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2025年12月22日 第7332・7333合併号
【主な記事】
マイナンバーカード関連事務
富山県南砺市内の郵便局で開始
富山県南砺市(田中幹夫市長)内の福光局、福野局、井波局、城端局は、11月11日からマイナンバーカード関連事務を受託している。
マイナンバーカードは、取得後約5年後に「電子証明書」が失効するため、市民センターなどの窓口に来庁し更新手続をする必要がある。
2016年に導入されたマイナンバー制度の開始時期に取得したカード本体と、2020~23年に「マイナポイント事業」で取得が増えた電子証明書の更新時期がきている。10月末時点で南砺市でのカードの普及率は85.4%と高いこと、他業務との兼ね合いもあり市民センターの混雑が予想されることから、市民に身近な郵便局での委託が決定したという。
必要な手続を円滑に行えるよう、電子証明書更新等の業務を、従来の市民センター8か所に加えて郵便局でも受付することで、利用促進と、市民の利便性の向上を図る。
対象者は南砺市民で、本人が手続きする場合に限る。対象手続は①マイナンバーカードの申請支援(マイナンバーカード申請書に貼付する顔写真の撮影)、②マイナンバーカードに搭載されている電子証明書の発行および更新(マイナンバーカードに設定された暗証番号の変更および再設定を含む)、③マイナンバーカード紛失届の受付。電子証明書の更新、紛失届の受付に対応するのは県内でも初めてとなる。なお、カードの受取は郵便局ではなく、住所地の市民センターで行う。
サービス開始日に、城端郵便局(長井宏文局長)で「マイナンバーカード関連事務取扱開始式」が開催され、北陸支社の加納聡支社長、富山県呉西地区連絡会の山口正浩統括局長(高岡若富)はじめ関係者が、南砺市議会の石川弘議長、齊藤宗人副市長らを迎えた。
市長代理として、齊藤副市長が「これまで市民センターでのみ行っていたマイナンバーカードに関する各種手続きを、地域に根差した郵便局でも実施可能とする。県内でも初の取り組みであり、市民にとってなじみの深い郵便局を行政サービスの拠点として活用することで、地域生活の利便性向上を目指し、混雑緩和と、よりスムーズな手続き実現をはかる」と目的を述べた。
「近年、マイナンバーカードの重要性はますます高まっており、行政サービスのデジタル化、健康保険証としての利用など、社会基盤、日常生活に欠かせないものに変化を遂げている。今後、更新手続きの増加が予測される中、市民にとって非常に身近で親しみやすい、郵便局の窓口を活用した新サービスは、より手軽で便利な体制を提供するものとなり、非常に心強い」と続けた。
加納支社長は「南砺市とは、2020年2月の包括連携協定締結以来、地域活性化をはじめ、市民サービス向上に取り組んでいる。市からの委託を受け、市内4局で事務取扱を開始することで、市民の利便性向上と地域の活性化に一層寄与できるものと考えている。ぜひ市民に利用いただき、県内にも広がっていけば」と説明。
「昨今、人口減少・少子高齢化・過疎化などが進展する中、地方公共団体の皆様にとって、行政サービスの提供と維持が大きな課題のひとつだと伺っている。郵便局の果たすべき社会的使命は、創業以来培ってきた信頼をもとに、ユニバーサルサービスを提供しつつ、地域と寄り添い、地域とともに生き、地域をまるごと支えることにあると思っている。事務受託は、地方公共団体と郵便局との大変有効で重要な連携方法のひとつと考えており、『郵便局に任せてよかった』と思っていただけるよう、しっかり取り組む」と強調した。
来賓を代表し、石川議長が「郵便局には、日頃から市民の生活そのものに結び付く色々な業務を支えていただいている。市民それぞれが1枚ずつ持つマイナンバーカードの利便性をますます高めていかなければならないが、今、まさに更新時期を迎えている。市役所窓口での本来の受付に加え、地域に根ざしている郵便局で手続きができるのは、市民にとって大変ありがたく、有意義なこと。多くの人に郵便局窓口の利便性を感じ、盛んに利用し、有効活用してもらうことを期待している」と祝辞を述べた。
テープカットの後、デモンストレーションとして、市民(男性)の協力のもと、電子証明書の更新の様子が公開された。市や日本郵便の関係者が見つめるなか、城端局社員による手続きが行われ、ほどなく終了。「思ったよりもスムーズ」「慣れてきたらもっと早く対応できるかもしれない」との感想が聞かれた。
受付開始早々、2人目の利用者が訪れた。近隣在住の70代女性は「市の広報を見て、『市民センターでも手続きできるけど、今朝いちばんで郵便局に行けば空いているかな』と思って来た」と話し、サポートを受けていた。
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