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2020年 5月25日 第7041号

【主な記事】

[全国郵便局長会]末武晃氏が新会長に


 全国郵便局長会の新会長に、中国地方会の末武晃会長(山口県長門北部地区会長/萩越ケ浜)が5月15日付で就任した。山本利郎前会長は顧問となる。末武新会長は、昭和34年10月5日生まれ(60歳)、山口県出身。57年4月、郵政省採用、63年9月、萩越ケ浜郵便局長、平成18年2月、長門北部地区会長、26年3月、中国地方会長、5月、全国郵便局長会理事、令和元年5月に副会長となった。また、長谷川英晴副会長(関東地方会長/千葉県東南地区会長/山田)、佐藤賢之介副会長(東北地方会長/福島県会津地区会長/旭田)は留任、北海道地方会の佐々木靖会長(札幌中央地区会長/手稲駅前)が新副会長となった。今年は松山市で5月17日に全国郵便局長会総会(全特松山総会)が開催される予定だったが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い中止となった。末武新会長は就任に当たって次のようなメッセージを明らかにした。

「風通しのよい組織」に
至誠を尽くして重責を全う

 このたび、山本前会長の後を受け、全国郵便局長会会長を務めることとなりました中国地方郵便局長会会長の末武晃と申します。最初に、今般の新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになった方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、感染された方々やそのご家族、不安のなかにおられる方々に対して、心からお見舞いを申しあげます。
 私ども全特も国民の皆さまの安定的な生活の維持・確保のため、会員とともに郵便局の事業を継続するという社会的使命を果たしていきたいと思っております。
 昨年は、台風等による風水害が続発した年でもあり、また、本年に入ってからは、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大という、我々にとって想像をはるかに超える災害が発生しています。さらには、郵便局が提供するサービスについても、かんぽ生命保険の不適正募集問題という非常に社会的な反響が大きい問題に直面した年でもあります。
 このような時期に、全国郵便局長会の会長という大任を仰せつかったことは、本当に身の引き締まる思いであります。これから、関係の皆さまのご協力、ご支援を得て職責を果たしていきたいと考えますので、よろしくお願いいたします。
 まず、就任に当たっての抱負を申しあげる前に、この場をお借りして山本前会長に一言お礼を申しあげます。山本前会長の功績については枚挙にいとまがありません。ここに心から敬意と感謝の気持ちを表したいと思います。本当にありがとうございました。
 さて、本年度、私ども全特を取り巻く環境については、非常に厳しいと言わざるを得ません。先ほども申し上げましたが、なかなか収束できない新型コロナウイルス感染症の問題、一方、会社関係では、かんぽ生命保険の不適正募集問題をはじめとする会社のガバナンス、営業の体制に対する問題の改善にいかに取り組むかなど解決すべき課題が山積しています。
この難局を乗り切るためには、組織の結束が最優先課題です。全特はすばらしい組織です。この源は、会員一人ひとりのそれぞれの地域における活動の積み上げです。この力を結集出来るようにすることが重要です。そのためには、今以上に良好な会員間のコミュニケーションがとれる組織にすることが求められます。
 わかりやすい言葉で言いますと「風通しのよい組織」にするということです。本年度は、これを基本とし、次の課題に取り組んでいきたいと考えています。
 一つ目の課題としては、繰り返しになりますが、新型コロナウイルス感染症の問題です。国民の安定的な生活の維持・確保のために郵便局の事業を継続するという社会的使命を果たしていくことは無論のこと、現場で奮闘する会員、社員のための対策の実施についても、強く会社に申し入れています。
 また、課題としては、感染拡大等により中断していますが、郵便のサービスレベル見直し、地方公共団体の事務の受託への制約の解消などがありますし、中長期の課題としては、ユニバーサルサービスのコスト負担、郵便局ネットワークの維持、金融2社の株式売却の進め方、ゆうちょ・かんぽの限度額を含め上乗せ規制の撤廃などがあります。
 さらに、高齢化・過疎化の進展、ICT・AI・フィンテック等技術の業務手続きへの取り込み、金利、労働市場の動向など、郵政事業を取り巻く社会経済環境は楽観できるものではありません。お客さまが求める新たな商品・サービスの検討・実施を進めることが重要です。その場合は、短期的な収益性に拘らず、公益性・将来性の観点も含めることが必要だと考えています。このためには、次の時代を担う中堅・若手会員の意見を中長期の将来像に反映させる必要があります。
 かんぽ生命保険の不適正募集問題については、まずは、お客さま対応・地域での活動を引き続き誠実に行い、お客さま・地域のみなさまの信頼の回復に会社と一体となって取り組みます。
 このかんぽ生命保険の不適正募集問題については、今後、会社の営業体制・営業方針・目標・手当・人材育成などの具体的改善策が示されることになりますが、お客さまの立場に立ったものであることは無論のこと、現場の過度な負担とならない方法とすることも課題であると考えています。
 地域貢献・地方創生については、地方創生は地域を存立基盤とする私ども全特の重要な柱です。地方公共団体やNPO法人と連携・協力し、積極的に雇用の創出など地域の維持・発展を図っていく必要があります。各々の地域事情に応じて創意工夫をしつつ、地方公共団体との相互理解の推進に取り組んでいきます。
 さらに、地方公共団体との包括連携協定の締結を推進することにより、地方公共団体との一層緊密な関係づくりを推進していきますが、地方公共団体が求めるニーズを把握し、郵便局として役立てる施策を提案・実施する必要があります。特に、昨年から開始された長野県・泰阜村、石川県・加賀市での行政事務包括受託の拡大を図りたいと考えています。
 また、ご承知のとおり地方創生の基盤となるのが地域貢献ですので、平素からの地域での自治会等の組織運営・各種行事・防災活動への参画等が重要です。地道な活動ですが、引き続き進めていきたいと思います。
 次に全特の組織強化ですが、このためには、会員の意見や要望を踏まえた上で、徹底した議論を行い、決定した方針を、役員自らその必要性とともに会員に伝えることが不可欠です。本年度も新型コロナウイルス感染症の感染状況も見つつ、積極的に組織内のコミュニケーションの強化に取り組んでいきます。
 防犯については、様々な取り組みを実施していますが、郵便局関係者による犯罪の根絶、特に、局長犯罪は、組織にも個人にも深刻な影響を及ぼすことから根絶に向け取り組んでいきます。あわせて、飲酒運転・パワハラ・セクハラ等の行為は、組織の信頼を損ない重大な結果をもたらすものであることから、その根絶を目指します。
 昨年度も、自然災害が多発し、全特としても防災士の資格を持つ会員を中心に各地で行われた災害支援活動等について積極的に参加してまいりました。
 本年の新型コロナウイルス感染症の感染拡大を含め、ここ数年、郵便局及び会員の身体、財産が被災する災害が多発する傾向にあることから、人的支援を含め、今後の被災地域・被災地方会・会員への有効な支援策について、会社とも連携しつつ検討していきます。
 以上、本年度、全特として取り組んでいきたいことについて述べさせていただきました。
 さて、私の地元山口県が生んだ幕末の思想家、吉田松陰が特に好んだ孟子の一節で誠意を尽くす大切さを説く言葉があります。「至誠にして動かざる者は未だこれあらざるなり」という言葉です。
 今般、私は全特会長という重責を引き受けることとなりましたが、至誠を尽くして、これを全うしたいと考えています。どうか、皆様方のご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げ、就任にあたっての挨拶とさせていただきます。


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