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2020年 1月13日 第7022号

【主な記事】

危機感を共有、信頼回復へ
[日本郵政]増田新社長が年頭の挨拶


 かんぽ保険の不適切販売問題で、総務省と金融庁から行政処分を受け、日本郵政の長門正貢社長、日本郵便の横山邦男社長、かんぽ生命保険の植平光彦社長が1月5日付で辞任。新任の日本郵政社長には増田寛也氏、日本郵便社長には日本郵政の衣川和秀専務執行役、かんぽ生命保険社長には千田哲也代表執行役副社長が翌6日に就任した。増田新社長は仕事始めの6日、約200人のグループ各社幹部を前に本社・前島ホールで年頭のあいさつを行った。

 新体制はかんぽ問題を抱えての船出となり、増田社長は「日本郵政グループ創立以来最大の危機。危機感を共有し、解決を図っていこう。グループは今まさに、新しく生まれ変わらなければならない時期でもある。悪いニュースこそ、すぐに知らせていただきたい。上司にすぐ伝えて、どうやって克服できるか考えていただきたい」と風通しの良い組織風土づくりを呼びかけた。
 年頭あいさつには、日本郵政の役員と部長級社員、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の各社長と役員らが出席。増田新社長の初めてのあいさつに、役員らはメモを取るなど、熱心に聞き入っていた。

〈増田社長の年頭あいさつ全文〉
 皆さん、あけましておめでとうございます。今日付けで日本郵政株式会社社長に就任いたしました増田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。今日の御用始め、どういう言葉を使うべきか、「おめでとうございます」という言葉を本当に使っていいのかどうか、大変迷いました。わが社が置かれている状況を考えますと、こういう言葉は使うべきではないのではないかというのが本音でございます。しかし、年の初め、皆さま方に、気持ちを新たに仕事に精励していただきたいという思いでおります。
 昨年判明いたしました、いわゆるかんぽの不正問題について、契約乗換等により、お客さまの信頼を裏切り、契約者の皆さまに不利益を発生せしめましたことを深くお詫び申し上げます。速やかに調査を進めて、そして不利益を一刻も早く解消することによりまして、信頼を一歩一歩回復していかなければなりません。
 昨年暮れには、日本郵政、日本郵便、かんぽ生命は、金融庁と総務省から大変重い行政処分を受けました。全国で日々職務に精励している多くの社員の皆さま方におかれては、年の暮れと正月、ご心労、ご苦労が大変多かったと思います。経営陣一同このことを重く受け止めております。
 今回の問題は、日本郵政グループ全社にとりまして創立以来最大の危機であると受け止めております。一刻も早く全容を解明してお客さまの不利益を解消し、二度とこのようなことが起きないような再発防止策を講じるとともに、一歩一歩信頼を回復していかなければならないと思います。そのためにも、社員一同がきちんと危機感を共有して緊張感をもってやるべきことをやっていく必要があります。
 この場でぜひ申し上げておきたいことは、いま、全社員がうつむいて、立ち止まっていてはならないということです。こういうときこそ、愚直に、やるべきことをやっていくということが必要だと思います。愚直に、そして誠実に、お客さまの期待に応えていく。謙虚にお客さまの声を聴きながら、やるべきことをやっていく。
 そして、常に感謝の気持ちを忘れない。我々は郵便局をご利用くださっているお客さまの生活全体を支える存在でなければいけないと思います。愚直に、そして誠実に謙虚に、感謝の気持ちを忘れずに、常にこれからも進んでいかなければならない、このように思います。
 世阿弥の言葉に「折りあるごとに古い自己を裁ち切り、新たな自己として生まれ変わらなければならない」というものがあります。今まさに、新しい日本郵政グループとして生まれ変わらなければならない時期であると思っております。
 ここでひとつ、ぜひ皆さまにお願いしておきたい、心がけていただきたいことを申し上げておきます。ニュースには、様々なニュース、当社にとって良いニュースと悪いニュースがあると思いますが、良いニュースはあとで結構です。悪いニュースこそ、すぐに知らせていただきたい。皆さんの上司にすぐ伝えて、そして、それをどうやって克服できるか考えていただきたい。悪いニュースこそ、アンテナを高くして、皆で解決策に取り組む。ぜひ、このことを心掛けていただきたいと思います。
 最後に、わが社は上場企業でありますので、わが社の評価は大勢の株主に評価されるわけでございます。したがって、今まで以上に外部の目線を取り入れて成長していかなければならないと思います。これまでの社内の常識が正しいものか、社内の常識が世間の非常識につながっていないか、もう一度よく検証して、前に進んでいく姿勢が大事だと思います。ぜひとも危機感を共有してこの事態の解決を図ってまいりましょう。


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