コラム「春秋一話」

 年/月

第6944・6945合併号

自治体の2040問題

 1971年~74年生まれの「団塊ジュニア世代」が70歳を超える2042年には、高齢化がピークを迎える。年間に200万人から210万人生まれたという人口ボリュームのある世代が、高齢者になれば、年金・医療、地方の生産年齢人口の減少など、社会制度のひずみが一気に顕在化する。それが2040問題だ。
 2040年以降に20歳代となる人たちは100万人を切っている。この時、60歳代後半となる団塊ジュニア世代は183万人と予測されており、とても支え切れない。
 少子高齢化は急には止められない。人口縮減時代に向けて国の在り方を根本から変えなければならない。来る2040年に備え、総務省や内閣府、厚生労働省で、熱い議論が交わされている。
 2040年の就労者数は5650万人で、今年と比べて930万人減ると予想されている。7月3日に報告された総務省の「自治体戦略2040構想研究会第2次報告」には、「公的部門と民間部門で少ない労働力を分かち合うこと」を想定し、スマート自治体への転換を提唱している。
 団塊ジュニア世代が退職時期を迎える2030年頃からは、民間企業、地方自治体ともに、社員や職員の採用を増やさない限り、就業者数は減少していく。
 人材争奪戦に突入する時、42万人でサービスを回している日本郵政グループはどう乗り切るのか。業務の省力化・効率化は自治体以上に求められるだろう。
 同報告では、職員が半分になっても必要なサービスを提供するために、AIやロボティクスの活用、自治体情報システムの統一といった方法で、バックオフィス機能の省力化を提案しているが、導入時期や技術の活用方法などで具体性に欠けており、その実現には疑問が残る。
 所得・資産価値の減少に伴い税収も下がる。職員数だけでなく人件費の捻出も問題になる。「人口縮減社会へのパラダイム転換」が提唱されているが、それには延長線上にあるものを変えるのではなく、現行制度の徹底したスクラップアンドビルドが必要になる。「公務とは何か」「公務員という身分」「行政サービスの範囲」といった原点から住民と共に考えたい。
 行政が民間と人材を分け合う時代。日本の競争力や成長に直につながる民間には特に人材が求められる。公務員は安定していて大企業の水準に合わせた比較的高い賃金、手厚い福利厚生など人気が高い職業だ。高度経済成長期には民間企業に多くの優秀な人材が集まり、産業の成長を支えた。当時は公務員は賃金が低く、現在のような人気の職業ではなかったこともある。
 行政サービスは、専門性の高い業務や行政判断の必要な業務など公務員が直接実施しなければならない仕事を除き、必ずしも公務員が担う必要がない。
 団塊ジュニア世代はバブルが崩壊した就職氷河期に社会人になった世代で、給与が比較的低く、人によっては年金未加入のケースもある。65歳を迎えても生活に必要な年金が得られず働かなければならない人が多いことが予測される。高齢者というハンディを乗り越えて働くには、多くの困難も生じるだろう。
 行政の業務を洗い直し、障害者や高齢者、子育て中の人などにもできるだけ多く開放してはどうか。公務と民間業務を兼務する半官半Xという働き方も良いと思う。行政への参加意識も高まり様々な効果が生まれる。
 同報告では「公助、共助、自助のうち基本は自助。自治体には新しい公共私相互間の協力関係を構築するプラットフォームビルダーに転換すること」を求めている。それには公共サービスの範囲をどうするのか、公務員制度の在り方も含めて議論が必要だ。支払った税金と受ける便益、大きな政府・小さな政府、主権者であり納税者である国民は国や自治体のあるべき姿を主体的に考える必要がある。
(招福招き猫)

