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第6753号

【主な記事】

丸ポストのロゴマーク
東京都小平市 地域活性化に

 東京都小平市は、郵政事業の原点の一つとなる“丸ポスト”をデザインしたロゴマークを採用した。これまでも町おこしの一環として、市内に多く現存する丸ポストを市民とのコミュニケーションツールとして活用してきたが、さらにPRするためにロゴマークを市民から募集。郵便局長なども加わる選考委員会と市民による3次審査まで行い、市として初のロゴマークが完成した。小平市はこの新ロゴマークを使い、「丸いポストのまちこだいら」を広く発信していく。



 自治体と郵便局の連携はこれまでもワンストップ行政サービスや郵便局のみまもりサービス、ひまわりサービスなどが展開されてきたが、市のシンボルとなるロゴマーク採用の形で連携するのは全国的にも初めて。地域に根差すトタル生活サポート企業として、郵政グループの企業価値向上にも寄与する点で注目されている。
 文化の香り高く、また温かなイメージの丸ポストは東京23区内には5か所しか残されていないが、小平市には31か所現存し、2番目に多いあきる野市よりも13か所多い。
 こうしたことから、丸ポストを使った町おこしをしていこうと、2009年(平成21)年10月に高さ280センチの「日本一の丸ポスト」を作成した。その後も、仮面ライダーのような3人組キャラクターの地域宣伝隊「コダレンジャー」のリーダーとして、〒マークが顔に入る「丸ポスレッド」を誕生させるなど、ブルーベリーやグリーンロードと共に、市のシンボルとして丸ポストを活用してきた。
 一昨年には市制施行50周年記念に、全国の丸ポストを蘇らせようと各地の郵政関係者の代表が集まり、「丸ポストフォーラムinこだいら」も開催された。このほかにも例年秋に「こだいら丸ポストラリー」として、市民に町並み
を楽しんでもらいながら、丸ポストを探し当ててもらうイベントも行われている。
 昨秋、市の予算を検討する段階で、さらに丸ポストを地域活性化につなげようと、産業振興課から丸ポストを使ったロゴマーク選定が企画され、「グリーンロード産業活性化策」の中で「丸ポストマスコットキャラクター費」として7万1000円が確保された。ポストは商標登録の問題があるため、日本郵便に相談し、どのようなやり方をすればロゴマークとして使っていけるのか事前に話し合った。
 今年6月23〜7月18日に、市民に「丸いポストのまちこだいら」として、ロゴマークデザインと丸ポストへの想いを綴った作品を募集。応募箱、郵送、電子メールで約1か月間受け付けた結果、63人から作品が寄せられた。
 審査に当たり、6人の選考委員会を結成。市からは滝澤清児市民生活部長、齋藤豊企画政策部長、日本一丸ポスト愛好会の内野三次会長、武蔵野美術大学
の宮島慎吾教授、郵便局から乾幸彦局長(小平)と小田倉格局長(たかの台駅前)が委員となった。
 ロゴマークの選考基準は①地域で愛着があふれるような「シンボル」的存在として地域のつながりを深め、商業の発展や消費の拡大につながる②これまで以上に愛される丸いポストのまちこだいらを象徴③市民に親しまれる―の3点が基準となった。
 63作品を委員が5点満点で採点。1次審査で8作品に絞り、それらを市役所、ルネ小平、西武出張所の3か所にパネル展示し、好きな作品に〇を付けてもらう形で、約1か月間にわたり市民の人気投票を行った。
 1623票の有効票数があり、2次審査として4作品が選定された。4作品をさらに委員で審査し、最終的に天田ひろみさんの作品が最優秀賞としてロゴマークに採用され、他3作品は優秀賞に選ばれた。
 11日から12月12日まで行われている恒例の「こだいら丸ポストラリー」では初めて新ロゴマークをプリントしたハンドタオルが先着600人の市民に配られた。
 また、市内の郵便局とゆうちょ銀行が協力し、ロゴマークを使ったオリジナルタオルが11月12日に完成。地域内の郵政グループの販促活動用として小平市内全局(18局)とゆうちょ銀行小平支店で使われていくこととなった。
 産業振興課の若月寛さん(観光まちづくり担当)は「予算7万円という中で1600人以上もの市民を巻き込み、これほどのことができたのは、郵便局が地域に根付いた存在だからこそ。費用対効果の大きな事業として課としてもやりがいがあった」と話した。
 一方、選考委員の一人で、ゆうちょ銀行と共にロゴマークを使ったオリジナルタオル作成に中心的に携わった小田倉局長は「丸ポストの持つ温かなイメージから市民の皆さんに安全、安心さを届けていきたい。オリジナルタオルも使いながらさらにコミュニケーションを深めていきたい」と意欲を示している。


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