「通信文化新報」特集記事詳細

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2020年 6月8日 第7043号

【主な記事】

柘植芳文参議院議員インタビュー(1)


 今回の新型コロナウイルス感染症では、国民の社会生活や日本経済に大きな影響を与えた。厳しい状況の中、日本郵政グループの社員は業務に奮闘している。柘植芳文参議院議員は、郵便局視察など通じて社員の安全を確保するために、営業時間の短縮などを要請した。また「郵便局、郵政事業が国民にとって最も身近な存在であるという認識が、改めて深まった。公的な使命を果たす郵便局の役割を、この際しっかりと検証して見直し、新たなビジネスモデル作りを行ってもらいたい」と強調する。
〈インタビュー=通信文化新報・富澤敦社長〉

新型コロナ 社員の安全確保を
深まる郵便局の存在意義

■世界的な新型コロナウイルス感染症の蔓延で、日本も大きな影響が出ています。
 新型コロナウイルス感染症は、全国民を巻き込んだ災害で、私も初めて経験したことです。これまでの災害は、局地的に起こるものでしたが、今回は全国民が共有する極めて重い災害です。対応が遅れたことは政府も含めてある程度やむを得ない部分もありましたが、郵政事業全般、特に国民生活に密着した仕事をしている郵便局にも影響が及びました。
 仮に感染があったら大変なことになると、当初から非常に危惧していました。実際、全国の約20の郵便局で社員の感染が確認されましたが、大規模な業務休止には至らず安堵しています。普通の職場なら、対応も行いやすいかもしれませんが、郵便局で感染者が出たとなれば大変なことになります。社員の方々の身の安全はもとより何十万という郵便物が一旦止まってしまい、結果としてお客さまに迷惑をかけることになります。そういう意味では、日本郵政グループは稀有な事業を行っていると言えます。
 とにかく現場の皆さんの努力により国民生活の安定が確保されているということです。会社も発生した場合には迅速に対策を打って、影響が最小限となるようまた、長期に及ばないようにしており、現場の皆さんと会社に敬意を表します。

■郵便局を視察され、営業時間の短縮を提案されました。
 郵便局は一つの事業体であっても働く職場には様々な職務があるということです。例えば単マネのように大きな職場とエリマネのように小さな職場があります。小さな職場というのは事業所自体が小さいのです。
 特に私は、かつてそのような特定局の職場にいたので、実態がよく分かるのです。局舎スペースが小さい所に、多くのお客さまが来られます。10人来られたらお客さまルームは大きな密集を形成するのが職場の現状であります。
 心配したことは、単マネのように比較的大きな局は、お客さまが三密にならないように措置もできるのですが、小さい局ではそのような対策も十分行えないので、何か事が起きた場合は、不特定多数に感染するというリスクもあり大きな問題となります。
 こういうことを踏まえ、局規模を考慮して対策を打ってくださいという話をしてきました。働く社員の皆さんはもちろんですが、郵便局に来ていただいたお客さまに感染させてはいけません。
東京都内の一部の郵便局の実態を見て回りましたが、本当は窓口を一時休止すれば一番良いのかもしれません。しかし、そのようなことはできません。お願いしたことは、勤務時間を少しでも短くして、通勤時間帯に時差を設けることです。非常に混雑した時に危険を冒して出勤するという形を、少しでもなくして欲しいという思いがあり、何とか営業時間の短縮ができないかと考えたのです。金融庁とも話し、早めに対応してもらいました。
 郵便局では本当に社員が“三密”の状態で仕事をしています。出勤時に郵便局に行ってみると、職場自体も狭く非常に密になっていまし、休憩時間に入ると、これまた非常に狭いところで持参した弁当で食事をしています。
 危険な状態で、会社には社員をリスクの高い職場にそのままにしておいてはいけないと再三言ってきました。お客さまとの間にビニールシートを張るのも、当初は十分な経費や専用の資材もないのでサランラップを活用して対応したという話もありました。このように現場の皆さんが大変な苦労をしているのです。会社がもっとしっかり対応して欲しいと言ってきました。
 会社には様々な対応をしてもらいましたが、もっと細かく、スピード感をもって対応して欲しかったとの思いは否めません。職場管理に責任を持っていると言えるのかとの思いもあります。もちろん、2万という大きな全国ネットワークがあり、被害も全国に広がっていることに対応した経験はなく、会社も一生懸命にやっていることは理解しています。

