「通信文化新報」特集記事詳細
2025年07月14日 第7309・7310合併号
【主な記事】
一棟貸しゲストハウス開業
ローカル共創イニシアティブ
郵便局の空き家みまもり
日本郵便は、「郵便局の空き家みまもり」を通じた空き家活用のトライアルを実施する。日本郵政グループが推進するローカル共創イニシアティブの協業パートナーである株式会社巻組(宮城県石巻市/渡邊享子代表取締役)の協力を得る。
巻組は、宮城県内を中心に空き家を活用したシェアハウス・ゲストハウスを運営するローカルベンチャー。トライアルを行う長野県松本市の物件は、「郵便局の空き家みまもり」利用者が所有する不動産。
所有者は、物件を手放すことなく住居をリノベーションし、巻組との賃貸借契約を締結したうえで、巻組が7月上旬から一棟貸しゲストハウスとして運用する。
巻組が旅館業営業許可を取得し、長野県松本市内の事業者に日常管理業務などを委託して運営を行う。
物件名称は、Roopt(ループト)松本中央(長野県松本市中央4丁目4―2)。建築年は1964(昭和39)年。リノベーション後の間取りは、居室 4部屋、リビングダイニング、コモンルーム(共用スペース)。
宿泊定員は6~8人。宿泊料金は1泊3万8000円からで、季節により料金は変動する。JR松本駅から徒歩約15分・松本インターから車で約20分と交通至便。松本市美術館まで徒歩約5分、松本城まで徒歩約15分、なわて通りまで徒歩約10分と観光巡りに適している。
巻組は同ゲストハウスの先行予約受付を兼ねたクラウドファンディングを5月15日から6月27日まで実施した。
「郵便局の空き家みまもり」は、増え続ける空き家が地域社会にもたらす課題を解決することを目的に、今年1月からサービス提供を開始した。今回のトライアルでは、「郵便局の空き家みまもり」利用者で、物件の活用を希望した人を対象に、巻組がヒアリングと物件調査を実施し、物件の状況や所有者の意向を踏まえて、活用物件の候補を決定した。所有者と巻組との間で活用の合意が成立した長野県松本市の物件について、7月上旬から一棟貸しのゲストハウスとしての運用を開始する。
日本郵便は、トライアル物件のような先祖代々の家を手放さずに活用する方法についても、空き家所有者が抱える課題の解決方法のひとつになりうると考えており、今回のトライアルの運用実績を踏まえ、今後の事業展開に向けた検証を行う。
トライアルの背景となっているのは、日本郵政グループが推進するローカル共創イニシアティブ。日本郵政グループの社員を社会課題に取り組む企業や地方公共団体などに派遣し、共同で新規事業創出に取り組んでおり、2022年4月1日から開始し、延べ23人を20地域に派遣している。巻組とは、同施策の一環として、2022年4月から2024年3月まで、日本郵政グループの社員を派遣し連携を深めてきた。
巻組は宮城県石巻市で創業し、空き家の所有者の意向を踏まえた活用方法の提案、オーバースペックを排しつつ現代のテイストに合致させる独自の改修ノウハウなどに特徴があるローカルベンチャー。現在は、石巻市以外の地域でも活動を行っている。
日本郵便は、同物件の運用実績を踏まえ、「郵便局の空き家みまもり」を起点とする空き家活用のサービス化や、「郵便局の空き家みまもり」自体のさらなるサービス拡充を検討するほか、引き続き様々な事業者と連携し、空き家活用の新たな可能性の追求と地域社会の活性化に寄与していく考えだ。(2面につづく)
>戻る
