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2019年 12月16日 第7018号

【主な記事】

証明書交付事務を開始
石川県七尾市の4郵便局


 日本郵便と石川県七尾市(不嶋豊和市長)は、行政事務委託に関する協定を10月に締結し、12月2日から市内の崎山郵便局(三野利和局長)、南大呑郵便局(池岡直樹局長)、佐々波郵便局(山岸哲幸局長)、七尾満仁郵便局(大林靖幸局長)の4郵便局で戸籍や住民票など10種類の証明書事務取扱が始まった。4局のある地区は、コンビニもなく市役所までのバス便も少ない過疎地。生活に必要な証明書の取り寄せが近くの郵便局でできるようになり、住民に喜ばれている。

 4局で取り扱うのは「住民票の写し(謄本・抄本)」「印鑑登録証明書」「戸籍謄本・戸籍抄本」「戸籍附票の写し(全部・一部)」「軽自動車納税証明書(車検用)」「納税証明書」「所得証明書」「所得証明書(児童手当用)」「課税証明書」「所得・課税証明書」の10種類。
 郵便局での同業務の開始は昨年12月に、「これまで地区内の4つのコミュニティセンターで取り扱っていた『印鑑登録証明書』と『住民票の写し』の2つの取り扱いを3月で終了する」という市からの説明を受けて、住民から地域の郵便局に「郵便局で取り扱いができないか」という要望が寄せられた。
 郵便局では協議を重ねた結果、10月28日に市と日本郵便との間で「地方公共団体の特定の事務の郵便局における取り扱いに関する協定書」を締結。10種類の証明書の取り扱いを郵便局で引き受けることになった。
 取扱い初日には、崎山郵便局で「七尾市証明書交付事務取扱開始式」が行われた。
 不嶋市長、山本利郎代表主幹地区統括局長(全特会長/金沢扇町)、西田昭二衆院議員(代理)、近藤和也衆院議員、杉木勉七尾市議会議長、北陸支社の加納聡経営管理本部長、和田内幸三石川県議、清水真一路石川県議、能登地区連絡会の石田尚史統括局長(大谷)、今田勇雄七尾市議、大林吉正七尾市議、松本米治・崎山地域づくり協議会長、堀家幹治七尾郵便局長、山﨑時春・崎山地域づくり協議会事務局長ら関係者と地域住民、合わせて約40人が出席。
 最初に三野局長が「コンビニのない地域で新しいサービスが始められた。これを契機に過疎地の郵便局で何ができるのかを改めて検討し、地域の皆さまとともに歩んでいく所存」とあいさつ。
 不嶋市長は「郵便局は地域の灯台であり、砦でもある。砦を守るためには郵便局だけに任せておいてはいけない。地域の皆さまの利用が郵便局を守る大きな力になることを心に留めてもらいたい。住民と郵便局がしっかりとスクラムを組み、集落の安全安心を守る取り組みをやっていただきたい」と述べた。
 山本代表主幹統括局長は「郵便局は法律で、地域性、公益性を大事にすることが定められている。国としても相応の措置をすることになっているが、郵便局の力でネットワークの維持・発展させていこうとしている」と強調。
 また「地域性、公共性を守りながら、地方創生の取り組みと絡めながら、様々な取り組みをしている。銀行、農協、役場の支所が撤退していく中、3事業に加え4番目の大きな仕事と捉えている。今後も役所と一緒になり地域のために汗をかいていきたい」とあいさつした。
 近藤衆院議員は「郵便局は赤字局が増えているが、郵便局がそこにあることが住民にとって安心につながる。存在そのものが黒字と言える。郵便局を守ることが地域を守ること。郵便局の歴史を守ることがふるさとの歴史をつなげていくことにもなる」と祝辞を述べた。
 この後、関係者8人によるテープカットが行われ、証明書取り扱い開始を祝った。
 郵便局では取り扱い開始記念の第1号として、地域住民の松本米治さんが住民票の写しを申請した。松本さんは必要事項を記入。局員が局内に設置された専用ファックスで七尾市役所に送付。5分程でファックスから住民票の写しが送られてきた。松本さんは「郵便局には気軽に来られる。この地域は市役所までのバス便も少なく、ありがたい」と話す。
 4地区の人口は10月末現在で、1557世帯・3867人。人口減少と高齢化が進んでいる。七尾市の委託費は、1か月約1万5000~約1万6000円。年間で4局合わせて約76万円。
 郵便局での証明書交付事務取扱は2001年に制定された「地方公共団体の特定事務の郵便局における取り扱いに関する法律」によるもので、郵便局では、自治体職員がいなくても、住民票の写し・戸籍の附票の写し、戸籍謄本・抄本、納税証明の交付、印鑑登録証明の5業務に限り取り扱いができる。
 今回取り扱う所得証明書と課税証明書は、納税証明に含まれる。同法律により証明書交付事務を行っている郵便局は9月末現在で、163市町村・579局ある。


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