「通信文化新報」特集記事詳細
2025年12月22日 第7332・7333合併号
【主な記事】
日本郵便 郵便局との意思疎通を強化
小池社長直轄組織
コミュニケーション改革部
働きやすい職場づくり推進
現場の意見を吸い上げる
日本郵便は10月1日、小池信也社長直轄の組織として「コミュニケーション改革部」を新たに設立した。管理部門と郵便局との意思疎通を一層円滑にし、職場の活性化を促進することを目的にスタートした。設立から約2か月。高橋智恵担当執行役員補佐に話を聞いた。
■コミュニケーション改革部設立に至る経緯をお願いします。
以前から本社・支社部門とフロントラインとのコミュニケーションを一層密接にしなければならない問題意識はありました。ただ、社員数が30万人を超える大きな組織なので、郵便局の社員の方々と十分なコミュニケーションを日常的に取るのが難しい現状でした。そこで、それまでの社員の声を聴く「社内広聴室」と、それを受けて社内の横断的な課題への施策を検討する「郵便局サポート部」をひとつにして新たに「コミュニケーション改革部」を設立し、一元的にコミュニケーション改革を図ることとなりました。
■コミュニケーション改革部の意図と目的についてお聞かせください。
コミュニケーションを通して本社・支社とフロントラインの意志疎通を円滑にするとともに社員の声をいただき、職場改革を行うことで働きやすい職場づくりを推進していくことです。
■組織改正が年度途中になった理由をお聞かせください。
年度初めの4月から組織を改正するのが一般的ですが、6月に着任された小池信也社長のコミュニケーション改革に対する強い思いもあり、むしろ来年4月を待たずに前倒しで今年度の下半期からのスタートになりました。従来からあった「日本郵便目安箱」や「郵便局未来会議」などの施策は引き続き行っています。
■未来会議のお話が出ましたが、開催状況を教えてください。
今まで6回開催しましたが、本社の役員が直接郵便局の社員と意見交換できる貴重な機会ととらえています。社員と日本郵便の将来像を語り合う場でもあり、本社から今後の金融業務や郵便・物流業務の青写真を示して、社員がフロントラインの立場でどう考えるかの意見を出していただいています。社員からいろいろな意見をいただいており、会社の未来について経営陣と社員が意見を交わす貴重な機会になっています。
■コミュニケーション改革部の組織編制・体制についてお聞かせください。
旧社内広聴室11人と旧郵便局サポート部10人の合計21人体制で運営しています。また旧郵便局サポート部で兼務発令していた社員も引き続きコミュニケーション改革部を兼務してもらっています。また小池社長が率先して改革を進めることもあり、部の担当執行役員は小池社長とし、担当執行役員補佐として秋本芳徳副社長と私が着任しました。社長の思いで立ち上げた部署はコミュニケーション改革部が最初になります。
■コミュニケーション改革を図るメインはどこになるでしょうか。
本社と支社は日頃から会議などで意見交換する場が多々ありますが、そうした管理部門と郵便局が日常的に意見交換する場は多くありません。そのため、主眼としているのは本社と郵便局または支社と郵便局の間のコミュニケーションを良くし、社員の声を多くいただくことがメインと考えています。
■社員の意見を吸収して改革をすることはESにつながっていますか。
まさにその通りです。コミュニケーション改革はES向上の観点からも重要な取組みです。日本郵便の経営理念を社員一人ひとりが納得して毎日の仕事を実践していただくのが会社としての一般的な理想像ですが、現状はまだ課題が多いと感じています。組織風土改革で社員全員が同じ方向を向き、一緒に仕事を進める土壌作りをしたいと思います。
■コミュニケーション改革部の事業内容や活動内容をお聞かせください。
フロントラインの社員と本支社の社員が日常的に意見交換するのは現実的に難しい面があります。そのため、本社と郵便局や支社と郵便局の間のコミュニケーションを円滑にする取り組みをしています。例えば従来の日本郵便目安箱や郵便局未来会議に加えて、6月からは「郵便局モニター制度」を開始しました。
郵便局モニター制度では550局7000人の社員に施策に関するアンケートを依頼して本社で検討し、いつまでにどんなアクションを起こすかを明確にしてフィードバックしています。
■他に何か取り組みがあれば教えてください。
コミュニケーション改革部が発足した10月から、全員参加型の「ここからミーティング」を開始しました。これは全社員が10人程度で1つのグループになり、自分の心情や、それをどう仕事に活かしているかを共有し合うもので、事業にかかわらず全員で行っています。まずは1回実施し、今後はアンケート結果等をもとに継続的な実施となるよう取り組んでいく予定です。お互いを知るために、お互いの想いを伝え合うことはとても大切で、意義のある施策だと思っています。
■小池社長の直轄組織となった理由はなんでしょうか。
6月に着任された小池社長のコミュニケーション改革に対する強い思いもあり、社員一人ひとりの思いを大事にすることに重きを置いておられるので、直接社長が直轄する組織となりました。
■最後に社員へのメッセージなどをお願いします。
新しい部なので認知度も低いと思いますが、社長自身の強い思いで発足した部なので、その思いを形にしていきたいと考えます。コミュニケーションを通して社員の力を最大限に発揮できる組織風土を醸成したい。組織風土が前向きであれば、社員の力も制限なく発揮できると思います。本社と郵便局の間にあるギャップを埋めるために邁進してまいります。
>戻る
