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2025年10月13日 第7322号

【主な記事】

「しごとコンビニ」本格運用
熊本県小国郷地域の郵便局
ローカル共創イニシアティブ

   熊本県の南小国町(髙橋周二町長)と小国町地域(小国郷地域)の郵便局での、業務委託型短時間ワークシェアリング事業「しごとコンビニ」業務受託の本格運用が、10月1日に開始された。社会課題に取り組む企業や地方自治体に社員を派遣し、共同で新規事業開発に取り組む「ローカル共創イニシアティブ」の一環。
 
 「しごとコンビニ」は、地域の人材コンサルティングを手掛ける株式会社はたらこらぼと、市町村事業を支援する一般社団法人つながる地域づくり研究所が共同で始めた業務委託型短時間ワークシェアリング事業。「しごと」を通じて様々な人が望む生き方を実現することを理念とし、人を起点とした「ひとづくり」×「しごとづくり」を官民連携で行っている。
 地方自治体と運営法人の双方で目的・目標を共有し、共に事業を育てていくことを念頭に、事業所や地域、行政などから仕事の依頼を受け、「しごとコンビニ」の登録メンバーへつなぐことによって、地域が抱える少子高齢化や人口減少、人手不足などの様々な課題の解決手法のひとつにもなっている。
 日本郵政と日本郵便は、熊本県南小国町に2024年4月から社員を派遣し、「ローカル共創イニシアティブ」発の事業案件として2025年4月から株式会社SMO南小国(熊本県南小国町/髙橋周二代表取締役)と共同で実証事業を開始していた。
 人口減少や高齢化の進む地域では、人材不足が深刻化しており、新しい産業の育成や地域に魅力的な雇用機会を提供することが喫緊の課題で、若い世代だけでなく、生活していくための支援策や環境整備が必要となっている。
 実証事業は、こうした地域課題に対し、郵便局が「地域の新たな雇用創出の場」となることにより、地域の人材不足に関わる問題の隙間を埋める形で貢献していくことを目的とし、4月21日から小国郷地域の4つの郵便局(南小国・小国・北里・杖立)で実証事業を行ってきた。
 実証開始から8月までの期間に、「しごとコンビニ」への稼働者登録を希望する人の登録手続きが郵便局で一定数行われるなど、地域課題の一助になる成果が確認できたことから、10月1日から「しごとコンビニ」への稼働者登録に関する事務手続きの受託の本格運用が始まった。
 日本郵便は、この取り組みにより、地域の人材還流を支える拠点の一つとしての役割を担い、小国郷地域の人手不足解消に貢献していく考え。
 受託業務に係る費用は、国から交付される新しい地方経済・生活環境創生交付金が財源として充当される。地方経済・生活環境創生交付金は、地域の社会課題解決や魅力向上を図るため、デジタル技術を活用した観光振興や農林水産業の発展など、地方創生に資するソフト事業の実装を支援するための交付金。
 受託業務内容は以下の通り。①しごとコンビニへの登録を希望する人への概要説明②本人確認③しごとコンビニ導入のための動画研修④契約関係手続⑤契約関係書類の確認および保管⑥SMO南小国への契約関係書類提出および面談調整
 日本郵便と南小国町は2021年11月11日に、包括連携協定を締結しており、郵便局による「しごとコンビニ」の業務受託が本格運用を開始することに伴い、包括連携協定で定める連携事項の内容に「人手不足解消に向けた取組みに関すること」を新たに追加し、9月25日に再締結した。


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