「通信文化新報」特集記事詳細
2026年2月16日 第7340・7341合併号
【主な記事】
対談
いんどう周作 参議院議員
小川実 相続診断協会代表理事
相続相談 郵便局に大きな期待
「地域の最後の砦」としての郵便局に対する期待が高まる中で、新たな役割として注目されているのが相続相談だ。年間約50兆円規模の遺産が受け継がれていく「大相続時代」と言われているが、相続トラブルは急増している。相続トラブルは人間関係に深刻な影響を与えるだけではなく、社会的にも大きな損失をもたらす。こうした中で、「笑顔相続」を目指し、2011年に相続診断士の資格試験を創設したのが相続診断協会(JiDA)だ。昨年の参議院議員選挙に全国郵便局長会(勝又一明会長)の組織内候補として立候補し、自民党比例代表最多票で当選を果たした犬童(いんどう)周作参議院議員は、地域のサービス拠点を郵便局に集約する必要性を訴え、相続相談にも対応していく必要があると説いている。いんどう議員とJiDAの小川実代表理事に「笑顔相続」のための郵便局の役割などについて語ってもらった。
■大相続時代と言われていますが、相続トラブルも増えています。
小川代表理事 高齢化が進む日本では現在、年間150万から160万人が亡くなっており、10年間のスパンで考えると、1500万人の相続が発生しているのです。
ところが、自分が死んだ後に家族が揉めないように遺言を作っておこうとする人は、わずか10%未満です。そのため、亡くなってから財産をめぐって揉めるケースが非常に多いのです。相続関連の相談は約18万件と10年前の2倍に増えています。これからさらに増えると予想されています。私は相続トラブルを「争族」(あらそうぞく)と呼んでいます。こうした「争族」を回避し、「笑顔で相続」を目指し我々は2011年に相続診断士という資格を作ったのです。
「相続について誰に相談していいかわからない」という話をよく耳にします。そして、我々のところに来るときには、相当揉めてしまっているのです。そこまで揉める前に、もう少し早く相談に来ていただければよかったというケースが少なくありません。
相続には事前準備が非常に重要です。相続診断士という資格を知っていただきたいと思います。
いんどう議員 相続でトラブルが起きないように、事前に整理しておくことは絶対に必要ですね。「人生100年時代」と言われているのに、相続をめぐって揉め事が増えるような社会になってほしくありません。揉め事が頻繁に起きれば、それだけ社会的なコストもかかります。相続トラブルが頻繁に起きるようになれば、裁判所も対応しきれなくなりかねません。
高齢化が進む中で医療・介護費の拡大に歯止めをかけるため、予防医療が進められています。それと同じように、相続トラブルの増加による社会的コストを抑えるために、未然にトラブルを防ぐ準備が必要だと思います。相続診断士が「笑顔相続」の道先案内人として活躍することを期待しています。
2021年からデジタル庁にいた時に、私は出生から死亡まで、人生の主要なライフイベントに関わる行政手続きの効率化を進めました。
妊娠、出生、引っ越し、就職・転職、結婚・離婚、介護、死亡などのライフイベントに際して、様々な手続きが必要になります。引っ越しひとつとっても、転出・転居・転入届、国民健康保険加入申請、保育園等の入園申請などの手続きが必要になります。すでに引っ越しについては、そうした様々な手続きがかなりワンストップでできるようになりました。ところが、相続は誰に相談すればいいかわからないし、どういう手続きがあるかもわからない。そこで、相続のワンストップを進めなければいけないと考え、着手したのです。
特に、近年はネットで様々なサービスを契約していて、本人しかそれを把握していませんし、パスワードも本人しかわかりません。本人が亡くなった後、家族が解約できなくて困るというような話も聞きます。そこで、スマホやパソコンのデータや、ネットサービスのアカウント情報、個人情報などを生前に整理しておく「デジタル終活」ということも言われるようになっています。
相続の場合には、税理士だけではなく、行政書士、司法書士、さらに弁護士にも相談しなければならないケースがあります。ところが、これまではユーザー側がアクションを起こさない限り手続きが進まないという状態でした。しかも、手続きの窓口が縦割りになっています。(2面につづく)
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