第6943号

景況感は2期連続で悪化

 日本銀行は7月2日、全国企業短期経済観測調査(日銀短観)を明らかにした(2018年6月調査)。企業経営者の景況感を表す代表的な指標である大企業・製造業の業況判断指数(DI)は、プラス21となった。
 前回の3月調査(プラス24)から3ポイントの低下で2期連続。DIの2期連続の悪化は2012年の9、12月調査以来で、5年半ぶりとなる。景気に陰りが見える。
 背景には原油価格の上昇を販売価格に転嫁できず、利益が縮小していることや、米国のトランプ政権による貿易摩擦も企業心理を圧迫しているのではないかと指摘される。
 短観は約1万社を対象に年に4回実施され、景気の現状や3か月後の見通し、収益や設備投資などについて調査、企業規模や業種別に集計する。
 DIは景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と回答したものを引いた指数。景気の動向を把握する重要な指標とされる。
 今回の短観では、業種別に見ると原油高による原材料の値上がりで、自動車、鉄鋼、非鉄金属などが悪化し、電気機械ではIT需要が一服したことなどによって下がった。
 石油・石炭製品は13ポイント、鉄鋼1ポイント、非鉄金属6ポイント、業務用機械5ポイント、電気機械4ポイント、自動車が7ポイントほど悪化している。
 3か月後の見通しもプラス21で横ばいとなっている。指数はまだ高い水準だが、景気拡大が続くかは見通しが立たない。石油・石炭製品は24ポイント、自動車は2ポイントほど更に悪化すると見込んでいる。
 短観で2期連続で悪化したのは、資源価格の上昇と世界的な貿易摩擦への懸念が大きい。3月にトランプ政権が行った鉄鋼・アルミニウム製品の輸入制限を契機とした貿易摩擦は、中国や欧州からの報復合戦となっている。
 自動車や部品の輸入制限の検討も明らかにしており、一層の貿易摩擦の拡大が懸念される。世界経済にも深刻な影響を与えかねない。短観でも「貿易摩擦を懸念する声が出ていた」という。企業も貿易摩擦で先行きにどのような影響が出るか判断に戸惑っている。
 短観が発表された週明けの2日、東京株式市場も貿易摩擦を懸念して全面安となった。日経平均株価は前週末比の下げ幅が一時は520円を超えた。終値も492円58銭安となった。
 国内需要も陰りが見える。百貨店の衣料品売上げは4年連続で前年割れ、コンビニ大手の7社の来店者数は連続してマイナスとなっている。今回の短観でも小売業のDIは11ポイントも急落した。個人消費に強さはない。
 消費者の節約志向も強く、内需に勢いが欠ける中、原材料の値上げや米国発の貿易摩擦の拡大が暮らしに影響する。良くも悪くもトランプ政権から目が離せない。
(和光同塵)

第6942号

銀行も新ビジネスの開発を

 「お金を預けられるのは銀行だけ」と出資法は規定する。利用者は銀行に預けるのも、証券会社のMRF、仮想通貨に交換するのも変わらないように思うが、MRFや仮想通貨は投資に分類される。その違いは、預けたお金の保証にある。信用の維持と預金者の保護のため、銀行には本業を健全に保持する規制が幾重にも課せられている。
 「免許制」に加え「自己資本比率規制(国内業務は4%、国際業務は8%以上)」「出資の5%ルール(業務に関連のない会社に出資する場合の割合)」「金融持株会社が子会社化できるのは銀行・保険、証券会社やコンサルティング会社など金融庁の所管する業種に限定」「預金保険(国内銀行のみ)」など。
 これらの規制は、銀行業務の預金(貯金)・融資(貸付)・為替取引(決済)といった本業の健全性を保つためだ。預金業務以外は、銀行以外の事業者も金融庁に登録すれば行える。決済はクレジットカードや電子マネー、仮想通貨を運営する事業者、貸付は貸金業者、最近はシャドー・バンキングやP2Pレンディングといった投資家からの直接投資も増えている。
 106行ある国内銀行の半数以上が本業は赤字という厳しい状況が続く。低金利で利ザヤが低く、資金需要が伸びないのが主な原因。特に地方銀行は地元経済の落ち込みなどの影響で、経営悪化が目立つ。地方金融機関では少ないパイを巡り金利競争が激化し、体力を消耗させる。
 金融庁では「金融仲介の改善に向けた検討会議」を開き、4月に「地銀の経営統合により、持ち直しを図りたい」とする対応策をまとめた。福岡県では、銀行2社を統合しようとしたが、貸付け業務の多くがこの2行であることから、公正取引委員会から“待った”がかかった。
 同検討会メンバーの村本孜・成城大学名誉教授は「体力があるうちに統合しておきたい。業務コストの削減ができる」と理由を話すが、コストを削減しても、本業や本業以外で稼げなくては単なる延命に過ぎない。地方経済が縮小する中、担保を取っての融資という安全第一のビジネスモデルには限界が来ている。銀行も一緒になり地域が元気になる知恵が求められる。
 麻生太郎財務大臣も6月18日の会見で「利ざやだけではなかなか稼げない時代。新しいモデル開発の努力をしない限りは、人口減少の中、地方銀行は生き残りにくくなっている」と更なる努力を促す。
 銀行にしかできない預金集めだが、「金融審議会金融制度スタディ・グループの中間整理」では、10年後の金融の姿の中で「新たな決済手段などが普及し、金融の中核とされてきた銀行や預金の相対的な重要性が低下していく可能性がある」と予想。金融機能の分類から預金を外した。銀行の業務範囲規制についても「その有効性と副作用について検討」が明記された。
 日本郵政の長門正貢社長は6月26日の会見で「限度額引き上げで熱のある報道がなされているが、預金は金融マーケットで重要テーマなのか。フィンテックにより金融機関の機能低下や、アマゾンが金融機関を持つといったことがメーンなのではないか」と疑問を投げかけた。
 レンディング機能により個人でも貸付ができる時代。仮想通貨を使えば個人間の送金も銀行を通さずにできる。EC事業者は自ら決済を行う。銀行自体の役割が低下する中、他の業界の事業者との競争というフェーズに来ている。
 銀行の規制の在り方や新しいビジネスが議論される中、ゆうちょ銀行には相変わらず上乗せ規制が存在する。狭い範囲で議論をしていては、国民の貯金を国民のために有効活用することができないのではないか。ゆうちょ銀行も画期的なアイデアで新たな金融ビジネスに早く参戦できる道を望みたい。
(招福招き猫)

