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第6983号

【主な記事】

かんぽ株、3割を売却
[日本郵政]保有率は約65%に

 日本郵政は4月4日、保有するかんぽ生命保険の株式のうち最大1.85億株を売却すると発表した。発行済株式の3割にあたり、売却完了時には保有率は議決権ベースで現在の89%から65%程度に低下する。
 また、かんぽ生命保険は同日開かれた取締役会で1000億円を上限に自己株取得を決議し、8日に実施された。今後は最大で1.5億株が売却される。市場規模は3300億円から3400億円(株価2350円を想定した場合)の見込み。株式売却は2015年の上場時以来2回目となる。
 かんぽ生命保険は、東証の自己株式立会外買付取引で約1000億円、3741万株1100株を取得した。日本郵政から取得したのは3459万6700株で、残りの281万4400株は他の株主からのもの。取得時の株価は2673円(4月5日の終値)。取得に必要な資金は、1月に発行した1000億円の社債(期限前償還条件付き劣後債)を充てた。
 国内海外の売出数は1億3667万900株。そのうち、国内売出が9155万株、海外売出が3923万5600株、海外追加売出が588万5300株。このほか、オーバーアロットメント(証券会社が株主から株を借りて追加して売ることができる。売らない場合は株または現金で返却する。上限は予定株数の15%という規定)により、最大1373万2400株の売り出しができる。
 今回の株式売却について日本郵政は「株価や国内外の経済情勢、資金需要、保有が3分の2を下回る、連結業績に与える影響などを勘案したうえで判断した」とその理由を説明した。
 通信文化新報の「今回の売却による次期連結業績にはどの位の影響があるのか」との質問に、日本郵政は「売却により持ち分が減り、かんぽ生命保険からの利益反映額は減ることになるが、売却数などが確定していないので、正確な数値は持ち合わせていない」と回答した。
 全体の売却規模について4月4日の発表時に「4300億円から4400億円になる見込み」としており、その活用について日本郵政は「企業価値向上に向けて、戦略的投資や株主還元を考えている。アフラックへの出資もその一つ」と話している。
 かんぽ生命保険では「日本郵政の保有株の売却は、民営化が進んでいるとみなされ、新商品などの認可申請をする際には、状況が変わるのではないか」と前向きに捉えている。
 売出価格は、4月15日から17日までのいずれかの1日に決定される。申込期間は、売出価格決定日の翌営業日から2日間。100株単位。株の受け渡しは売出価格決定日の6営業日後。
 日本郵政のかんぽ生命保険株の1回目の売出は、2015年11月4日の同時上場時。かんぽ生命保険の売出価格は1株2200円。初値は2929円だった。


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