■社員の安全対策を優先することが、大きな目的だったのですね。
 勿論です。現場は例えば10時から15時までにして欲しいなどとは全く考えていません。社員は勤務時間帯を変えられないと思っています。今回、最も注目したのは通勤です。一番混む時間帯に出勤、そして密の職場にいるのです。さらに一番混む時間に帰って行くという形態が心配でした。何とか社員の皆さんに少しでも感染度合いを薄めてあげたいと思って時短を言ったのです。
 お客さまサービスの低下だとか言われましたが、今回は政府が出した非常事態宣言があります。それに協力すること、そしてお客さまと社員の生命を守るということです。そのためには、お客さまサービスの一定のダウンもやむを得ないということです。とにかくお客さまと社員の皆さんを守ってくれと会社に言いました。
 東京都内でも一律に全部とは言わなかったのです。例えば通勤時間が何時間もかかるような郵便局は時短、他のところはお昼に1時間休憩を取るとか営業をしないなど、様々な地域、局状にあったバリエーションを見つけて欲しいと言いました。
 簡易局も含めてとなりましたが、1日のお客さまがあまり多くない郵便局での時短は必要ないでしょう。どこの郵便局で時短を選ぶかというのは難しい問題かもしれませんが、これからの郵便局は、そういう地域の実情に合わせていくことも求められる時代に入って来ていると考えます。
 本社も個性を大事にする郵便局と言っています。そういった郵便局へ向けての土台と文化を創っていかなければならないのです。あまねく公平は大事ですが、何でも一律ということではなく、これからの事業展開でも2万局が全部同じにやるという時代ではないと思っています。

求められる支社機能の充実

■今回の新型コロナウイルス対策で、教訓となったことはありますか。
 本来、こういう事態が起きると、最初に責任を持って対応しなければならないのが、郵便局の一番近くにあり、地方を管轄している支社です。支社がしっかり問題を把握して、地域の事情に応じて個別に対処すれば、スピード感があって良いのです。
 残念ながら民営化以降、支社機能というものに対して、しっかりした仕組みを作っていなかったのです。本社の指示がないと仕事ができないという風土みたいなものができてしまいました。昔は地方郵政局が一定の権限を持っていたので、かなりの部分をやっていました。今はなかなかそのような機能を発揮できず、現場が右往左往するのです。
 今回の事態でも、マスクや消毒液などを本社が調達して、手分けをして現場に送ることなどはできませんよ。今回は支社長が非常に頑張ってくれたと思います。マスクや体温計は、本社での備蓄もない中、支社長が業者と連絡を取りながら購入して現場に配っていました。現場が日頃の地縁を活かして対応したということは、非常に大きかったと思います。
 本社から指示が迅速に来ないと言う支社長も多いです。これを機として、そうしたことから脱皮して欲しいです。現場を一番知っている責任者は支社長です。支社長が責任を持って指示して、問題解決に当たるという日本郵政グループ、日本郵便の職場、組織風土にする良い機会だと思うのです。
 平時の時は、本社の指示に則ってやっていますが、緊急事態が起きた時に、いちいち指示を待ってはいられません。本社には1日に100件も200件も全国の郵便局から個別案件の電話が入ってきています。本社が全てに対応できるはずはありません。
 本社が現場の声を聞くことは大事ですが、全てに答えることは不可能です。だから権限と責任を支社長に移して、支社長判断で迅速、果敢かつ自信を持ってやるべきだという指示を出したらどうですかと言いました。なかなか培ってきた文化というものは修正できませんが、今回の事態でそのあたりの組織問題が浮き彫りになったかと思います。

■いざという時のリスク管理を日頃から徹底しておくことが必要ですね。
 さらに、社員の身の安全などに関しても日頃から状況を見ていないと、非常にリスクに晒されるということです。特に外務員の方は、少々熱があろうと頑張ってしまう等健康管理が職場内でできていないのです。郵便局に入るときには体温を測って、少なくとも熱のある人は休ませなさい、そのために体温計をしっかり配布すべきだと指摘しました。
 そして、特にエリマネのような小さな郵便局では職場で体温を測り、毎日、局長に報告、局長は表を作って記録し、健康管理を徹底して欲しいという話もしました。100点満点ではないものの、会社も良くやってくれて、現場も頑張ってくれたと思っています。
 今回、窓口で直接お客さまと対応している窓口社員の方々、また外務員の方々には大変厳しい中、政府の布マスク配布や特別給付金に関する緊急配達といった負荷の中、頑張っていただいていますので、何らかの危険手当のようなことでも良いので、労に報いてもらいたいとお願いをしています。

