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2024年04月29日 第7246号

【主な記事】

郵便局長が現地案内
和歌山県への移住希望者

 和歌山県内8人の郵便局長が、移住の魅力をより多くの人に知ってもらおうと県と協力し、「郵便局長に会える現地案内」という形で活動を開始した。地域に根差した郵便局長が、地域の案内とともに、地域の人たちとのつながりづくりを支援していく。
 
 県の移住相談窓口「わかやま移住定住支援センター」では、移住希望者に向け、地域の人に会える「オーダーメイド現地案内」を実施している。
 オーダーメイド現地案内は、支援センターの移住相談員が、市町村の移住担当者と連携し、駅やスーパー、学校、病院などの生活環境をはじめ、先輩移住者など、地域の『人と暮らし』を希望に応じて、オーダーメイドで案内するもの。
 その中に新たに、地域に根差し、様々な活動に取り組んでいる郵便局長という、力強い存在が加わった。
 和歌山県には4地区連絡会(和歌山市地区連絡会=西岡久生統括局長/和歌山加納、和歌山県紀北地区連絡会=葛原良昭統括局長/隅田、和歌山県紀央地区連絡会=野村英雄統括局長/御坊塩屋、和歌山県紀南地区連絡会=南方慎一朗統括局長/新宮中央通)がある。
 郵便局と和歌山県は令和3年4月7日に包括連携協定を締結しており、和歌山宇須郵便局の野尻勝大局長が、和歌山県庁移住・定住推進課の訪問担当となった。
 野尻局長は県との窓口役として、月1くらいのペースで、郵便局でできること、お互いのサービスや可能性などについて話し合いを重ねてきた。
 県にとって、郵便局は地域に根差し、人とのつながりも広く強く、様々な情報も持つ頼れる存在だ。それを大いに活用していこうと約1年前から今回のプロジェクトがスタートした。
 県の公式移住ホームページ「わかやまLIFE」が3月にリニューアル。和歌山県の良さを知ってもらうためには、地域の人たちとの交流が大きなポイントとなることから、〝人に会うことができる〟コンテンツが充実している。その中で、郵便局×和歌山県として、野尻局長が声をかけた8人の局長(和歌山県の各地区から選出された局長)が紹介されている。
 紹介されているのは、和歌山宇須郵便局(和歌山市)の野尻勝大局長、加茂郷郵便局(海南市)の小川千登世局長、御坊西町郵便局(御坊市)の田端創局長、丹生郵便局(日高川町)の玉置維磨局長、妙寺郵便局(かつらぎ町)の草田紘司局長、下山路郵便局(田辺市)の小川洋之局長、大沼郵便局(北山村)の山本亮局長、那智宇久井郵便局(那智勝浦町)の玉井康弘局長の8人。局長のプロフィールやおすすめスポット、和歌山県の推しや魅力などが紹介され、移住を考えている人にとって必見かつ、郵便局長に会いたくなる、親しみやすい内容となっている。
 具体的には、この8人の局長が支援センターから協力要請を受けると、相談者の希望地に近く、県内に263ある郵便局の局長にも協力を依頼して、その地域での生活事情や風習、メリットやデメリットといった生の声を伝える。
 また、県では空き家等を掘り起こし、地域資産として移住者の受け入れなどに活用できるよう、「実家」と「空き家」の活用に向けた相談登録を受け付けている。
 移住するにあたり、大きな課題となるのが住まい探しだ。そこで、県内263の郵便局が全面的にバックアップ、窓口に「空き家相談登録リーフレット」を設置。地域住民へ空き家相談を呼び掛け、移住者の住まいとして空き家の活用にも連携して取り組んでいる。
 野尻局長は「移住を考えている人にぜひ見てもらいたい、という思いがあった。和歌山県は山から海まで自然が豊富で、地域によって環境が全然違うので、県下の一部分に偏ることなく、いろいろな環境の、特色あるところの局長に助けてもらえたらと考えた」と語る。
 そして「郵便局が窓口になっていること、郵便局がその場にあるということは、移住する人の不安解消になると思う。紹介させてもらえることは〝つながり〟のアピールにもなり、郵便局を利用いただくお客さまへの更なる安心感にもつながると思う」と話している。
 移住・定住については、石川県内の郵便局長による移住サポーターとしての取り組みをはじめ、全国的に見ると類する事例はあるが、郵便局の地方公共団体とのつながりの新しい取り組みとして、今後大いに期待される。


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