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2025年12月8日 第7330号

【主な記事】

信越地方郵便局長会丸山徹雄会長 地域貢献の積み重ねから地方創生へ
自治体と交流を深化
地域密着で顔の見える存在に


 少子高齢化、過疎化が急速に進む中で、それぞれの地域で様々な課題の解決が求められている。信越地方郵便局長会の丸山徹雄会長は、自治体ごとに異なるニーズをどうくみ取り、どう提案するかが重要だと述べる。そして、地方創生にたどり着くためには、地域貢献の積み重ねが重要だと指摘し、そのためには局長が地域に密着し、顔の見える存在にならなければならないと強調する。三事業一体の回復など郵政事業が直面する課題については、郵政民営化法改正なくして根本的解決はないと語る。
 
■信越支社管内では、全ての市町村が日本郵便と包括連携協定を締結しています。
 今年に入ってからは長野県の泰阜村、中野市、南牧村とマイナンバーカードの事務受託締結が続いています。地方公共団体からの事務受託についてのお考えをお聞かせください。
 日本郵便が、全ての市町村と包括連携協定を結べたことは、我々にとっても大きな励みとなります。
 泰阜村の事務受託をはじめ、今までも先進的な取り組みをしてきたので、それをうまく生かし、マイナンバーカードの事務受託にも結びつけていきたいと考えています。ただ、自治体ごとにお困り事は異なっています。オンライン診療、高齢者の見守りや買い物支援など、地方公共団体によって課題は様々です。そうした自治体ごとに異なるニーズを我々がどうくみ取り、どう提案するかが重要だと思っています。
 包括連携協定の締結はあくまで第一歩であり、自治体とさらにコミュニケーションを深めていくことが課題だと認識しており、そのためにはコミュニケーションの場を設けていかなければならないと思います。
■地方創生の取り組みを推進するためには、これまで以上に地域に密着し、頼られる郵便局長になることが求められています。
 地方創生が大きなゴールであることは間違いありませんが、そこにたどり着くまでには、地域活動、地域貢献の積み重ねが必要だと思います。郵便局が地域に信頼され、困ったことがあれば「郵便局、郵便局長に聞いてみよう」と頼られる存在になるのが理想だと思います。そのためにさらに地域に密着し、顔の見える存在になっていかなければなりません。地道に一歩ずつ歩み続けるしかないだろうと思っています。
 例えば、道路清掃などボランティア活動に取り組むなど、郵便局、郵便局長として地域でできることに積極的に関わっていくことが非常に大切です。町会の高齢化が進んでおり、清掃活動など地域の活動を進めようとしても、難しくなっています。地域活動には若い力が必要であり、だからこそ、局長が地域の活動に参加する意味があるのだと思います。それぞれの地域の町会や商工会などで、局長がどのような立ち位置にあるかが重要だと思います。
 郵便局自体、局長自体がそれぞれの地域の顔として役割を果たせるようになれば、おのずと地方創生の展望も開けてくると思います。
■オンライン診療や高齢者の買い物支援サービスにどう取り組んでいくかについてお聞かせください。
 高齢者の方たちの「足」となる交通手段の縮小により、オンライン診療、買い物支援のニーズは今後ますます高まってきます。そのニーズをくみ取りながら、郵便局がどのようなサービスを提供できるのかを考える必要があります。信越は山間地の多い地方ですので、郵便局を利用したオンライン診療を早く導入するべきであると考えています。
 一方、買い物支援サービスは高齢者にとっては極めて重要ですが、採算を確保するのが難しいのも事実です。また、買い物支援は単に商品が届けばいいというものではありません。自分で買い物をすることを生きがいにしている方もいます。つまり、それぞれの生活スタイル、生き方を尊重するような形で、国や地方公共団体ともうまく連携して買い物を支援できる仕組みを作ることが求められているのだと思います。
■郵便局が地域のニーズに沿った様々なサービスを提供するためにはさらに行政との強い連携が必要だとの指摘もあります。
 郵便局が提供できるサービスのメニューは並んでいますが、社員がその中身をもっと理解する必要があります。行政に対して専門的な説明ができる人材を、会社として養成していく必要があると思います。(2面につづく)
 

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