新たなビジネスモデルを

■今回の新型コロナウイルス感染症では、厳しい状況の中、政府の要請に応えた業務などに奮闘しています。
 今回の新型コロナウイルスの関係で言えば、郵便局、郵政事業が国民にとって最も身近な存在であるという認識が、改めて深まったことです。そして、こうした組織が十分に活用される社会の仕組みというものを、もう一回考えてみたいと思っています。
 確かに民営化した当時は、構造改革で官から民だということが一時的にあったと思いますが、今日のように多様化した時代に、こうした危機がいつ起きるか分かりません。局地的に台風や地震が発生した時にも、郵便局はいち早く対応してきましたが、これだけ全国で一斉に起きた事態に対応するのは、やはり国民利用者からの信頼の厚い、また、その要請にこたえることのできる体制が確立されているのが郵便局なのです。
 国民に一番接点があって、政府の要請にも的確に対応する郵便局の役割を、改めて国もしっかりと理解してもらいたいものです。さらに、経営に当たっても目先のことばかりではなく、本当に公的な使命を果たす郵便局の役割を、この際しっかりと検証して見直し、新たなビジネスモデル作りを行ってもらいたいと思います。
 様々な方の論評を聞いていますと「日本はすべからく官から民の流れに乗って、多くの組織形態を簡略化して、小さな政府を目指してきました。これが今日のこうした事態に対応しきれない」ということが盛んに言われています。もう一度立ち止まって、郵政事業をどういう方向にすべきかという基本的なものを、しっかり考えていくことです。
 増田社長もこういうところに目を向け、新しいこれからの郵政事業の在り方等を検討されていると思います。

■支社機能を含めて、現在の組織の見直しも必要ということですね。
 民営化以降13年が経とうとしていますが、会社の組織形態は何一つ確立していません。本社も支社もどういう組織が良いのか確立されていません。郵便局も機能重視のマネジメントに着手し進められていますが、これも中途半端です。この組織改革の中には旧普通局である単マネも入っていますが、まだまだ不十分ということです。
 本社、支社、郵便局というのが一体化した組織になっていません。かんぽの問題でも強く指摘しましたが、本当に確立された機能性、機動性のある組織ができていれば、あのように長期間にわたり放置されることなく、もっとお客さまに沿った解決策が早くできたと思います。
 そして起こるべくして起きたということは、組織体制の不整備にあったといっても過言ではないと思います。
 会社経営の最も重要な組織改革に向けての努力をスピード感を持ってほしいと強く求めたいと思っています。

かんぽ営業、指針を現場に

■かんぽの問題については、どのような見方をされていますか。
 昔からのかんぽ生命の販売は、何年も変わっていないのですから、長く現場でかんぽの営業等を見てきた者として起こるべくして起こったと思っています。郵便局には営業目標が来て、それを100%達成しなければ局長や管理者の評価などに影響があるのです。渉外社員は局長等にどう貢献するかということがある半面、培ってきた営業手法で収入源となる手当の維持をしたいと考えます。
 局長等は実績を挙げた渉外社員に対しては「おかげで成績が上がって良い評価を受けられる」となり、少々ミスを犯しても許容されたのです。それを見ていた社員がコンプラに通報するのですが、なかなか取り上げられないようです。
 こうしたことが歴史的にずっと続いているのです。今はSNSという情報通信手段があり、聞いたところでは「コンプラにあげても取り上げてくれないので、マスコミに投書をした」というようなことのようです。
 一番の問題は、中間管理者の処分が今まで疎かにされて来たということです。そうした本質的なところを本社が把握しているのかです。今回の改善策だとか色々見ていると、どうもその辺が読み取れないのです。かんぽ問題は、営業の推進管理、営業手法等を抜本的に変えなければいけないと思っています。
 渉外社員制度の在り方、さらには仕事の質も改善が求められます。今回は目標を止めて保有件数という形に変え、途中で解約せず満期まで持っていてもらうということがメインです。お客さまに入ってもらった保険に、どう寄り添っていくかということを、ある面では柱に据えた活動の方向に変えるということでしょう。
 その中で情報を取って保険に入りたいという方がいたら、保険契約は専用の窓口でやればいいではないですか。渉外社員が個別に募集してくるという営業体制から変えていけると思うのです。そのために全国には630メートルおきぐらいに郵便局があるのですから。そういう形の販売や仕組み考えていかなければいけないのではと思っています。
 いずれにしましても今回を機としてかんぽ生命と日本郵便との委託代理の関係、日本郵便におけるかんぽ営業の在り方等、もう一度しっかり見直すべきと考えます。

