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2020年 7月6日 第7047号

【主な記事】

障害者のアートを巡回展示
富山県呉西連絡会 NHK大河「義仲・巴」誘致にも協力


 富山県呉西地区連絡会(山口正浩統括局長/高岡若富)では、「PO-OF ART PROJECT アートがつなぐ遊便プロジェクト」と題し、障害のある人のアート作品を箱型ギャラリーに詰めて、郵便局を巡回し展示していく施策を小矢部郵便局(高畠真琴局長)で6月23日から開始した。また、小矢部市がNHK大河ドラマ誘致活動を打ち出している「義仲・巴プロジェクト」に賛同、郵便局窓口でお揃いのポロシャツを着用してPRする取組みも同日から開始した。

 昨年、一昨年と、「富山県障害者芸術活動支援センター ばーと◎とやま」(米田昌功代表)の協力で、障害のある人の美術作品を展示する「アール・ブリュット Kofu-kofu展」が伏木古府郵便局(邑本友明局長)で開催され、郵便局が美術館と化して大きな反響を呼んだ。
 障害のある人の作品は、技術や既存の美術の枠にとわられることなく、強いこだわりや純粋な魅力から生まれる独特な魅力がある。作品のひたむきさや新しい視点は新鮮な驚きがあり、これまでにない美術として全国的にも注目されている。
 米田代表と邑本局長の出会いから始まったこの施策を、連絡会の郵便局に拡大して展開しようと、呉西地区連絡会では強い思いで連携を図りながら取り組んできた。
 そして今回、「PO-OF ART  PROJECT アートがつなぐ遊便プロジェクト」として、「ばーと◎とやま」の共催で、障害のある人のアート作品を詰めた箱型ギャラリーが、呉西地区の郵便局を巡回していくという移動展示プロジェクトとして実現した。
 「郵便局によってロビーの広さや形状は様々。作品の掲示や撤収をその都度行うことは大変な作業となる。また、作品の魅力やクオリティも場所によって伝わり方が変わってきてしまうのではないか」。
 そう考えた米田代表は、ギャラリーごと巡回しようと、箱型ギャラリーを発案した。こうすることで、作品を外さずに、そのまま箱を畳んで移動でき、移動先でまた広げるだけで済む。机やチラシ用のボックスも備わっており、作品だけでなく、笑顔も一緒に運んでくれる、まさに画期的なものだ。
 箱型ギャラリーは6月23日から7月10日まで、まずは小矢部局窓口ロビーで展示され、その後、連絡会内の郵便局を巡回していく予定となっている。
 また、小矢部市内6局でクールビズ期間中の毎週火曜日、窓口業務を担当する社員が「義仲・巴プロジェクト」ポロシャツを着用し、NHK大河ドラマ誘致を応援するとともに、小矢部市のPRを行う。
 小矢部市では、木曾義仲と巴御前を主人公としたNHK大河ドラマの放映実現に向け、平成23年10月から誘致活動を行っている。連絡会ではすでに全ての市と包括連携協定を締結しており、このプロジェクトに賛同。連絡会を挙げてポロシャツを着用してPRしていくこととなった。
 小矢部局前で23日に行われた「『小矢部市オリジナルポロシャツ』郵便局社員着衣および「PO-OF ART  PROJECT アートがつなぐ遊便プロジェクト」開始式では、高畠局長がイベント内容について説明し、「郵便局ではこうした取組みのほか、地域創生やダイバーシティ推進などにも取り組んでいる。併せて、お客さまからの信頼回復を第一として、お客さま本位の業務運営に真摯に取り組んでいく」とあいさつ。
 小矢部市の桜井森夫市長は「コロナ禍の中での皆さんの不安を少しでも和らげようと、郵便局の皆さんが素晴らしい施策を開催された。この輪が大きく広がっていくことを願っている。加えて、市の義仲・巴プロジェクトのポロシャツも着用していただき感謝。大河ドラマ誘致に向け、なるべく早いうちに開眼成就に向けて頑張っていきたい」と語った。
 「ばーと◎とやま」の米田代表は「今回のプロジェクトは、伏木古府局での『アール・ブリュット Kofu-kofu展』がきっかけ。多くの人が来局し、郵便局は本来、人と人との交流の場であること、手紙やはがきなどが行き来するプラットホームであること、文化のプラットホームであることを改めて感じた。その後、郵便局の皆さんの熱意で、今回の企画が具体化していった。文化が地域をはじめ、いろいろな人の心のエンジンになっていくものだと思っている」と強調。
 そして「障害を持っている人のアートの魅力を知らない人に、その素晴らしさを伝え、文化や美術に触れることの良さを改めて感じていただければ、こんなに嬉しいことはない。これを機に、いろいろな人が障害のある人の美術に関心を持って、将来的には障害のあるなしに関係なく美術や文化に触れ、地域のコミュニティがもっと豊かになっていくことを望んでいる」と期待を込めた。


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