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2025年04月28日 第7298号

【主な記事】

日本郵便、トナミHDを子会社に
千田社長 強靭な物流網を構築


 日本郵便100%出資のJWT株式会社(東京都千代田区/美並義人代表取締役)を通じて行った、トナミホールディングス株式会社(富山県高岡市/髙田和夫社長)の普通株式の公開買付け(TOB)が4月10日付で成立し、トナミHDは17日付で日本郵便の連結子会社となった。
 日本郵便は西日本を中心に展開するJPロジスティクスに加え、関東・北陸・中部を得意とするトナミHDの参画によって、日本全国をカバーするネットワークを構築する。また、多様なニーズに対応し、迅速きめ細やかなグループ一体サービスや倉庫、トラック輸送、宅配の提供により、価格交渉力を強化していく。
 今回の取得価額は約807億円で、最終的な100%株式取得金額は総額926億円(うち日本郵便の出資750億円)となる見通し。
 JWTは、スクイーズアウト(少数の株主や特定の株主から株式を取得する手法)による全株式取得を終える予定の6月下旬以降、JPトナミグループ株式会社に名称を変更し、本格的な協業策を具体化していくことになる。代表取締役者は日本郵便、トナミHDからそれぞれ1人ずつ就任する考え。新会社のJPトナミグループはおよそ1年後を目途に、トナミHDと合併する計画。
 東京・大手町のサンケイプラザホールで4月16日に記者会見が開かれ、日本郵便の千田哲也社長、美並義人副社長、小池信也常務執行役員、トナミホールディングスの髙田和夫社長、髙田一哉取締役、佐藤公昭取締役、創業家代表の綿貫雄介氏が出席した。
 千田社長は「幹線輸送に強みを持つトナミHDと日本郵便が協業することによって、より強靭な物流インフラを構築し、付加価値を創出できると考えている」と述べた。髙田社長は「(当社には)現在1万3千社ほどの常時稼働している荷主がおり、ラストワンマイルの手当ができるものと思っている」と見通しを語り、「中期経営計画の最終年度(2027年3月期)には、売上1800億円、営業利益95億円を目指しており、将来ビジョンとしては、(売上高)2000億円、(営業利益)150億円を目指すことにしている。当初は高い目標値だと思っていたが、合併により実現可能な数字になるものと考えている」と期待感を示した。
 会見では、特積み(特別積合せ貨物運送)事業効率化による持続可能なサービス実現などのシナジーの概略が発表された。これに関する質問に対して、千田社長は「これからトナミHDと話し合いをしていきながら具体化を進め、動いていきたい」と重ねて強調した。協業の具体策に関する質問に対して、髙田社長は「JPロジスティクスとの特積みでの幹線の部分での協業やエリアの整備などはあると思う。ロジスティクスの分野でも、BからCへの荷物はなかなか取扱いができない悩みがあったが、日本郵便の力を得られる。海外からの日本への輸送も取り組んでいたが、伸び悩んでいることもあるため、トール社との協業もできるかとイメージはしている」と答えた。
 会見後の囲み取材で、美並副社長は「具体的な話は現在でも定期的に進めている。イメージして議論していたことを、名称変更する7月以降に、実現に向けて具体化していくことになる」と述べた。


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