■民営化の議論の当時から、製販分離は問題が生じると指摘されてきました。
 全ての商品の企画から販売手法まで、全部をかんぽ生命が決めている現在の製販分離方式は、やはり無理があり合理性に欠けるものと考えます。郵便局が地方に分散している中で、東京で決めたかんぽ生命の施策が全部当たることはあり得ないです。郵便局はかんぽ販売の9割の実績を上げていますが、地道な地域にあった施策をやっています。その泥臭いような施策が共鳴を受け、お客様の信頼につながり保険に加入していただいています。
 普通、営業施策経費なるものが郵便局に支給されるのが本来の形と思いますが、現状は営業目標を100%達成したら何%かをインセンティブとして郵便局にフィードバックされ、その経費を使って周知物品や社員の営業対策費などに充てているのが現状と聞きます。営業のセクションには一定の経費がないと営業活動が難しいのです。目標をなくすとなると、営業対策経費等を前もって日本郵便に出して、営業を頑張ってくださいということも必要でしょう。
 出来高払いで、施策はかんぽ生命の指示、商品もかんぽ生命が作るということでは、お客さまの商品ニーズをどう吸い上げて、市場ではどういった商品が求められているのかが分かりません。だから製販分離ではなく、製販一体だと言っているのです。
 
■販売を担っている日本郵便の立場が、弱い感じがするのですが。
 日本郵便は、現状のようなかんぽ生命との委託・代理の関係に慣れていないから、様々な日本郵便の意思をかんぽ生命に対し十分に伝えることが出来ず、結果として弱くなってしまうのです。だから例えば、かんぽ生命にお金を貰おうと頼みに行くのです。そのため日本郵便はかんぽ生命やゆうちょ銀行の子会社だと言われてしまうのです。
 手数料を決める場合でも、かんぽ生命から営業が調子悪いからと言われると、手数料収入に大きく影響し何も言えなくなるのです。日本郵便は収益の多くをゆうちょ銀行やかんぽ生命に依存している経営体質からの脱却を図るか、本当の意味での三社が共存し同じ方向での経営理念の確立が図られるべきと考えます。
 
■早期の営業再開は可能でしょうか。
 営業再開は、どこで区切りをつけて「さあ、やるぞ」というメッセージを現場に与えるかですが、戦略として課題もあります。3月31日に金融庁の業務改善命令が解除されました。現場では4月1日から営業再開と思っていた人が多いでしょう。しかしながら4月20日までチラシを出してはいけないとの情報も流れてきました。会社も営業再開はまだ言えませんとしています。
 しかし、私は会社やマスコミに対して、営業の定義を広義に解釈したらどうかと言いました。新規の保険を獲得するという新規募集目標をなくしての今年度の営業推進であります。これは1年や2年は続くだろうと思います。
 旧来からの営業とは大きく営業の在り方が変わってまいります。ですからこれからの営業活動とは、今までの不適正事案の発生をお客さまに謝り、同時に現在ご加入されている保険内容の確認のフォローとお客さまの様々な保険ニーズを汲み取っていく活動も営業ではないだろうかと思います。“今年1年はお客さまへこのようなアプローチでの営業再開とします”旨を、本社から現場に伝えて欲しいのです。
 マスコミが聞いているのは、従来のように郵便局に目標を与えての営業再開をいつから再開するのかということです。できませんと言っても、実際はこの時期でも4万件の新規が出ています。会社としての方針を現場に明確に出し、お客さまの不安とか不信を払拭すると同時に、今までできなかった様々な問題点を改善していく努力をしていけば良いと思います。このように営業再開の定義なるものをしっかり示し説明することが必要かと思います。
 この機会に営業の在り方、郵便局の中における保険販売の手法、目標などについて今、検討すべきです。併せて重点的に社員研修を行うとしていますから、それはどんどん実施すれば良いと思います。そういうことを明確に記者会見などで申し述べるべきでしょう。
 
