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2025年06月30日 第7307号

【主な記事】

大阪府岸和田市 佐野英利市長地域密着の郵便局長の経験を活かす
「一人も取り残さない」
社員は家族 営業で全国1位に


 大阪府岸和田市の佐野英利市長は国会議員秘書を経て、岸和田小松里郵便局の局長に就いた。岸和田北部会部会長時代には、部会内の局長、社員が全員家族だと思い、「1人も取り残さない」という気持ちで取り組んだという。前市長の不信任案可決に伴い4月に行われた市長選に出馬、得票率8割に迫る4万8307票を獲得して圧勝した。郵便局長の経験を活かし、どのような岸和田を創っていくのか。岸和田市役所を訪れ、佐野市長に聞いた。
 
■郵便局長になる前は中山太郎衆議院議員の秘書を務めていました。秘書としてどのようなことを学ばれましたか。
 私は2003年に北海学園北見大学(現北海商科大学)を卒業した後、中山先生の秘書になりました。中山先生は「ミスター憲法」と呼ばれたように、憲法改正をライフワークに定めていました。
 国のあるべき姿を考え、憲法をはじめ、票につながることのない問題にも全力で取り組まれていました。そうした先生の姿勢から多くのことを学ばせていただきました。選挙で勝つためではなく、国のために正しい取り組みをすることが政治家の使命であるということを教わりました。
 岸和田市長に就任した今、次の選挙で当選するために4年間を過ごそうとは思いません。私の任期が満了した後にも、岸和田市にとって最善の選択となるような政策を実施しなければならないと考えています。


■政治への道は秘書時代から考えていたのでしょうか。
 秘書時代に岸和田市議会議員選挙に出馬しないかという話もありました。しかし、中山先生に最後までお仕えしたいという気持ちの方が強かったので、出馬を決断するには至りませんでした。
 2009年8月の総選挙にて中山先生が落選し、秘書として残るか、議員を目指すかという選択を迫られました。しかし、この選挙で多くの自民党候補が落選し、自分が政治の世界に残るという状況ではありませんでした。
 実は、私のいとこである大阪府南部地区会の久保博史会長より以前から「郵便局に来いよ」とお誘いいただいており、これを機に日本郵便の管理者試験を受けることにしました。無事に試験に合格し、岸和田小松里郵便局長に就任することとなりました。
■小松里郵便局は2017年に本社表彰で「特別表彰」を受賞しています。局長としてどのようなことを心がけていたのでしょうか。
 数字を見ることは好きだったので、目標とする数字を常に社員と共有しながら取り組んでいました。特に社員とのコミュニケーションを心がけました。1人でも情報共有ができていない人がいると、局が目指している方向に向けて力を発揮することはできません。
 また、他局の成功事例についても情報収集し、自分の局に合致するようにアレンジをして取り入れていました。
 そして、常にお客様目線で改善すべきことは何かを考えていました。
■局長時代には行政や地域との連携を積極的に進めました。
 郵便局として、市、地域にどのように貢献するかを常に考えていました。岸和田岡山郵便局の森振一郎局長らとともに、岸和田市を盛り上げるために郵便局にできることはないかと、いつも話し合い、だんじり祭り、さくら祭り、もみじ祭りなどへの参加や、能登復興のための寄附を募るイベントに協力してきました。
 先輩の局長の取り組みを参考にして、八木南小学校の2年生を対象に、「はがきの書き方」「切手の紹介」「郵便局の仕事」などを説明させていただく出前授業を行いました。このような地域の小学校との連携により、地域との繋がりもさらに深めることができたと感じております。
 昨年には、火災予防と防犯についても展開してまいりました。岸和田市、消防署、郵便局との連携により、住宅用火災警報器の設置促進のための広報用マグネットシートを郵便車、郵便バイク、郵便ポストへ貼付したり、郵便局の窓口に火災報知器のチラシを設置するなどのお手伝いをしました。
 また、岸和田警察署と連携し、局長が「ランニングパトロール中」と書かれたTシャツを着て、市内をゆっくり走りながらパトロールするという活動を実施し、現在もそのTシャツを着て、飼っている大きなラブラドールと散歩をしながらパトロールを続けています。
■市長に就任した今、局長としての経験をどう活かしていきますか。
 局長、部会長としての経験はとても大きな財産です。
 13局からなる岸和田北部会の部会長を務めていた時には、社員の職場環境を改善するために、社員の本音を聞き出し、改善できることはすぐに改善するよう取り組んでいました。
 毎月必ず13局を回り、現場の課題を把握することに努めていました。13局の局長、社員が全員家族だと思い、「1人も取り残さない」という気持ちで取り組んだ結果、営業成績で全国1位になることができました。
 こうした経験を活かして、岸和田市民一人ひとりの声に耳を傾け、職員とともに市の発展に全力で取り組んでいきます。(2面につづく)


 


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