「通信文化新報」特集記事詳細

　兵庫県播磨西地区郵便局長会（中村純隆会長／龍野揖西）、鳥取県因幡地区郵便局長会（谷口雄史会長／鳥取大正）、岡山県美作地区郵便局長会（難波泰之会長／津山一宮）の3地区会は智頭急行沿線に位置しているが、沿線地域の発展や移住・定住の促進に向けた取組みをしている。その一環として、「郵便局　恋文列車～あまつぼし～実行委員会」（委員長＝石原啓一郎局長／鳥取湖山北）を立ち上げ、智頭急行イベント列車「あまつぼし」を貸し切り、岡山県美作市を中心に智頭線沿線地域を巡りながらの婚活イベントを2月10日に開催した。

　地方では人口減少と少子高齢化、過疎化が進み、若者の都市部への流失が問題となっている。３地区会は地域の活性化に向けた施策として、今年度は「婚活」を重点に連携して取り組み、若者の移住・定住へとつなげていくことにしている。
　その一つが智頭急行イベント列車「あまつぼし」を貸し切った婚活イベント。「あまつぼし」は内外装をリニューアルした智頭急行の普通列車で、スギやヒノキなど沿線の木材を使用して「温かみのある車内」になっている。
　また、沿線の駅の一つ「恋山形駅」は、鳥取県智頭町にある無人駅だが、駅舎や丸型ポストなどのすべてがピンク色で統一されている。ピンク色の駅として全国的に有名で、多くの観光客が訪れている。ちなみに、駅名に「恋」の文字が付いている駅は全国に4駅あるという。
　2月10日午前8時30分、「大原駅」構内で男性の受付けが始まり、55分にホームには紫系統の色でカラフルに仕上げられた「あまつぼし」が入線した。参加者、スタッフ、司会の田中奏子さん、「とっとり出会いサポートセンター」の西谷玲子コーディネーターが乗車し、9時に女性の参加者が待つ「佐用駅」に向かった。
　車内では、司会により男性向け婚活セミナーが行われ、第一印象の重要性、一期一会、姿勢、トークのポイントなどの説明が行われた。
　9時55分、「佐用駅」に到着。女性の参加者が乗車し、男女が交互に着席した。主催者を代表し、駅長の帽子をかぶった美作地区会の入澤豊明副会長（上長田）が、参加のお礼や企画の目的を説明するとともに、「楽しいひと時を過ごしていただき、良い結果が出るよう祈念しています」とあいさつ。10時15分、一行は昼食会場である「あわくら温泉駅」に向かった。
　車内では司会者の説明を聞き、参加者全員とのトークが始まった。全員が「ヒアリングシート」（相手の印象などを書くもの）と「プロフィールシート」（自己紹介のもの）を持ち、司会の号令により2分間のトークを行い、女性は席を動かず、男性が一つずつ席を移動する方法で、全員とのトークが終了、第一印象カードを記入してスタッフに渡した。
　11時、「あわくら温泉駅」に到着。駅前にある「レストラン旬の里」に移動し、バイキング形式の食事が始まった。席は自由なので意中の人との会話が弾んでいた。
　昼食終了後は特設会場に移動し、第一印象カードに基づき、男女4人が1組になり、体験イベントの“ケーキづくり”が始まった。同施設のケーキ店のパテシエの指導を受けながら、パイを切ったり、いちごを並べたり4人が協力しながら“いちごケーキ”に挑戦、思っていた以上の出来映えに歓声も上がり、さっそく賞味した。
　午後２時、「あわくら温泉駅」に戻り、再び乗車、約10分で「恋山形駅」に到着し駅前付近を散歩した。駅舎やホーム、待合室、丸型ポスト、歩道の一部まで、ありとあらゆるものがピンク一色で新たな恋に期待も膨らむ。
　2時35分、「佐用駅」に向かう。車内ではカラオケが行われ、「プリンセス・プリンセス」や「ドリームズ・カムトゥルー」など8曲が歌われたが、女性は一人だけで、男性の積極性に驚かされる。「パズルゲーム」や「じゃんけん大会」も行われ、大いに盛り上がった。
　ここで司会から説明があり、いよいよ交際希望相手の記入に移った。全員が投函後、スタッフがポストを開けて集計に入り、結果発表となった。緊張感が漂う中、4組のカップルがめでたく誕生、“ラブラブシート”でニコニコしながらの語らいが始まった。
　午後4時、「佐用駅」に当着。因幡地区会の山田一孝総務理事（中河原）は参加者へお礼を述べるとともに、「これからも地域の盛り上げに尽力していきたい」とあいさつした。女性はお土産をもらって降車して解散、「あまつぼし」は「大原駅」へと向かった。
　4時10分、思いが叶わなかった男性を対象に「再チャレンジ手紙セミナー」が始まり、一筆箋の描き方などが説明された。そして、原則として一人2通の手紙を書いてスタッフに手渡し、今後に望みを託した。
　4時40分、「大原駅」に到着、お土産をもらって男性も解散となり、郵便局の恋文列車のイベントも静かに幕を閉じた。
　参加者からは「郵便局主催で安心して参加できた」「今までの婚活の中で一番楽しかった」「他の民間イベントにはない楽しさがあり、参加費も平等で好感が持てた」「郵便局らしい企画が盛りだくさんで1日楽しめた」「イベント列車のあまつぼしが素敵だった」などの感想が聞かれた。