「通信文化新報」特集記事詳細

 年/月

2021年6月7日 第7095号

【主な記事】

[日本郵政不動産]郵船不動産株51%を取得へ
事業連携でシナジー効果狙う

 日本郵政不動産(東京都千代田区、岩崎芳史社長)は5月27日、郵船不動産(東京都中央区、葛󠄀谷信美社長、1953年設立)の株式の51%を取得する契約を、持株会社の日本郵船(東京都千代田区、長澤仁志社長)との間で締結した。
 海外の競争法の認可後の7月以降に実施され、株式取得後は日本郵政の連結子会社となる。
 日本郵政グループは不動産事業収益を柱の一つにしている。今回の投資は、「JPビジョン2025」に掲げる成長戦略の一環。郵船不動産が持つ建物の管理・運営機能や有料賃貸不動産からの収益が共有できるメリットがある。
 郵船不動産は、三大都市圏の駅近にオフィスやマンションなど、優良賃貸不動産を保有している。
 オーナーに代わり管理する「プロパティマネジメント」や不動産会社がオーナーとの間で一括賃貸契約を結び賃貸経営をする「マスターリース」に、人材や運営ノウハウがある。年間売上は70億4988万円(2019年度実績)
 日本郵政不動産は、不動産開発の経験やノウハウがあり、日本郵船が保有する遊休地や老朽化した建物に対して、開発やリノベーションなどを提案し、収益を向上させることもできる。
 出資により、日本郵政グループと日本郵船は、お互いが保有する不動産の有効活用について検討する。
 日本郵船は、国内と国際の貨物輸送業。日本郵便が保有する豪州・トール社は国際物流事業を営んでいる。両者は不動産事業での協力だけでなく、物流事業での連携・協業の可能性も視野に入れている。
 海外の競争法上の認可は、その国での売上を基準(国によって基準売上額が異なる)に認可が必要かどうか決められている。日本郵政はグループ内にトール社があり、中国での売り上げがある。日本郵船も中国で海運の売上があり、共に認可が必要な売上高だという。 日本郵政不動産は、同国の認可が下りるのを待って株式を取得する。
 日本郵政不動産では「企業文化もそれほど違わないので、連携し易い。お互いがノウハウを補完できることから、シナジー効果も生まれる。日本郵政グループと日本郵船は好立地の不動産を多く保有しており、コロナの影響は限定的。郵船不動産の不動産物件は駅近が多く、コロナ禍でも稼働率が高い。賃貸も値崩れは起きていない」と今回の出資を評価している。


>戻る

ページTOPへ