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2024年03月04日 第7238号

【主な記事】

地場産業の窯業を振興「市之倉愛」で30余年
岐阜県東美濃地区連絡会 春田宣康地区統括局長(多治見市之倉)


 岐阜県東美濃地区連絡会の春田宣康地区統括局長は、30余年の間、地場産業の窯業の振興に力を注いできた。フレーム切手の制作はもとより、地場産業を絡めた商品を開発して積極的に販売するほか、陶器アクセサリーの商品開発にも携わった。地元「市之倉」に愛情を注ぎながら、地方創生に取り組んできた姿を紹介する。


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■地場の窯業を振興するために、さまざまな取り組みを行っていますが。地域の現状はどのようなものでしょうか。
 多治見市、瑞浪市、土岐市、可児市の4市(東美濃)は陶産地で、窯業を主産業として7世紀から現在に至るまでの1300年の間発展してきました。人口七千人弱の多治見市之倉の主産業も窯業。陶芸作家も多く、人間国宝2人を輩出しています。
 しかしながら、国内の陶産地は他の地場産業も含めて軒並み疲弊しているのは事実です。昔は百社近くあった窯元が、今では三十数社にとどまり、約3分の1にまで減り、さらに後継者不足が減少に追い打ちをかけています。
 また、盃や徳利ではなくグラスで酒を飲む人が多くなるなど、日常生活で陶磁器を使う機会が減る中で、将来的にどう発展していくのかという問題があります。
 そうした状況の中、伝統的な産業は残していかなければならないという各市の方針があって、陶産地である多治見市、瑞浪市、土岐市、可児市の4市が中心となり、アメリカのシリコンバレーのように、陶産地が集約したエリアをセラミックバレーと称してブランディングし、世界に打って行こうという「セラミックバレー構想」が掲げられるようになりました。
 先々、産業観光をPRしていくには、各市町村と個別に包括連携協定を締結するのも一案ですが、東美濃地区連絡会の場合は広域での包括連携協定を結んだ方が有益でした。そこで令和4年5月27日に6市1町(多治見市、中津川市、瑞浪市、恵那市、土岐市、可児市、御嵩町)と広域包括連携協定を締結しました。東海支社管内では初めてで、全国で3例目となりました。
 これによって、いずれの市・町とも連携しやすいような態勢ができたことになります。セラミックバレー構想の場合、多治見市、瑞浪市、土岐市、可児市の4市と連動しているので、広域包括連携協定の下では郵便局が関わり易いようになりました。
 ■フレーム切手の作成にも積極的に取り組んでこられましたが。
 美濃の焼き物をモチーフにした、フレーム切手「美濃炎のちから」を作った際には、10の陶芸作品の写真を並べる工夫を施しましたが、10人の作家さんから作品画像の使用許諾をもらうのに、何度も窯元を訪れたものでした。
 シートに使う「炎のちから」を表すような写真がなかったため、窯元の許可を得て私が撮影したものを使い、題字は陶芸作家さんに書いてもらいました。当初は、私の写真を使うつもりはなかったのですが、3人の陶芸作家さんから「春田さん、この写真を使えば良いではないですか」と推薦をいただいたため、採用されることになりました。
 その前にも「陶器のまち 多治見市」というフレーム切手を作っています。私としては、郵便局が地場産業をPRする一つのきっかけになりたいという思いがあり、これらのフレーム切手を作成することにしました。フレーム切手の発行時には、地元紙や全国紙にたびたび大きく取り上げられて、そういった観点からも地域振興に資するPRができたものと考えています。(2面につづく)


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