第6941号

感動を与えてくれるスポーツであるために

 梅雨時はうっとうしい気持ちになる人も多いだろうが、紫陽花も咲き、あまり苦ではなく、どちらかと言えば好きな方だ。少年期を過ごした農村では、梅雨時は田植えの時期で、どこかお祭りのような気分を味わえたからだと思う。もう今は田植えの時期も早まり、機械化も進んでその様相は変っている。 
 少年期の思い出が、この時期を好きにしているのだろう。暗くて、不愉快なニュースしか届かない日々の中で、気持ちを解放してくれるのはスポーツぐらいだろうか。金正恩朝鮮労働党委員長とアメリカのトランプ大統領の米朝会談の契機として、平昌オリンピックがあったと伝えられる。現在ではスポーツは想像以上の役割を果たしているのだろう。
 かつては夫婦でプロ野球を見に行ったが、連れ合いはいつの間にかサッカーに夢中だ。私はサッカーはぜひにという方ではないが、それでも妻が熱中するテレビをつられて見てしまう。今は、ワールドカップの最中。2020年の東京オリンピックも近くなり、獲得する金メダルの算段まで取りざたされる。
 今、我々の気分を解放してくれるスポーツを気持ちよく迎えるためには、どうしたらいいのだろうか。そんなことを時々、考える。心を痛めるというか、スポーツ関係の不祥事のニュースに接することも少なからずあるからだ。例えば、アメリカンフットボール(アメフト)での日大選手の悪質タックル事件がある。
 この事件の経過や結末については改めて述べるまでもなかろう。歪められたスポーツにより不快な気持ちにさせられた、ということだけを記しておけばいいだろう。それにしてもスポーツに絡まる不愉快な事件は多すぎるのである。
 スポーツは個人競技から団体競技まで多種多様で、より速く走る、より遠くに投げる、あるいは球を投げるから球を打つまで多くのことがある。個人がその身体的能力を駆使し、それを競い合うものだ。しかし、これは歩くとか、走るとか自然な行為ではなく、意識的に行うものだ。生理的身体の活動(行動)であると同時に精神的な活動が加わっている。
 それは人間的な欲望の発動であり、音楽を奏でたり、絵を描いたりする芸術と同じで、広い意味での文化的活動と言える。自然でありながら自然を超えたいという人間的欲求の発現である。これはそれをなす人間に大変な快感(解放)をもたらす。
 また、スポーツの主体である行為者だけでなく、観る人にも快感を与える。快感とは感動でもある。これは、日常を超えた感動であり、祭りの時に人が持つものと同じである。
 スポーツはそれを行為する、いうならアスリートが主体であり、行為そのものが目的で、それ以外に目的はない。また、それが人を感動させる。ただ、現実にはそうとばかりいってはいられない。主体である個人がその能力を高めるために必要とする時間をはじめ、競技として演ずる場など個人を超えたものが必要となる。環境や場が不可欠になるからだ。
 これはスポーツに新たな目的を呼び込むことになる。国家の威信、企業や団体の宣伝のためとかである。スポーツのための環境や場が必要で、その整備には資金が必要となる。ここにスポーツに目的を持ちこむ契機が出てくることは認めるが、そこがスポーツに歪みをもたらすことも見ておかなければならない。
 不詳事はいろいろとあるにしても、ここに原因があるのだ。スポーツは競技者が主体の世界であり、そのことにおいて私たちも感動を受け取れるのだという、シンプルだがこれが原則である。オリンピックも近くなってきた。その狂騒がスポーツを歪めさせないためにも、この原則を考え、そこに立ち戻りたいと思う。
(坂田の力)