■目標に向かって数字をとにかく上げるという手法だけが営業ではないということですね。経営の見通しは大丈夫でしょうか。
 そうです。今回の不祥事の解消と信頼回復には、1年か2年はかかると思います。経営的には、保険は今は大丈夫です。保有件数があり、特に途中解約をなくすと言っていますから、一定のお金は毎月上がるわけです。保険の経営は今は複雑でありますが保険は必ず満期が到来します。現行の経営を維持しようとすれば満期で消滅する保険料は新規で獲得しなければならず、いつまでもこのような状態を維持することは不可能であり、かんぽ生命としても抜本的な経営体質の改善が急がれるものと考えます。
 問題は日本郵便です。多分、手数料収入が落ちます。その時に日本郵便がどういう体力があるかということ、そしてどういう形で埋めていくかということです。今後の日本郵政グループ全体として、パッケージで考えていかなければいけないと思います。これは日本郵便だけでやることではないのです。日本郵政グループとして増田社長の力量が問われるところです。

緊急事態に対応する形態に

■郵便局ネットワークは、日本郵政グループの財産だと言われています。
 言葉では財産が大事だと聞くのですが、それが継続していける仕組みをみんなが真剣にしっかり考えていかなければいけません。郵便局ネットワークは郵政グループとして共通の財産であります。金融二社には関係なく日本郵便だけの問題として捉えることは絶対あり得ません。このことをグループ全体の問題として共有化されるべきと考えます。

■民営分社化の経営形態を変えるとなると難しい面があるのでしょうが、日本郵便のビジネスモデル、郵便局の将来展望が見えないという社員の不安があるようですが。 
 やはり一番の難題は全国2万の郵便局ネットワークの優位性が十分生かされたビジネスモデルが確立されていないことです。銀行ビジネスでも保険ビジネスでも単体での経営の難しさが問われています。
 銀行では保険販売も、物販販売もといってビジネスの形態を大きく変え生き残りを図っています。保険業界もしかりです。
 郵政事業は分社化される前は物流、銀行、保険を一体的に経営していました。まさに時代を先取りしたビジネスモデルであり、民営分社化された今日、このあたりに着目した郵政グループのビジネスモデルの在り様に大胆に挑戦する時期に来ていると考えます。
 民営化された時の社会情勢と大きな変化が見られます。例えば超高齢化社会、人口減少による消滅自治体、毎年の自然災害、過疎地に見られる暮らしの中での様々な難民の発生等は民営化時には想像すらできなかったことが現実に起きていることです。とりわけ地方自治体の厳しい現状は郵便局の新たなビジネスモデル構築に大きなヒントが与えられているものと思います。
 郵便局の将来展望は郵政グループに働く全ての社員一人一人が作り出すものであり、その行動を自らが勇気をもって活動すれば必ず将来展望は開かれるものと考えます。
 
■昔は財投で公的な所に融資されていました。これからは、橋などの社会インフラも更新していかなければなりません。
 第二財投のような仕組みを作るべきだと思っています。財務省と話しても、そういうことを強く望んでいます。やはり緊急事態の時に、いちいち法律を作って資金を出すのではなく、臨機応変に対応できる資金が欲しいのです。
 ゆうちょ銀行という枠の中でガチガチに固まってしまって、そこから一歩も抜け出していかないのではなく、柔軟な発想をもって取り組むことが強く求められています。ゆうちょ銀行は資金力も大きいです。M&Aができる仕組みも自らしっかり政府にアタックし、法改正の働きかけも考えてもらいたいのです。
 かんぽ生命も同様です。金融2社はどうせ100%株を売ってもらって自分たちは自由になれるというような発想があるように思いますが、自分たちの事業を通じて日本の国造り、社会づくりにどのように貢献していくかという思想を強く持ち大胆な発想を願いたいものです。

*(2)へ続く


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