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2024年1月15日 第7231号

【主な記事】

郵便料金改定秋に実施
日本郵政増田社長 業務効率化も取り組む

 12月18日に情報通信行政・郵政行政審議会に諮問された「定形郵便物」の料金額の上限を定める総務省令の改正について、日本郵政の増田寛也社長は12月22日にウェブ上で開いた定例会見時に記者団の質問に答えた。
 諮問書の主旨は、郵便法(昭和22年法律第165号)第67条第2項第3号の規定に基づき郵便法施行規則(平成15年総務省令第5号)の一部改正および民間事業者による信書の送達に関する法律(平成14年法律第99号)第16条第2項第2号の規定に基づき民間事業者による信書の送達に関する法律施行規則(平成15年総務省令第27号)の一部改正。
 郵便法第73条第2号に基づき、総務大臣は「定形郵便物」の料金額の上限を定める総務省令を制定・改廃するときは、情報通信行政・郵政行政審議会に諮問することとされている。
 郵便料金は、郵便法第67条により、郵便物の種別に応じ、第一種(封書等)・第二種(葉書)・特殊取扱等(書留等)は届出制となっている。同条第2項第3号により、第一種のうち25グラム以下の「定形郵便物」の料金額は、軽量の信書の送達の役務が所与の事情を勘案して、総務省令(郵便法施行規則)で定める上限を超えてはならないこととされている。
 改正が実現すれば、「定形郵便物の料金の上限」ならびに「大きさ及び形状の基準に適合する二十五グラム以下の信書便物の料金上限の額」はいずれも110円となる。審議会からの答申後、消費者庁への協議、消費者委員会への付議および物価問題に関する関係閣僚会議への付議等を経た上で総務省令が公布・施行され、その後、日本郵便による料金の届出が行われる見通し。
 「12月18日開催の情報通信行政・郵政行政審議会郵政行政分科会で封書や葉書の郵便料金の値上げを2024年の秋に行う方針が示されたが」との質問に対して、増田社長は「2023年に公表した日本郵便の2022年度の郵便事業収支の営業損益は約211億円。民営化後初の赤字となった。赤字の理由は、SNSやメールが日々非常に進展をしており、郵便物数が右肩下がりに推移し、なかなか回復が見込めないような状況がある。他方、人件費や燃料費などがかなり上昇しており、営業費用の増加を収益がカバーするということが大変難しくなった」と説明した。
 その上で「郵便収支事業が非常に厳しい見通しにある。そこで総務省に相談して、郵便サービスの持続的な継続をしていくためには、郵便料金の早期の引き上げをせざるを得ず、第一種および第二種について総務省にお願いしてきた」と経緯を述べた。
 また「具体的な案が固まった段階ではないが、委員の皆さんをはじめ多くの意見についても十分注視しながら、われわれも一層の経営努力を払ってまいりたい」と語ったうえで「(所定の手続きを経たうえで)郵便料金の値上げについては来年(2024年)の春には結論が出るものと思われる。諮問された案が認められるという仮定の下では、来年(2024年)の10月に値上げを行っていきたいと日本郵便では考えている」と述べた。
 審議会説明資料中の「郵便事業の収支の見通し(試算)」に関する質問に対しては「(値上げが実現すれば)2025年度は新料金になるため、同年度は(郵便事業収支は)黒字に転換できるという見込みになっている」との見通しを示した。
 【増田社長の発言要旨】25グラム以下については省令で決めることになっているため、総務省がわれわれの意見を組み入れながら、いろいろとお考えになったと思う。今回総務省が省令案という形で審議会に諮問しているが、その考え方については、今後の郵便事業の収支見通し、その他の郵便法に規定する上限額設定に当たっての勘案要素を踏まえた上で、経営状況に応じて短期間に再度見直すことも念頭に最小限の値上げ幅とする。また、利用者にとって分かりやすい料金とする―の3つの趣旨のもとに定めたと受け賜わっている。
 われわれは、こういう状況の中で料金を引き上げるということは、利用者の皆さま方に負担をさらに掛けることになるため、大変心苦しいと思っている。その一方で、サービスを持続させていくためには、どうしてもこの点をご理解いただかなければならないと思っており、一層の業務の効率化、生産性の向上は行っていくほか、サービスの拡大などにも可能な限り努力をしていきたいと考えている。
 総務省で進める手続きについては、今回の審議会はまだ諮問した段階で結論はこれからという状況にあり、消費者委員会に意見を聞くなど、そちらの方での議論もあると聞いているので、具体的な案が固まった段階ではないが、そういう場面での委員の皆さんほかからのご意見についても十分注視しながら、われわれも一層の経営努力を払ってまいりたい。
 
 ヤマト運輸との協業 スムーズに荷物移行
 ヤマト運輸との協業について質問を受けた増田社長は「ヤマト運輸との荷物の移行は現段階(12月)でスムーズに行われていると聞いている。クロネコゆうパケット、いわゆる『ネコポス』の関係は5段階に分けて順次移行するということで、現在第一段階のところだが、全国的にまったく問題なくスムーズに行われていると聞いている。来年2月には、いわゆるダイレクトメール便が全量われわれの方に来るが、これはかなり物量が多いので、この準備を滞りなく進めるように全力を挙げている」と回答した。


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