第6940号

資産運用で利用したいのはゆうちょ銀行

 「資産運用で利用してみたいと思うのはゆうちょ銀行」。CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの専門機関、㈱J・D・パワージャパンが6月7日、2018年度個人資産運用意向者調査の結果を明らかにした。今年4月に、資産運用商品に関心はあるが未経験者の20~69歳の男女を対象に行ったもので、約7500人から回答があった。
 資産運用商品については、現在保有しているのは34%、過去に利用したが現在は行っていないのが10%、関心がない43%、興味関心がある利用意向者は13%となっている。若い世代ほど利用意向が高く、20代では26%と4人に1人が関心を持っている。ちなみに30代20%、40代14%、50代8%、60代4%。
 年代が上がるほど関心が低いようだが、既に保有している人が60代では44%に上り、50代38%、40代31%、30代30%、20代18%となっている。保有者と利用意向者の割合は、各世代ともほぼ半数となっていることが伺える。
 資産運用に関心を持ったきっかけは「周囲の成功体験」、目的は「生活のゆとり」や「老後の蓄え」が最も多い。年間投資希望額の平均は36万円となっているが、商品知識や運用イメージについては低いことも浮き彫りになったと指摘されている。
 資産運用で利用したい金融機関は、ゆうちょ銀行が1位で28%。続いてネット銀行26%、メガバンク22%、証券ネット21%、地方銀行20%、証券会社14%、信託銀行11%などとなっている。逆に利用したくない金融機関は、ネット銀行12%、地方銀行8%、証券ネット8%、メガバンク7%、証券会社6%、ゆうちょ銀行6%、信託銀行4%。
 ネット銀行は両方で上位にあがっており、手数料の安さがメリットの一方で、企業活動をよく知らないことがデメリット、地方銀行は利用したいで下位、利用したくないで上位となっており、投資意向者に魅力度が低いなどと分析している。また、証券会社、信託銀行の利用意向は低く、資産運用の専門性が理解されていないのではないかとしている。
 金融機関と投資意向者の接点では「既に何らかのアプローチがあった」との回答は13%、「投資口座を保有している」は32%。どのようなアプローチや情報を求めているかでは、3割以上がメールや店頭、電話でのアプローチ、さらに7割以上が商品、キャンペーン、セミナーといった情報を望んでいることが分かった。また、商品やリスクについての知識が乏しいことから、資料請求や口座開設の足かせとなっており、運用の開始に踏み切れないという。
 日本の金融資産は諸外国と比べると預貯金が圧倒的に多く、投資信託や株式などが少ない。資産運用に向けては、投資意向者の知識やニーズに合わせたアプローチ、不安の解消につながる情報の提供といった取組みが求められるとしている。
 ゆうちょ銀行では新中期経営計画で、ライフスタイル・ニーズに応じたコンサルティング業務の推進、投資信託の拡大などを通じた良質なポートフォリオ構築への貢献をあげている。
 投資信託の残高を2017年度から1.7兆円増やし2020年度には3.4兆円にするとしている。さらに2027年度には10兆円にすることを目指す。ニーズに合わせた商品・サービス、就職や退職、相続などに応じた的確なコンサルティングの充実が期待される。
(和光同塵)

