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2019年8月26日 第7002号

【主な記事】

公的使命を担う郵政事業
柘植芳文参議院議員インタビュー①


 柘植芳文参議院議員は7月21日に投開票された第25回参院選で再選を果たした。60万189票という自民党比例代表でトップ当選した。2013年7月に初当選して以来2期目となる。「地域に全力、地域を元気に。」と、1期目はゆうちょ・かんぽの限度額の引上げ、郵便局ネットワークを維持するための交付金制度の創設など郵政事業の政治的課題の解決に大きな功績を残した。2期目は郵便法の改正、また、高齢者の問題や一層の地域活性化などに取り組む。
〈インタビュー=通信文化新報・富澤敦社長〉

オール郵政の活動が力に

■昨年5月、全国郵便局長会の郡山総会で組織内候補として立候補が正式に決まりました。

 国会の中でも柘植というと郵便局というイメージが大きいです。大事なことですが、立候補に当たっては複雑な問題もあって、新しい時代には若い人に頑張ってもらった方が良いと固辞していました。しかし、最終的に決意したのは、今日のように急激な人口減少、超高齢化社会が到来するとは予想されていなかったと思いますが、「地域に全力、地域を元気に。」と、地域の再生に取り組んできたことから、そうした課題の重要性を痛感していることが大きかったです。
 地域社会、地方創生の問題などを見ていますと、現実的にたいへん苦しんでいる方々がたくさんおられます。例えば、車もない、買い物をする場所もない、医者もいないなど、いわゆる高齢者の“難民問題”に象徴されているような状況が、全国の至るところであります。都市部にあっても同様のことが発生しています。
 人生100年時代と様々な構想も自民党は打ち出していますが、現在の時点で政治的に高齢者へ的確なサポートができる政策がないのです。郵政事業や郵便局の役割、郵便局長の使命は、地域の中で活動し、地域社会に貢献することが基本的な理念、哲学です。自分の政治的課題として高齢者の問題に取り組んでいきたいという思いが強くありました。
 もう一つは、郵政事業の在り方です。旧郵政民営化法の下で5年、改正郵政民営化法ができてから7年、いわゆる民営・分社化から12年を迎えている郵政事業、日本郵政グループが、本当に旧民営化法、新しい改正法の意味を理解しながら運営されているかどうかです。サービスの面でも、国民利用者にとって良いサービスを提供しているかどうかということについて、まだ忸怩たる思いがあります。
 こうしたことを考え、これから真に民営化になった企業として公的な使命を果たしながら、新しい事業形態として郵政事業を前に進めていくことに取り組まなければならないとの思いが強くあります。

■組織内候補に決定してから1年以上にわたり、全国各地を回られてきました。振り返っての感想などを聴かせてください。

 当初は高齢者や地域の課題に取り組むという意志が、なかなか上手く伝わらないことがありました。しかし、多くの会員の皆さんには、思いをしっかり伝えてきました。特に地方にあっては、郵便局と言うよりも、そこに郵便局長という個人がいて、24時間365日、不転勤でその地に住み、なおかつ自分たちの活動理念である地域活動、ボランティア活動を中心に、自分の金、時間を投資して、地域に貢献してきたことが、多くの利用者から評価され、郵便局というのは大事だねという声をいただいているのです。
 言い換えれば、過疎地にある丸型ポストという象徴的なものが、郵便局ネットワークそのものの存在感を高めているのです。都市部にある四角い郵便ポストだって、郵便局ネットワークの一つとして存在が認められ、評価されていると思っています。そうした意味も含め、民営化になる前から苦しんで頑張った各地の局長の皆さんに、夢と希望と誇りを持ってほしいということも、強く訴えて戦ってきました。
 推薦していただいた方々は、前回の徳茂雅之参院議員の得票を上回って欲しいというのが目標だったのですが、いろんな方から52万票というのはたいへんな数字、超えるのはちょっと難しいのではと聞いていました。6年前に私を当選させていただいた局長の皆さんも半分くらいが退職されています。私がどういう人間かも知らない人も増えていますし、全特という組織だけでカバーできるだろうかという懸念も実は正直ありました。
 当初はもっと地方に行って、多くの会員の皆さんと将来の郵政事業の在り方や地域活動、郵便局、郵政事業の将来などについて議論したかったのですが、1年以上といっても時間が少なかったですね。それと合わせて疲れも出てくるのです。会員の皆さんも慢性化というか、活動に緩みが出てくることもあります。
 前回は短期間でしたが、今回は1年以上ありましたから調整など、おそらく活動に参加していただいた全特の皆さんもたいへん苦労されたと思います。4月末から5月初めにかけての10連休が一つの山でした。全国一斉活動日を設けたり、もう1回ギアを入れ直していただいたというのが、今回の最終的な大きな成果につながったと思っています。
 もう一つはオール郵政で活動できたということです。現場の局長の皆さんにも勇気を与えたということがありますし、どの会場に行ってもオール郵政の方々に参加をしてもらっているということが大きな力でした。郵政民営化に反対したとき、郵政に関係する団体や組織が一丸となって取り組みました。オール郵政の力の結集は、そのときのことを思い起こさせました。
 私はかねがね民営化となったのだから会社も政治に真正面から向き合ってくれ、そして事業の中でいろいろ阻害感だとか弊害があるのならば、お互いに共通認識を持って立ち向かっていきたいという話をしてきました。なかなかそういうことができていなかったのですが、今回はそうした気運が盛り上がったことは非常に大きかったと思っています。ゆうちょ銀行、かんぽ生命といった金融2社の方々も力を入れていただいたことは、非常に大きなことでした。


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