「通信文化新報」特集記事詳細

 年/月

2024年02月19日 第7236・7237合併号

【主な記事】

大都市圏で次世代型郵便局
日本郵政増田社長 ポスト投函の新商品開発
過疎地で小売拠点として活用も

 日本郵政の増田寛也社長は、2月7日に大手町プレイスカンファレンスセンターで開催した定例会見で、昨春開局した市川南郵便局(千葉県市川市)につづくDXを取り入れた次世代型郵便局を東京、名古屋、大阪などの大都市圏で展開することを検討していると語った。また、郵便ポストに投函できる商品の開発など、業務効率化や増収につながる計画を明らかにした。


 増田社長は、「能登半島地震に災害救助法が適用されたことに基づき、日本郵政グループでは、非常取り扱いや災害義援金の無料送金サービスなどを実施するとともに、地震で被災された方々に対する義援金として、総額4000万円の寄付を行った。1000万円程度の支援金も送る予定だ」とした。
  また、「郵便局建物への被害は246の郵便局で確認されている。発災後、延べ120の郵便局が窓口業務を中止していたが、2月7日午前現在、休止している郵便局は、新潟県3局、石川県50局、合わせて53局となっている。53局のうち、局舎が深刻な損傷を受け、開局できない郵便局が新潟市に3局、能登半島北部を中心に17局ある。これらの郵便局は、大規模な修繕工事が、場合によっては局舎の建て替え等が必要になる」と述べた。
 記者の質問に答え、「1月30日に、2024年問題や改善基準告示の改正などを踏まえ、一部地域を対象に、ゆうパックと速達郵便物など(レターパックを含む)の配達日数を延長すると発表した。直行便で運んでいたものを中継輸送に切り替えざるを得えず、荷物の到着局への到着時間が遅くなってしまう。
 このため、中継地点でのオペレーション時間の短縮に努めるとともに、高速道路のインターチェンジに近い郵便局を中継作業に使えるよう整備するなど工夫をしているが、どうしても一部で配達日数の遅れが生じる。配達日数が延長されるのは、取り扱い個数ベースで、ゆうパック全体の3.4%と見込んでいる」と説明した。
 苦戦する郵便事業については、「取扱量を拡大するために、すでに佐川急便と関東~九州間の幹線共同輸送を開始している。ヤマト運輸との協業においても、ウインウインの関係になるように、双方の強みを活かし、日本郵便の取扱量を拡大する」と語った。
 作業の効率化については、「郵便物を区分する区分機の性能の改善や、大型の郵便物を区分するフラットソーター、小型の荷物を区分するパケットソーターの導入により、作業の効率化を推進する。昨年2月、DX展開の起点となるモデル局として市川南郵便局を開局したが、こうした高度な物流能力を備えた拠点を東京、名古屋、大阪などの大都市圏で開局することを検討している」ことを明らかにした。
 さらに「郵便ポストへの投函はほとんど再配達が発生しないという優れた特性があり、ポストに投函できる商品を開発していきたい」と述べた。
 小売拠点としての郵便局の活用については、「都市部ではコンビニが相当な密度で展開しているが、小売拠点がどんどん撤退している地域がある。そうした地域において郵便局を小売拠点として活用できる可能性はかなりあるのではないか。小売商品の配送網をどう整えるかが重要になる」と語った。
 楽天グループとの提携については、「楽天市場の荷物を、日本郵便がかなり引き受けるようになり、ゆうパック事業の下支えになっている。現在、日本郵政グループで様々なサービスを展開しているが、ネット上ではそれぞれの商品・サービスごとにIDが異なっていたので、より使いやすくするために共通IDに切り替え、グループ全体としてのポイント制導入を進めている。その際、楽天にも協力をいただき、ソフトの開発を進めていく」と説明した。


>戻る

ページTOPへ