第6939号

出生数は過去最少を更新

 2017年に生まれた赤ちゃんの数は94万6060人で16年に続いて過去最低を更新した。16年からは3万918人の減少。合計特殊出生率(女性が生涯に産む子どもの数)も1・43と16年から0・01ポイント低下した。
 厚生労働省が6月1日に発表した人口動態統計で明らかになった。少子化が進んでいることが浮き彫りとなっている。出生数が100万人を割り込んだのは16年の97万6978人から2年連続。統計を取り始めた1899(明治32)年以来、最少となった。 
 死亡数は3万2685万人ほど増えて134万433人。高齢化を反映して戦後で最多となった。昭和50年代後半から増加傾向となり、03年に100万人を超え、16年から130万人台になっている。
 出生数と死亡数の差である自然減は39万4373人。16年の33万770人より6万3603人減少した。05年に戦後初めて死亡数が出生数を上回り、07年以降は11年連続で自然減が拡大している。
 婚姻件数は1万3668組減の60万6863組と戦後最少となった。13年から5年連続の減少となった。離婚件数は4536組減の21万2262組。02年の28万9836組から減少傾向が続いている。
 平均初婚年齢は夫31・3歳、妻29・4歳で、夫妻ともに前年と変わらなかった。平均初婚率が最も低いのは夫が宮崎県の29・8歳、妻が福島県、佐賀県の28・6歳。最も高いのは夫妻とも東京都で、夫32・3歳、妻30・4歳。
 第1子出生時の母の平均年齢は30・7歳。晩婚化の進展も少子化の要因の一つともなっている。出生数のうち第1子は43万9257人、第2子は34万8832人、第3子以上が15万7971人。
 合計特殊出生率は、平成17年に1・26となったのに比べると若干の上昇は見られるが、人口を維持する目安とされる2・07からはほど遠い。政府は合計特殊修正率を30年に1・8、40年に2・07まで引き上げ、人口1億人を維持することを目指すとしているが、その達成は難しい状況だ。
 都道府県別では沖縄県1・94、宮崎県1・73、島根県1・72、長崎県1・70、鹿児島県1・69が高く、東京都1・21、北海道1・29、宮城県1・31、京都府1・31、奈良県1・33が低くなっている。
 内閣府の調査ではフランス1・92、スウェーデン1・85、アメリカ1・84、イギリス1・80、ドイツ1・50。こうした諸外国と比較しても日本の低さが目立っている。
 安心して出産・子育てができる環境の整備が急がれる。非正規の増加により収入が不安定といった社会問題もある。若い人たちの雇用の安定、働く人の所得拡大、地域の活性化などが政治に課せられた役割だろう。
 認可保育園になかなか入れないことも課題だ。待機児童ゼロも未だに実現していない。認可保育園に入れない待機児童は約2万6千人とされる。進展する少子高齢化社会で、郵便局ネットワークの果たす役割もますます期待されるだろう。
 65歳以上の高齢者は約56万人増えて3515万人となった。人口の28%を占める。5年前から4ポイント上昇した。なお、17年の主な死因は1位はがんで27・8%、2位が心疾患(高血圧性を除く)15・2%、3位は脳血管疾患8・2%、老衰7・6%、肺炎7・2%。これから梅雨、そして暑い夏となる季節の移り変わりを迎える。身体をいたわってください。(和光同塵)

