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2025年09月01日 第7316号

【主な記事】

東京都多摩北部連絡会小川寛紀統括局長 自治体と共に地域を支える
包括協定を基に連携強化
郵便局の価値を高める
 


 2月18日をもって所管の全ての行政市との包括連携協定を締結した東京都多摩北部地区連絡会が、新たに就任した小川寛紀統括局長(小平天神)の下で始動した。全市(区町村)と締結した地区連絡会は、東京支社管内では初めて。包括連携協定の将来への道筋を小川統括局長に聞いた。
 
■2月18日の東大和市との締結で、全市との包括連携協定が締結されました。
 そもそも、東京都と日本郵便で包括連携協定を結べないかという話が出たことが、東京都の各地区連絡会が包括連携協定を締結するようになった大きなきっかけになったと思っている。多摩北部地区連絡会では、西東京市を最初に、地方公共団体と郵便局長とのやり取りの成果として実を結んで来た。最終的には事務受託で地公体の役に立てるのが目的だと思うが、今はお互いに協力しながら、地域の活性化を目指すのがひとまずの目的だと考えている。
■全国津々浦々で包括連携協定が締結されていますが、東京都における締結では、どのような点に留意すれば良いでしょうか。
 地方においては、急激な過疎化に加え、郵便局の利用者が減少する状況下にあって地方公共団体が出張所などを閉鎖する中、包括連携協定の締結を契機とし、利便性の低下を補うために郵便局で事務を受託する動きが見られている。
 東京都では、小平天神郵便局がある小平市なども人口は増えており、2030年辺りが人口増のピークとなる見込みだ。人口が増えることで税収も増えるため、サービスが後退するというよりは充実していく方向にある。従って、東京においては、人口減少による過疎化は喫緊の課題とは言えない。
 しかしながら、地方のこの流れというのは、東京にも必ず訪れるものと思っており、それを考えると、高齢化の波が押し寄せる東京の場合はさらに深刻であろう。というのは、地方の場合には、高齢化に加え過疎化が進んでいるが、地域のコミュニティは形成されているため、「どこどこの誰々さんは一人住まいだが、最近見かけない」という話が出るだろうが、東京では近所付き合いが希薄なうえ独居老人がどんどん増えている状況にあり、地方よりはさらに対応が難しいと思っている。
 地方に見られるような、しっかりとしたコミュニティを東京で作っていく必要があるが、郵便局だけでできる話ではあるまい。将来、東京にも危機的な負の環境が待ち受けていることは間違いないので、その中で、郵便局が何をできるのかを考えていきたい。
 高齢者のお客さまに、スマホやPC操作の支援をすることも良案だと思うが、そのベースとなるのが包括連携協定だろう。包括連携協定を締結したうえで、市(区・町・村)民に対して郵便局でできることを探す中で、地方公共団体とのコミュニケーションが深まっていけば、様々な案が出てくると思う。その中でできること、できないことを選別し、できることに取り組んでいけば良いと考えている。
 地方公共団体とのコミュニケーションの入り口が包括連携協定であると捉えたい。多摩北部地区連絡会においては、すべての地方公共団体と包括連携協定を結んでいるが、締結自体は出発点であり、これから真価が問われることになる。
■包括連携協定の締結後の進捗具合はいかがでしょうか。
 西東京市の場合は、月1回定例的に話し合いの場を設けていると報告を受けている。小平市では、昨年度に引き続き、今年度も、「都内、全国の地方公共団体とはこのようなことができている」旨を市に提示したうえで、「ご要望はありませんか」と投げかけたところだ。窓口になっている政策課で受けてもらい、政策課から庁内の関係各部署に伝達して、要望があれば上げるよう周知してもらっている。上げてもらった要望を郵便局が受けるというやり取りをしている。
 直近では、政策課から話を受けた健康推進課から「涼みどころ(クーリングシェルター)はどうであろうか」との申し出があった。昨年度に続き今年度も行われたのは、政策課からの要望に基づいているため、とても良い形だと思っている。こちらから何もアクションを起こさなければ、向こうから何も反応が来ないというのでは寂しいものがある。小平市の方でも、せっかく包括連携協定を締結したのだから活かしていきたいと考えていただいているようであり、郵便局に対する期待感がうかがえる。ありがたい思いだ。
■包括連携協定の目指すところはどのようなものでしょうか。
 現在は、事務受託に至る地場作りをやる時だと考えている。信頼関係をきちんと結んで、いつでも何でも言っていただける態勢作りこそが一番大事だと思っている。
 そういう関係なしで、いきなり事務受託という話にはなり得ないだろう。現在の取り組みの延長線上に事務受託があり、われわれが地方公共団体とともに地域を支える形になるのが最善だと思う。地方公共団体と郵便局、郵便局長の繋がりをさらに深く、太いものにしていけば、郵便局、郵便局長の価値というものが大きくなっていくと思う。そこから出てくるのが事務受託なのかもしれない。


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