「通信文化新報」特集記事詳細
2025年05月19日 第7301号
【主な記事】
「基盤的サービス」本来業務に
自民了承 郵政関連法の見直し
金融2社の株式 当分の間3分の1超保有
自民党は5月9日、郵政事業に関する特命委員会、総務部会などの合同会議を開き、郵政民営化法などの改正案を了承した。野党との調整を急ぎ、自民党、公明党、立憲民主党、国民民主党の4党による議員立法での改正案を今国会に提出したい考えだ。
改正案は、日本郵政に「当分の間」、ゆうちょ銀行・かんぽ生命の株式の1/3超の保有を義務付ける。
小泉純一郎政権下の2005年に成立した郵政民営化法は、2017年9月までに金融2社の株式を完全に売却することを義務付けていたが、2012年の法改正で「できる限り早期に」に修正されていた。法改正により、「できる限り早期に」の文言を削除する。民営化後、郵政三事業の一体性の低下が指摘されてきた。
ただし、「当分の間」の1/3超の保有義務について、政府が3年ごとの郵政民営化委員会の検証の際に見直すとしている。
日本郵便と関連銀行・関連保険会社との間の銀行窓口業務契約・保険窓口業務契約について、届出制から認可制に変更する。
郵便局ネットワークを活用し、地域住民の生活を支援するために、自治体の業務受託などを日本郵便の本来業務と位置づけ、ネットワーク維持を支援するために交付金を拡充する。
年650億円規模の交付が想定されており、財源には政府が保有する日本郵政の株式の配当金や権利消滅貯金などが充てられる。
自民党は、昨年10月の総選挙で、公的サービスの本来業務化や郵便局ネットワーク維持のための新たな財政上の措置の創設を公約していた。
また、地域住民の生活の維持のために必要であり、日本郵便以外による実施が困難な業務を「地域貢献業務」と位置づけるとともに、日本郵政に、地域貢献業務の費用の一部に充てるため、ゆうちょ銀行・かんぽ生命の株式の売却益等を原資とする「地域貢献基金」の設置を義務付ける。
日本郵政と日本郵便の合併については、施行後2年を目途として、政府が積極的に検討することを附則に盛り込む。施行後2年を目途として、政府が郵便事業の安定的・持続的な運営を確保するための方策について検討することも附則に盛り込む。
ゆうちょ銀行・かんぼ生命に対する上乗せ規制の緩和については、政府が「速やかに」検討を加えるとしていたが、金融業界や野党の意見を考慮し、3年ごとの郵政民営化委員会の検証の際に検討することとなった。=2面に法律案の概要=
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