第6938号

GDPは9四半期ぶりに減少

 内閣府が2018年1~3月期の国内総生産(GDP)の速報を5月16日に明らかにした。物価変動の影響を除いた実質成長率(季節調整済み)で、前期(17年10~12月期)から0.2%減少。同じ状態が続くとした年率換算では0.6%減となる。マイナス成長は15年10~12月期以来、9四半期振りだ(2年3か月)。
 景気の回復基調は変わっておらず、一時的な下振れとされるが、生活は豊かになったとの実感はまだ薄い。物価変動を織り込んだ消費者の実感に近いとされる名目GDPでは、0.4%の減になった。年率換算では1.5%の減となる。
 実質を項目別で見ると、個人消費が0.001%減、住宅投資は新規着工の減少などによって2.1%の大幅減と内需はマイナスとなっている。国民生活に関わるものが昨年後半から落ち込んでおり、実質賃金の低迷が要因。企業の設備投資も0.1%減。売上げが伸びないと設備投資には回りにくい。
 輸出は0.6%増だが、2四半期連続で2%台の増加となっていたのに伸びが陰った。個人消費も設備投資もいずれもマイナスで、プラスはかろうじて輸出くらいだ。実質GDPの増減に対する寄与度は内需がマイナス0.2%、外需がプラス0.1%。外需に頼るだけでなく、内需をいかに温めるかが一貫した課題となっている。
 GDPの6割を占める個人消費が伸びず、設備投資も消費が不振であれば増えない。2018年3月決算では多くの大企業が過去最高益をあげ、内部留保は400兆円を超えたとされるが、賃金や雇用の改善になかなか回らず、中小企業はさらに厳しい。可処分所得の減少傾向は続く。日本のGDP成長率は主要国の中でも低い。17年の実質GDPは日本が1.7%増だが、カナダ3%増、ドイツ2.5%増、米国2.3%増などとなっている。
 中間所得層の崩壊で所得格差が拡大したと言われて久しいが、所得格差の拡大は経済成長にとってはマイナスで、教育の機会均等の喪失や新たな産業創出意欲の減退にもつながり、かえって社会の衰退を招くと指摘されている。
 少子高齢化社会も急速に進展、地域の疲弊が懸念されている。内需の拡大には可処分所得の増加が必要だが、新たな時代の要請に即した産業政策が求められる。
 環境やエネルギー、介護や看護、保育、教育などをはじめ地場産業の活性化が重要だ。製造業は得てして技術革新や海外への生産拠点の移転によって雇用を減少させるが、地場産業を育成することは地域でお金が巡り、雇用も維持する力となる。
 郵便局が取り組んでいる地方創生にも期待したい。全国郵便局長会は、特産品の発掘、郵便局ネットワークを活用してのふるさと小包の拡大に加え、今後は観光や6次産業を支援し、地域全体の活性化、経済発展を目指すとしている。
 農林水産省によると「農林漁業者(1次産業)が、生産物の価値をさらに高め、それにより所得を向上していくこと。生産物の価値を上げるため、生産だけでなく加工(2次産業)、流通・販売(3次産業)にも取り組んで活性化、地域の経済を豊かにしていくもの」が6次産業。
 1次産業×2次産業×3次産業のかけ算による6を意味する。今村奈良臣東京大学名誉教授が提唱したとされる。所得向上や雇用の創出で地域の活性化を図る地域の取組みに、積極的に参画することは、公的使命を担う郵便局にとって大きな意義がある。
(和光同塵)

第6937号

スポーツの醍醐味を楽しむには

 これほどとは…と驚きを持って見ている。
 大谷翔平選手の活躍だ。テレビ観戦で楽しんでいる。さすがに、午前2時とか午前5時の放送まで観ることはしないにしても。かつてはイチローの活躍に一喜一憂していたこともあるが、今や引退状態だし、やはり翔平に注目する。
 世の中、どこを見渡しても面白くない事件が多い中で、彼の活躍は救いと言ったら大げさだが、気持ちを癒してくれる。23歳の若者がこんな風に出現することは奇跡なのだろうか。
 スポーツは文化であるが、その文化も心を熱くしてくれるものは少ない。スポーツはその最後のものなのだろうか。しかし、スポーツもそうとばかりは言っていられないこともある。
 例えば、昨今のメディアを賑わしているアメリカンフットボール(アメフト)での日大選手の反則事件だ。日大の守備選手が、関西学院大のQB(攻撃の司令塔の選手)に反則のタックルをして負傷させた。
 アメフトも好きで、これもBS放送でよく観てきた。格闘技に近いところもある激しいスポーツだ。その激しさが魅力の一つだが、それだけにルールは厳しいことも感じている。反則行為で相手を負傷させたことは驚きだったが、その後の対応は心を暗くするものだった。
 行為をなした日大の選手が記者会見で事の経緯を語り、謝罪した。いきさつを語る言葉には真摯さがうかがえ、暗い事件を救ってくれるような若者の行動だったが、これからはアメフトを断念すると述べていたのは心が痛むことだった。
 反則行為はどうやら監督やコーチの指示によるものらしいが、彼らは自分たちの意図と選手の受け止め方に乖離があったと言う。やりきれない思いにさせられる。 
 女子レスリング選手に加えられたパワハラ問題も心のどこかで消えがたく残っているが、相撲の世界の暴行事件といい、目をそむけたくなることもスポーツ界には多い。
 私がスポーツの世界(柔道)に入り浸っていたのは高校生の頃までだが、その後もスポーツは好きで、観るだけとはいえ親しんできた。そして、スポーツの世界のことはいろいろと考えてきた。スポーツの世界が輝き、選手だけでなく観る人たちも心を熱くし、感動に導くものは何かということだ。
 多分、それは自己の身体(肉体)を鍛え、競技として発現することだが、この身体(肉体)を鍛え高めるのは、人間の生命活動であり、発展の望ましい欲望(欲求)である。抑制さるべき欲望とは正反対の人間的な欲望の発露である。あたかも歌のように。これは歌と同じように文化と呼ばれる人間的な活動の展開なのだ。
 だが、そうであるにしても、何故にスポーツは暗いことも生むのか。それは何かのための手段として利用しようということが絡むからである。スポーツ選手たちに宿るであろう名誉心や虚栄心も、個人の内に発しそこに止まる限りでは美しいものだ。観ている人たちにも不快感はもたらさないだろう。国家威信のため、何らかの団体の宣伝のためというスポーツ選手を利用する契機が、支配的にならなければいいのである。
 現在はスポーツ選手が活動を存続させるには、個人としてやっていくことは難しい。スポーツ選手を取り巻く矛盾であり、環境の厳しさである。ただ、これは「スポーツは競技者第一」ということを誰もが認めることにおいて超えていけることだし、そこが大事なことである。
 スポーツにおいては選手(競技者)が第一であり、それによって観る人を感動もさせられる。
 やがて、東京オリンピックというスポーツの祭典も開かれる。それがうまくいくか、どうかは「選手(競技者)第一」ということが貫かれるか、どうかにかかっている。スポーツを楽しむのに理屈なんかいらない。そうあって欲しいのだが…。
(坂田の力)

