画の記載事項の中に、経営の適正化と資産活用の最大化の方針を明記することを義務づける。資産活用の最大化は不動産の活用が念頭に置かれている。
2024年の郵便料金値上げで郵便事業の収支は黒字化したが、26年度以降は再び赤字化すると見込まれている。こうした状況に対応し、郵便事業以外の事業の収支の状況も勘案して郵便料金を設定できるようにする郵便法等の改正法案がまもなく提出されるが、それだけでは不十分との意見が強まっていた。
自民党は昨年6月17日に民営化法の改正案を公明党、国民民主党とともに議員立法として提出したが、審議に入れず継続審議となった。昨年10月召集の臨時国会でも審議に入れず、今年1月の通常国会冒頭の衆議院解散に伴い廃案となった。
この間、昨年10月4日に行われた自民党総裁選で高市早苗氏が選出されたが、10月10日に公明党が連立政権からの離脱を表明。10月21日に日本維新の会との連立政権が発足した。こうした政治状況の変化に対応し、自民党は連立を組む維新の会も含め、公明党、国民民主党、立憲民主党、中道改革連合の合意をとりつけて、6党共同で法案を提出する方針だ。
維新は、昨年の法案提出の過程で行われた与野党実務者協議で法案に反対の姿勢を示していた。今回、日本郵便の経営効率化を追加したのは、維新への配慮とも見られている。
昨年提出された法案の主眼は、地域住民の生活維持と郵政三事業の一体感の確保にある。少子高齢化、過疎化が急速に進行し、「地域の最後の砦」としての郵便局への期待が高まる中で、法案は郵便局に公的地位を付与するため、三事業の遂行に支障のない範囲内で行う「基盤的サービス提供義務」を本来業務に追加するとしている。
また、三事業の一体性を確保するため、日本郵政が保有するゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の株式の処分について、現行法の「できる限り早期に」との文言を削除し、当分の間、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の3分の1を超える株式を、それぞれ保有していなければならないものとする。ただし、当分の間の保有義務については、3年ごとの検証の際に政府が見直しを行う。
また、日本郵便と金融2社との業務契約を現行の届け出制から認可制に変え、日本郵政が日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命に対して、必要な協議を求めることができるものとし、総務大臣はこの協議に関して必要な助言をすることができるものとする。
さらに、郵便局ネットワークの維持のため、独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構が日本郵便に対して交付する交付金を拡充するとしている。財源として、政府保有の日本郵政株への配当相当分と、権利消滅した旧郵便貯金の一部が想定されている。
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