「通信文化新報」特集記事詳細

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2024年1月1日 第7229・7230合併号

【主な記事】

年頭所感 
日本郵政 社長 増田 寛也
 進むべき道標(みちしるべ)示す
 商品・サービスの魅力を磨く


 通信文化新報の読者の皆さま、あけましておめでとうございます。皆さま、つつがなく新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
 私たちの生活を一変させたコロナ禍を経て、皆さまとともに新たな年を迎えることができたことをとても嬉しく思います。
 2024年を迎えるにあたり、日本郵政グループを代表して、昨年の振り返りと本年のグループ運営に関する抱負を申し上げます。
 振り返れば、コロナの影響が世界中に拡大した2020年、時を同じくして私は日本郵政株式会社の社長に就任しました。それから1年後の2021年、日本郵政グループの成長の道標(みちしるべ)として策定したのがグループ中期経営計画「JPビジョン2025」です。
 昨年もこの「JPビジョン2025」のもと、お客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」の実現を目指し、グループの未来を創るためのさまざまな取り組みを推進してまいりました。
 グループ外の企業との連携施策として、6月には、ヤマトグループ様と持続可能な物流サービスの推進に向けた基本合意を締結いたしました。この合意に基づき、10月から一部地域にて、ヤマト運輸様がお客さまからお預かりした荷物を、日本郵便の配送網でお届けする新サービス「クロネコゆうパケット」として引き受けを開始しました。
 本協業は、取扱個数の増加を目指す目的だけではありません。長年にわたってライバル関係にあった2社が互いに手を取り合うことで、両者の経営資源を有効活用し、お客さまの利便性向上に資する輸送サービスの構築と事業成長を図っていきます。そして、2024年問題や環境問題など物流業界が抱える社会課題の解決を目指してまいります。
 一般的に、経済が右肩上がりの際は、専門分野に分化していくことが適しておりますが、日本は既に人口減少局面に入っております。これからは自前主義ではなく、いかに他企業と協力していくかが大事になります。世の中のお役に立つこと、その中心に我々日本郵政グループがいる、そんな未来を創っていきたいと思います。
 また、特に力を入れているグループ一体でのDX推進の取り組みとして、同じく10月に「郵便局アプリ」の提供を開始しました。「郵便局アプリ」は、新たなグループプラットフォームアプリとして、「リアル」と「デジタル」をシームレスにつなぎ、デジタル上のお客さま接点として、お客さまに「いつでも」、「どこでも」郵便局サービスをご利用いただくことを目的としております。
 まずは、「送る、受け取る、探す」という郵便・物流サービスを中心としたサービスで開始しましたが、今後は、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険のWebアプリやサービスとも連携を行ってまいります。このような取り組みを通じて、若年層も含め、幅広い世代・地域のお客さまへより便利で新しい価値を提供することを目指してまいります。
 その他、不動産事業を、グループ経営基盤を支える第4の柱として成長させていくため、グループ保有不動産の開発及びグループ外収益物件の取得などに取り組んでまいりました。不動産事業は収益化までに長い年月がかかりますが、昨年は、3月に蔵前JPテラスが、6月に麻布台ヒルズ森JPタワーが、12月に五反田JPビルディングが竣工いたしました。
 そして、今年3月には、JPタワー大阪の竣工も予定しており、いわゆる5大物件にめどがついたところです。足元では、建設費の高騰や不動産需要の変化などが起きておりますが、その他の全国の開発候補不動産についても、状況を見極めながら開発推進に取り組んでまいります。
 2024年は、こうした取り組みにさらに勢いをつけて、未来への成長を確かなものとする年とするため、「JPビジョン2025」のブラッシュアップを行います。策定から2年半が経ち、日本郵政グループを取り巻く環境も大きく変化しています。低金利や物価高など、身の回りの生活からも感じる厳しい市場環境が続き、答えの見えにくい不確定なことも多い世の中だからこそ、グループのトップとして、進むべき道標を示していかなければなりません。
 私は社長に就任したときから、日本郵政グループの可能性を信じてきました。郵便・貯金・保険の郵政三事業、そして不動産事業を、これだけ大きな規模で進め、広く日本全国の地域に密着したネットワークを持ち、これほどたくさんの社員がもつエネルギーが結集している企業グループは他にはないでしょう。
 この日本郵政グループへの誇りを胸に、可能性を信じ、社員と一緒にグループの商品・サービスの魅力をより磨きながら、未来を創りあげてまいります。
 本年が皆さまにとって、幸多き一年になることを祈念して、新年の挨拶とさせていただきます。


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