第6936号

新中期経営計画と郵便局ネット

 日本郵政グループは2018年度から20年度までの「中期経営計画2020」(新中期経営計画)を5月15日に明らかにした。「お客さまの生活をトータルにサポートする事業の展開」「安定的なグループ利益の確保」「社員の力を最大限に発揮するための環境の整備」「将来にわたる成長に向けた新たな事業展開」の4点を基本方針とする。
 「郵便局ネットワークを中心にグループ一体となって、チームJPとしてユニバーサルサービスを維持しつつ、トータルサポート企業グループを引き続き目指す」が、新中期経営計画の3年間は厳しい状況が続く見通しも示している。20年度のグループの純利益は4100億円超と見込むが、稼ぎ頭のゆうちょ銀行が17年度の3527億円に比べて2800億円に止まる。
 郵便局ネットワークの維持・強化が求められるが、「地域ニーズに応じた個性・多様性ある郵便局展開等、郵便局ネットワークを最大限に活用して地域と共生」することを挙げる。日本郵便が検討してきた郵便局ネットワークの将来像での内容が反映されている。
 5月9日に開かれた総務省の郵便局活性化委員会では、全国郵便局長会の青木進会長、山﨑雅明副会長、JP労組の柴愼一副委員長らが「郵便局に期待される役割と利便性向上策」で意見交換した。青木会長は、日本郵便と話し合いを重ね郵便局ネットワークの将来像を策定したことを明らかにし、柱は地方創生と地域貢献と強調した。重視するのは法律で明確にされている「公益性と地域性の発揮とユニバーサルサービスの提供」。そのためには「2万4000の郵便局ネットワークを維持・向上させることが必要」とした。
 3事業のユニバーサルサービスに加え、地域のニーズに合った金融商品の提供や高度なコンサルティングサービスも想定している。75歳以上の後期高齢者が増える“重老齢社会”に向けたサービスの開発や、地域のニーズに合致した商品・サービスを展開する。
 合わせて、郵便局運営の弾力化や窓口時間の多様化についても検討している。これらは新中期経営計画にも盛り込まれており、青木会長は「2人局で非常勤を1人配置すれば300世帯は回れる。買い物支援など様々なことができる」とし、自治体との連携強化の方針も改めて明確にした。
 自治体と地域の見守りや情報の提供などを行う包括協定の締結を進め、「まちづくり協議会」などを立ち上げ、地域のニーズを聞きながら郵便局ができることを提案していく。過疎地については、撤退する金融機関や自治体の支所の事務を引き受けることも考えられる。
 北海道の由仁町では、郵政OBやオピニオンリーダーを巻き込み「郵政事業協力会」が立ち上がっている。協力会の活動によって郵便局が役場の支所業務を受託した。文書収受事務として、役場に提出する書類などを受け付け、役場に届けることを行っている。
 柴副委員長は「社会構造の変化に対応した郵便局の活用」について説明。フランスのラ・ポストの例を挙げ、高齢者を対象とした個人向けの商品・サービスの提供や、郵便配達員がみまもりや買い物代行、家電の設置、パソコンの操作支援などを行っていることを紹介した。
 郵便局ネットワークの将来像は、日本郵便の経営理念に基づき、そのあり方を明らかにしたもので、具体的な施策を展開する指針となる。
 郵便・物流事業では、成長分野の荷物事業を発展、IoTや新技術の活用を図る。郵便局運営も地域のニーズに応じて商品・サービスを提供。育児や介護などを含めた働き方改革も行う。人材育成も新しいことへチャレンジできる職場づくりを推進。局舎配置も郵便局を維持しつつ、市場性の高い地域には経営資源を投入。地域の実情に応じた知恵が出せるよう評価の仕組みも検討される。
 活性化委員会では小林史明総務大臣政務官が「郵便局には信頼がある。郵便局ネットワークは重要なインフラ。大事にすることを基本に、手数料を稼げる形にしていかなければならない。局長会はエリアごとにあり、文化や経済圏に一体感がある。やりたいことができるようにすることが重要」と指摘した。
 青木会長も「郵便局の歴史の中で大切なのは地域との信頼。それには相対でやるのが基本」と、人と人の温かみが感じられるのが郵便局。ますます郵便局ネットワークが国民生活の不可欠なインフラであり続けるよう新中経営計画の実現を期待したい。
(和光同塵)

