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第6976号

【主な記事】

小型ロボットで配達
[日本郵便]福島県で実証実験


 日本郵便の配送ロボットの物流分野への活用に向けた実証実験が、福島県南相馬市と浪江町で1月31日に行われた。人手不足が続く中、物流のラストワンマイルへの課題解決の取組みの一環。自律走行ができる2種類の無人小型ロボットが災害住宅や自動車学校の道路を走行した。

 今回の実証実験で使われたのは、物流用ドローンのオペレーションを手掛ける「ドローン・フューチャー・アビエーション」(以下、DFA)が独占販売権を持つ「YAPE」(イタリア製)とZMP社が開発した「CarriRo Deli」。
 DFAは「POST LOGITECH INNOVATION 2017」の採択企業。ZMPの配送ロボットは2017年12月に南相馬市で行われたコンビニの品物を宅配するラストワンマイルの実証実験(日本郵便、ローソン、東北日立など)に使われた。
 二輪で重量も15キロと比較的軽く、小回りが利くYAPE(サイズ60×70×80センチ/積載重量70キロ)は、災害公営住宅への宅配の実験に使用された。四輪で重量も120キロと重く安定しているCarriRo Deli(サイズ96×65×96センチ/積載重量50キロ)は、ふたば自動車学校の訓練用道路で、ゆうパックの配達や集荷をしながら走行した。
 CarriRo Deliは郵便局(仮想)でゆうパックを積んで出発。一つ目の個人宅(仮想)で荷物を降ろし、次の個人宅(仮想)でゆうパックを積んで郵便局に戻るという流れ。実環境に近くするため、歩行者の飛び出しや自転車とのすれ違いもあり、車も走らせた。歩行者の飛び出しではしっかりと停止。横断歩道でもカメラの映像やセンサーの情報により、人が歩く道を並走しながら、無事に横断できた。
 配達や集荷先では、CarriRo Deliが到着すると利用者のスマートフォンに到着を知らせるメールが入る。利用者がそのメールのスマートフォンをかざすと蓋が開き、荷物の出し入れが終わると扉が閉まり、次の目的地に自動で向かった。配送ロボットは、午前9時過ぎに出発し、約400メートルの道のりを8分かけて任務を終えた。
 一方、YAPEは災害住宅で郵便局(仮想)から住宅敷地内奥にある棟1階の住宅まで荷物を届けるという想定。スマートフォンに到着メールが届き、利用者はYAPEのカメラ部分に顔をかざし、顔認証で蓋を開けた。実証実験は午前11時前に出発し、200メートルの道のりを走行、約10分で終了した。
 今回の実証実験について、日本郵便は「実際に集配を行う街中、住宅、道路などに近い環境において様々な検証ができた。機体性能の更なる向上や法制度の整備等の課題はあるが、今後も実際の配達を想定した環境での実証実験を行うとともに、集合住宅やビルなどの屋内施設での試行運用ができないか可能性を検討していきたい」とコメントしている。


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