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2025年06月02日 第7303号

【主な記事】

日本郵便6000億円増資
日本郵政引き受け ゆうちょ銀行株の売却益
物流分野増強へ 2500億円投資

 日本郵便は6000億円の増資を行う。日本郵政、日本郵便が5月15日に発表した。日本郵政が2025年3月に実施したゆうちょ銀行株式の売出しにより得た資金を用いる。
 発行株式数は600万株(1株10万円)で、増資後の資本金は、7000億円となる見通し。
 日本郵便の郵便・物流事業は2023年度から営業赤字となっており、経営改善に向け速やかに成長投資を行う必要があり、その具体的な投資内容が取りまとまったことから、早急に投資に向けた対応を実施できるよう今年度に増資を実施することを決定した。具体的な投資内容および投資額の取りまとめ結果を踏まえ、6000億円の増資を行うことにした。
 日本郵政は、日本郵便が実施する株主割当増資により発行される新株について引受けを実施する。日本郵便による総務大臣認可取得後、同社から新株発行に係る会社法第203条第1項に基づく通知がなされることが条件となる。
 日本郵便の経営基盤の強化と、中期経営計画「JP ビジョン2025+」で掲げた郵便・物流事業等の成長領域への投資に増資資金を使用することによる収益拡大および利益向上を通じた、日本郵政グループの企業価値の向上を目的として、日本郵政が2025年3月に実施したゆうちょ銀行株式の売出しにより得た資金を用いて、日本郵便が増資(6000億円)において発行する新株を引き受ける。
 
 通信文化新報の取材により、今回の増資による成長投資の投資内容および投資額の見込み額が明らかになった。物流分野の能力増強への投資(2500億円)、郵便局ネットワークの環境整備、価値・魅力向上(1500億円)、戦略的なIT投資(1200億円)、M&A(800億円)の計6000億円に上る。
 また、成長投資により見込まれる効果についても明らかになった。物流分野の能力増強への投資については、大都市圏を中心に、地域区分局の荷物処理キャパシティを増強することにより、今後の荷物拡大に対応することができる強靭で効率的な郵便・物流ネットワークを構築する。郵便局ネットワークの環境整備、価値・魅力向上への投資については、ユニバーサルサービスを通じて、今後も日本郵政グループが持続可能な社会の実現に貢献していくための投資となる。
 戦略的なIT投資については、これまでも推進してきた郵便・物流事業におけるP―DXの取り組みを拡大し、差出データ、配達先情報等を活用し、配達の効率化や不在再配達率の削減を図っていく。
 また、郵便局窓口にタブレット型PC端末を配布し、お客さまのニーズに合った最適な提案ができる体制を構築する。M&Aについては、先般、TOBが成立したトナミホールディングスの株式を取得する資金に充当していく。


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