第6935号

再配達は年間9万人の労働力を消費

 受取人が不在でも荷物を預けることのできる宅配ボックスの普及が求められる。再配達は日本郵便、ヤマト運輸、佐川急便で平均約20%にもなり、年間では約9万人分の労働力が消費され、二酸化炭素(CO2)の増加は約42万トンになると国土交通省が試算している。
 ネット通販の普及で荷物の配達が今後も増え続けることが予想される。一方でひとり暮らしや共働きの世帯が増え、配達時に不在の家庭も増え続けている。こうした解決策に期待が大きいのが宅配ボックス。配達時間を気にすることは必要なく、利用したいと答える人は多い。配達する側にとってもメリットは大きい。
 国土交通省では昨年11月10日、宅配ボックス設置部分の容積率規制を緩和する通知を出した。マンションなどの共同住宅などでは、共用の廊下と一体となった宅配ボックスの設置部分は、容積率規制の対象外とすることを明確化した。宅配ボックスの設置が柔軟にできることとなる。
 2016年12月から昨年3月まで福井県あわら市と宅配ボックスを扱うパナソニックが、106世帯を対象に行った実証実験(日本郵便、ヤマト運輸が協力)では、再配達率が49%から4か月平均で8%に減少した。再配達の減少により、労働時間も22.9時間が削減でき、同時にCO2も約466キロを減らすことできたと想定している。
 また、昨年11月から今年1月までの3か月間、京都市のアパートや京都産業大学のキャンパスに宅配ボックスを設置して行われた実証実験では、43%だったアパートでの再配達率が15%にまで減少した。労働時間では50時間を削減できたとする。
 いずれの実証実験でも再配達の削減には、宅配ボックスの普及促進が非常に有効な手段との結果が明確に出ている。国土交通省では、引き続き共同住宅以外の建築物を含めた宅配ボックスの普及に更なる施策を講じるとしている。
 既に容積率の上限近くまで建築されているマンションなどでは、宅配ボックスを設置しようとすると容積率を超えてしまう。こうした状況に対応するとともに、共同住宅に限らず、需要のあるオフィスビルや病院などにおいても、設置部分の一部を容積率に算入しない方針を検討している。複数の企業が使う共用オフィスの拡大もあり、病院でも入院患者や看護に来る人に根強いニーズがあるとする。
 日本郵便も宅配ロッカー「はこぽす」の設置拡大やコンビニなどでの受取りなどを推進している。戸建住宅での普及も望まれ、昨年2月には住宅設備メーカーなどと協力、大型メール便と書留、ゆうパックの受取・集配ができる宅配ボックスを開発した。
 分譲型の大規模団地で標準装備されるようになっており、同年6月からは、戸建住宅に設置した宅配ボックスへ書留などを配達するサービスを開始した。再配達の削減は深刻な労働力不足や環境への配慮、コスト削減など大きな効果が期待できる。宅配ボックスの一層の普及が期待される。
(和光同塵)

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