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2024年1月1日 第7229・7230合併号

【主な記事】

新春インタビュー
日本郵便 千田 哲也社長
 将来像・成長ストーリーを創る
 「やっぱり郵便局って、すごいよね!」
 喜んでもらえる商品・サービスを


 昨年6月に社長に就任して以来、「会社の将来像を描き、成長ストーリーを示す」「商品やサービスをお客さまに喜んでもらえるように競争力のあるものに」「社員のモチベーションを上げる」を発信し続けている日本郵便の千田哲也社長。郵便局と本社・支社の社員が一体感を持ち、前向きに取り組み、お客さまから「やっぱり郵便局って、すごいよね!」と言ってもらえる会社を目指す。「社員の力」を経営に活かすことが重要で、「苦しみや喜びに経営層がきちんと寄り添うことが大切」と強調する。社内コミュニケーションを充実、組織を変革するために組織風土改革PTを立ち上げ、社長通信の発行、郵便局未来会議の開催、日本郵便目安箱の設置などに取り組んでいる。千田社長に2024年の抱負などについて語ってもらった。
 
 ■明けましておめでとうございます。昨年(2023年)は、かんぽ生命保険の社長から日本郵便の社長に就任されました。かんぽ生命では信頼回復や営業推進などにご苦労も多かったと存じます。また、日本郵便の社長就任では、社員の皆さんにどのようなことを発信されたのでしょうか。改めて昨年を振り返ってのご感想などを含めて聴かせてください。
 明けましておめでとうございます。2023年の6月に社長へ就任して、まず初めに、会社の成長のためには「社員の力」が欠かせないこと、そして、社員の皆さんが元気に前向きになり、その上でお客さまに喜んでいただけるサービスを展開することが最も重要であるという思いをお伝えしました。
 その思いを実行するため「会社の将来像を描き、成長ストーリーを示すこと」「商品やサービスをお客さまに喜んでもらえるように競争力のあるものにしていくこと」「社員のモチベーションを上げること」を常に社内には発信し続けています。特に、会社の将来像・成長ストーリーを創り上げていくために立ち上げたプロジェクトでは、着々と議論が進んでいます。
 昨年を振り返ると、ヤマト運輸様との協業スタートは大きな出来事だったと思います。昨年10月からクロネコゆうパケットの引受が開始され、2月からはクロネコゆうメールの引受も開始されますが、ヤマト運輸様との協業にあたっては、当初、社員の皆さんから不安の声もありました。しかし、社長通信で経営陣の思いや考えをフロントラインへ発信することに加えて、本社メンバーが直接郵便局に行って、状況を確認し、郵便局・支社・本社が一体となって課題解決に向けて取り組めたと思っています。
 また、金融窓口関係においても、デジタル化が進み、アフターコロナの世界においても来局者数の減少は続いています。このため、お客さまに喜んでいただけるサービスとは何かをしっかりと考えて、デジタル技術では叶えることのできない「人のあたたかみ」があるサービスを窓口でご提供できる姿を実現していきたいと考えています。
 プロジェクトでは、これまで何回も議論を重ねてきましたが、「何とかして郵便局の環境を少しでも良くしていきたい、良い方向に変えていきたい」ということを軸に議論が進んでいる印象を持っています。2024年も郵便局の皆さんと本社・支社の社員が一体感を持ち、みんなが前向きに取り組み、競合他社との競争に勝ち、お客さまから「やっぱり郵便局って、すごいよね!」と言っていただける会社を目指して全力で取り組んでいきます。
 ■就任以来、フロントラインを回り、対話を深められていると聞いています。郵便局の現場からは、なかなかフロントラインの声が経営に届かないとの思いもあるように感じられます。現場からの信頼をいかに醸成していくか、風通しの良い組織づくりを含めて、どのように取り組まれていますか。
 「社員の力」を経営に活かすためには、郵便局長や部長などの管理者や課長、班長などの中間管理層の人たち、そして社員の皆さんの苦しみや喜びに対し、経営層がきちんと寄り添うことが大切だと思っています。
 このため、組織風土改革PTを立ち上げて、社内コミュニケーションを充実させ、社員がモチベーション高く働けるような組織に変革し、社員も会社も一緒になって成長していくことを目指し、情報・コミュニケーション改革を進めています。
 主な施策としては、社長通信の発行、郵便局未来会議の開催、日本郵便目安箱の設置の3つです。
 社長通信については、会社の経営方針や将来像をテーマとして、役員や本社の社員、郵便局の皆さんと対談を行い、それらの模様を社内サイトへ掲載しています。発信後のアンケートでは、「社長、本社の皆さんと、私たちとの距離が近くなっていると感じます」という声もあり、私の思いや将来像で掲げる各種取り組みの進捗などを今後も継続して発信していきたいと思っています。
 そして、郵便局未来会議では、本社の役員・部室長が直接現地へ行って、郵便局の管理者や社員の皆さんと意見交換をしています。
 社員の皆さんがどんな環境で日々どのように働いているのかを知らないと適切な対策を講じることはできないので、本社の役員・部室長には、現地で社員の皆さんと意見交換をして、現実と向き合っていただき、課題解決へ活かしていただいています。
 また、私自身も就任以来、郵便局や各種センターを訪問して、管理者や社員の皆さんと意見交換を行っています。直接、色々なご意見を聞いて、実際に起きていることを実感しますし、いただいた意見は本社内でも速やかに共有して、改善に向けて動いてもらっています。
 日本郵便目安箱については、社員の声を経営に活かす仕組みとして構築しました。既に3000件(11月末現在)を超えるご意見をいただき、私も1件1件にコメントを付けて、返答していますが、まだシステム化できていないので、2024年度はシステム化を図ることで、より社員の皆さんとの円滑なコミュニケーションを目指します。
 これらの取り組みは意見を聞くのが目的ではなく、変えるのが目的であり、また、実現も大切ですが、時間がかかるものについてはしっかりと状況を伝えることが必要です。このため、昨年の11月中旬に、社内サイトにいただいた意見と検討状況を掲載して、社員の皆さんに広く周知していますので、今後も将来像を含めて、検討状況をしっかりと伝えていくようにします。
 今までは、物事が決まらないと皆さんに伝えないことが多かったと思いますが、多少の時期がずれる場合があったとしても、本社がやろうとしていることを早く皆さんへお知らせして、本音で意見を言い合える組織風土を築き、前に進んでいく会社へ変えていきたいと思います。
 2面につづく


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