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2019年7月1日付 第6994号

【主な記事】

お客さま重視の営業強化
[長門日本郵政社長]コンプラを徹底

 日本郵政の長門正貢社長は6月24日の定例記者会見で、ゆうちょ銀行の投信販売で社内ルールに違反、かんぽ生命で保険の乗り換えで不適切な販売があったといった報道に対して所見を明らかにした。投信販売について「厳粛に受け止め深く反省している」との認識を示した。かんぽ生命については、改めて「お客さま本位の営業活動のレベルアップに各種取組みを実施している。コンプライアンスとお客さま重視をさらに強化していく」とした。

 会見ではまず、ゆうちょ銀行の高齢者への投資信託販売に関する社内ルール違反について報道されていることに触れた。ゆうちょ銀行の株主総会において池田憲人社長が述べたように、「守るべきルールが遵守されていなかった点について厳粛に受け止め深く反省している。今回の事案を教訓に、改めてお客さま本位の販売体制を構築してまいりたい」と強調した。
 保険の乗り換えで不適切な販売があったのではとのかんぽ生命に関する報道については、「お客さまからの信頼なくして会社の成長はないとの認識の下、これまでも募集品質の向上を経営戦略上の最重要事項と位置付け、お客さま本位の営業活動のレベルアップのため各種取組みを実施してきている」とし、「コンプライアンスとお客さま重視の保険業務をやっていきたい」との考えを示した。
 また、6月17日から3日間にわたりかんぽ生命、ゆうちょ銀行、日本郵政の株主総会を開催したが、「株主からは日本郵政グループを応援する声をいただく一方で、低迷する株価や配当、成長戦略やデジタル化、IT化等の質問を広くいただいた。郵便局窓口での接遇対応や人材教育に関する質問もあった。貴重な意見を謙虚に受け止め、お客さまの利便性向上、株主への利益還元に配慮しつつ、企業価値向上に努めてまいる」と述べた。
 郵便の再配達削減に関し、CO2排出の抑制、労働力不足への対応などの観点が喫緊の課題とし、「対応策のひとつとして、玄関先などの指定する場所に非対面で配達する置き配について、便利さを広く認識していただくために、全国のモニター10万世帯を対象に、置き配体験モニターキャンペーンを展開する」ことを明らかにした。
 置き配は「OKIPPA(オキッパ)」の名称でドアノブに固定された袋状の宅配バッグとして、昨年12月に東京都杉並区の1000世帯に配布し、1か月間ほど実証実験、再配達率が約61%減少した実績がある。「盗難やいたずらについての報告も販売した1万数セットについても1件もない。本日(6月24日)から日本郵便のホームページで募集を開始している。多くの方に便利さをぜひとも体験いただき、再配達が大幅に削減できることを期待している」とした。
 5月30日から販売している令和元年の夏のお便りはがき(かもめ~る)については、「令和元年と刻印されている新しい時代の記念になるはがきは現在のところこれだけになる。今年はくじにも趣向を凝らした。1等1万円、2等2000円の現金が当たるほか、小型切手シートについても、かもめ~る専用デザインで発行することとしている」と、多くの利用を呼びかけた。
 ゆうちょ銀行の投信販売に関する記者からの質問に対しては、改めて「たいへん遺憾である」とし、日本証券業協会のガイドラインで「75歳以上は担当者が管理者の了解を得た上で勧めるというルールがある。我々は70歳以上について適用している。70歳以上のお客さまの健康状態、担当者の言っていることを理解されているのか、そもそも投信業務の対象になり得るのかという入口で、1度許可をもらうことになっている」と説明した。
 そして「実際に契約するという段階になったらもう一度、担当者が管理者の了解を得る」のルールだが、「今般判明したのは、1回目の了解を取らずに2回目で合わせて了解を取ったものとして運用していたケースが多々あった」とした。
 「2回のところを1回目はせずに2回目と一緒にやっていたのがルール違反。違反が発生した店舗は、ゆうちょ銀行の233直営店の約9割。70歳以上の契約者の約4割となる。現在の社内規則が遵守されていなかった」と明らかにした。
 かんぽ生命の契約の乗り換えに関しての質問には、「高齢者への保険販売は、コンプライアンス重視の姿勢で取り組んできた。いたずらに保険契約を取ることだけで営業成績にしてはいけない、どれだけ継続していただけるのかをコンセプトに入れ、評価制度等々についても変えてきている」とした。
 また「保険の渉外社員は約1万9000人、かんぽ生命自身にいるのは約1000人で多くは郵便局にいる。日本郵便も含めてコンプライアンス重視でやっていこうと鋭意一生懸命にがんばっている最中」と述べ、「明確な法令違反があったとは思っていないが、チーム一丸となって、さらにコンプライアンス重視、お客さま重視の営業を強化していく」と強調した。


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