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2024年01月29日付7233号

【主な記事】

信越支社 全市町村と包括連携協定
郵便局の存在価値を高める
自治体からの信頼の礎にも
丸山徹雄信越地方会会長(松本城西)

 


 昨年3月27日の新潟県弥彦村との包括連携協定締結をもって、長野・新潟両県107すべての市町村と締結済みとなった。信越地方郵便局長会の丸山徹雄会長(松本城西)は「郵便局の存在価値を高めることにつながる」と意義を語る。
 
 当初、行政と包括連携協定を締結する際にはいろいろと苦労があったが、郵便局には防災や道路の損傷報告、みまもり活動など、以前から取り組んでいた施策があった。その延長線上に包括連携協定締結という流れになったと思っている。信越地方のように人口の減少が目立つ地域では、行政が住民サービスの全てを賄うのは難しくなりつつある。
 我々が公務員だった時代から、地域と一緒になって様々な施策に取り組んできているので、そういう意味では地域との防災協定や道路の損傷報告等、基礎となる既存の施策の上に包括連携協定が位置付けられるイメージだった。
 しかし、正直なところ初めのうちは手探りが続いた。包括連携協定を結んだとはいえ、具体的に一つひとつ何をやっていけば良いのかは雲を掴むような話だった。
 それが、自治体と打ち合わせを重ねていく中で、自治体の課題や困りごとなどを意見交換できるようになり、とりわけ佐渡市などは郵便局と自治体との連携が盛んになった。信越地方の中でも、佐渡地区会や魚沼地区会は先駆的に様々な試みを手掛けているが、ボランティアも含めて町や市とタイアップした取り組みが順次展開されてきた。
 そうしたことが最終的に、長野県泰阜村の行政事務受託に繋がったのだと思っている。流れとしては、郵便局の存在価値を高める方向に向かっていくのだと認識している。
 新聞受けのチェックや認知症のお客さまの窓口対応を民生委員と連携して行うなどの取り組みを積み上げていくことが、地域社会が活動の場である郵便局の責務であり特性でもある。信越地方は地域の皆さまと距離が近いという関係にあるので、地域の困りごとや些細と思われる取り組みを積み上げるというイメージを大切にしたい。
 局長会としてボランティアでやっていることはそれぞれの地域でたくさんある。例を挙げれば、上越地区会などでは、独居世帯の雪かきボランティアに長年取り組んでおり、そういったことが一つひとつ徐々に浸透して認知されていくのが理想的だ。それが行政の目に留まり、行政の信用の礎になっていくのではないかと思っている。
 佐渡の先行事例があるのは、やはり大きなアドバンテージだ。佐渡は日本の将来の縮図と言われる。佐渡を訪ねると、「こうなるのであればこうしておかなければいけない」というヒントがたくさん見つかる。佐渡地区会の木透一寿地区会長(信越地方会副会長/水津)の助言などもあり、私自身も佐渡を訪問したことがあるので「一度は佐渡を見て、将来日本はこうなるのだと感じた方が良い」という話は常々してきた。
 佐渡地区会が主導して、佐渡市とプレミアム商品券の一括受託契約を結び、企画から販売まで郵便局で取り組んだ実績がある。行政からの信用を得られれば、そこまで任されるという好事例だと思う。その地のニーズを拾いながら、それぞれの郵便局の役割を然るべき方向に持っていってもらえれば、一つひとつの郵便局が輝けるはずだ。
 行き着くところは行政事務受託だと思っている。行政の仕事をどうやって我々が取り込めるかが今の課題でもある。新潟県は平成の大合併を経て比較的に行政単位が大きくなった。一方の長野県では行政単位が小さい地域もある。それぞれ特性があって、それぞれの地域々々でマッチングしたものを模索していくことが重要だ。そういう意味で道のりは険しいが、実を結ぶよう皆で力を合わせてまいりたい。


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