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2020年 6月29日 第7046号

【主な記事】

「因幡万葉の郷郵便局」が誕生
鳥取市国府町 観光情報の発信拠点に


 鳥取県の国府郵便局が6月15日から、局名を「因幡万葉の郷郵便局(いなばまんようのさとゆうびんきょく)」(池田大介局長/〒680-0146 鳥取市国府町町屋255-6)と改称し、局内外の雰囲気も一新してオープンした。郵便局の近くには因幡国庁跡があり、万葉集を編纂したとされる大伴家持が国守として赴任したことから、周辺地域は「万葉の郷」と称されている。風景印も万葉集をイメージしたものにリニューアル、観光資源の発信などに積極的に取り組んでいく。

 同日、郵便局のある宮下地区自治会長会の井上豊明会長、国府町総合支所の岸田和範支所長、因幡万葉歴史館の金指真澄館長、宮下公民館の横山浩館長、元・国府局長の福田正美さんらを来賓に招き、奈良の万葉の貴族2人も花を添える中、石破憲司局長(岩美)が司会を担当し、局名改称セレモニーが行われた。
 鳥取県因幡地区連絡会の谷口雄史統括局長(鳥取大正)、黒田敏博全特顧問、鳥取中央局の大野康博局長をはじめ、連絡会内の局長たちが激励に訪れた。
 池田局長が「明治43年に宮ノ下局として開局し、平成13年に国府郵便局としてここに移転した。開局以来、地域の皆さまにご愛顧いただき感謝。局名改称とともに、郵便局のネットワークを使いながら万葉の地の観光資源を全国に発信していく。また、社員と一緒になって地域に愛され、親しまれる郵便局を作っていく」とあいさつした。
 井上自治会長会会長は「この地区は万葉ロマンと文化の香る、素晴らしい風光明媚な場所。局内を見たら、非常に広いスペースがあって驚いた。これから因幡万葉の郷郵便局として新スタートを切り、地域の皆さまに愛される素晴らしい郵便局になってほしい」と期待を寄せた。
 谷口統括局長は「郵便局が地域に根差し、全国に発信するために、普通は郵便局の移転と同時に局名変更をするが、あえてこの地で局名を変えることで、全国の人に万葉の地を訪れていただくために取り組んできた」と、局名改称に至る経緯とともに、万葉ロマンあふれる趣向を凝らした郵便局の特徴を紹介した。
 局前にはこの地にふさわしいものをということで、郵便局のシンボルである丸型ポストを設置した。このポストは一旦現役を退いて、用瀬の公民館に寄贈されていた。
 相当朽ちていたが、それを局長たちが色を塗り替えて再生した。鳥取中央局の大野局長の取り計らいもあり、本社の了解を得て局名改称に合わせて設置した。全国でも数少ない、現役復帰した丸型ポストだ。
 局内には、26色あると言われる万葉の色を一生懸命出していこうと、あおや和紙工房の和紙を使った、万葉の色を再現したパーテーションを設置。フレームは、鳥取県の県産材を使って特別にオーダーしたもの。時期に合わせてきれいな色と、色名をお客さまに楽しんでもらえる。この日は紫、桃色、茜色、青丹(あおに)、露草色(つゆくさいろ)の5色が並んだ。
 ロビーの窓際にあるカウンターテーブルは、鳥取県日南町にある㈱オロチが、日本で唯一、杉の木をかずら剥きしたものを重ね合わせて、それを圧縮して作ったもの。県産スギ材を使っており合板ではない。手続き等を待つ間のお客さまにも癒しを与えてくれる。
 谷口統括局長は「皆さんにこれからも愛され親しまれる郵便局として可愛がっていただけると同時に、人々が訪れる、滞在していただける郵便局、また来たくなる郵便局として、この地の情報発信もしていける一つの拠点として、これからも発展できればと願っている。池田局長が汗を流しながら、日本中にこの地を発信してもらえるものと期待している」と強調した。
 中国地方郵便局長会の末武晃会長(全特会長)、中国支社の小林利行支社長、全特顧問の柘植芳文参議院議員、徳茂雅之参議院議員、中特三役をはじめ、多くのレタックスが寄せられた。
 来賓たちによる局名看板の除幕が行われ、大きな拍手に包まれた。局名改称に合わせて風景印もリニューアル。郵便局近くに因幡国庁跡があり、万葉集を編纂したといわれる大伴家持が国守として赴任した地であることから、周辺地域は「万葉の郷」と称されている。
 風景印は、背景に因幡国庁跡を囲む面影山、今木山、甑山の因幡三山。中央には「新しき年の初めの初春の今日降る雪のいやしけ吉事」の歌。大伴家持が当時、新春を祝って詠んだもので、万葉集を締めくくる歌として広く知られている。
 また、新春をイメージした梅の木とウグイス、万葉集をイメージした因州和紙と水引を取り入れた。デザインは因幡地区連絡会専属デザイナーとして多方面で活躍する鳥取湯所郵便局の有田和代さんが担当。この風景印をあしらったうちわが記念品として配られた。
 3月には鳥取岩倉郵便局が移転して国府宮ノ下郵便局と改称した。近くにあり、共に国府の名がつく郵便局だったが、国府宮ノ下郵便局は「国府」の名を背負ってローソンとの併設店舗として、因幡万葉の郷郵便局は地域の歴史と魅力をふんだんに取り入れてのスタートとなった。
 それぞれ独自のカラーを出しながら、さらに地域に根差して歩み始めた。
 郵便は9~17時、貯金・保険は9~16時まで(平日のみ)。ATMは平日が8時45分~18時、土曜日が9~17時、日祝が9~15時まで取り扱う。


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