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2020年 3月30日 第7033号

【主な記事】

ドローンで郵便配送
屋上に二次元コード 直接個人宅へ
東京都奥多摩町で試行


 ドローン(小型無人航空機)を使った郵便物配送の試行サービスが3月17日、東京都奥多摩町で行われた。日本郵便のドローン試行は郵便局間に続き2回目で、今回は郵便局から個人宅に配送した。1日1往復を19日までの3日間、実施された。

 17日のドローン配送は、A4サイズの定形外郵便物を奥多摩町氷川の奥多摩郵便局の屋上から、標高800メートルの山を越えた中山間地にある小峰渉さん宅まで運んだ。
 直線距離で2.5キロ。車なら20分かかるが、ドローンは約8分で到着した。
 着陸にはGHSや携帯通信のほか、画像認識機能が使われた。
 発着する郵便局と小峰さん宅の車庫には、目印となる白黒の離発着ポート(5メートル四方の二次元コード)が設置された。
 この日は快晴で比較的風も穏やか。郵便局屋上を飛び立ったドローンは、小峰さん宅の上空に来ると、到着スポットに向けて垂直に降下。ポート内に正確に降りることができた。降りると即座に郵便物を切り離し、再び郵便局に飛び立った。
 小峰さん宅は、細い急な坂道を登った標高450メートルの集落にある。家屋は4軒あるが、居住しているのは小峰さんを含めて2軒だけとなった。
 郵便物を受け取った小峰さんは「今は郵便局の人が郵便物や荷物を届けてくれて不便はないが、ここは雪が降ると大変な所。買物も厳しくなっており、ドローン配送が使えると良いが、このドローンは重いものは積めない。今はスーパーでまとめ買いしている」と現状を話す。
 ドローン配送については「中山間地では良い成果が出ていると聞いている。郵便局の社員が運ばなくてよい形になるといいと思う」と話す。日本郵便では、10キロの荷物を積めるドローンの導入を目指している
 新型の機体は、長さ1173ミリ、幅1067ミリ、高さ654ミリ。総重量は7.5キロ(バッテリー込み)。荷物は1.7キロまで搭載できる。航続時間は20分。従来機と同様に、風速15メートル以上になると利用できない。
 これまでは全工程で目視が必要だったが。法改正により、国土交通省の許可・承認を受ければ、公道を横切るなどの一部を除いて目視外飛行が可能となった。日本郵便は昨年12月に2機、3月に1機の承認を得ている。
 日本郵便の畑勝則オペレーション改革部長は「新しい機体は一回り大きくなり、航続距離は延伸した。機体の性能アップと並行して、ポートマークなしでの自動着陸や受け取り側の箱の開発も進めている。政府のロードマップでは2020年を実用化の目標にしているが、機体の性能や法整備なども考慮して、5年後の実用化を目指したい」と商用化への道筋を語る。
 日本郵便では2016年からドローン配送に取り組み、2018年11月には福島県で郵便局間配送の試行を行った。


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