「通信文化新報」特集記事詳細
第6959号
【主な記事】
遊休地を活用、商品開発
信越研修センターで定植式
日本郵便は遊休地を活用した物販商品開発の実証実験の開始を記念して、10月17日にトマトの苗の定植式を信越郵政研修センター運動場跡地で行った。販売と物流を担うだけでなく、商品から一貫して手掛けるふるさと便の新たなチャレンジに関係者は期待を寄せる。
定植式には、日本郵便からは小野種紀専務執行役員や青木進代表主幹地区統括局長、信越支社の三田彰子支社長、長野県北信地区連絡会の原田喜延統括局長、来賓として長野市の樋口博副市長、長野市立南部小学校の松井誠彦校長ら、協力団体として東京農業大学総合研究所の山本祐司所長、東レ建設の冨山元行社長が出席。隣接する長野市立南部小学校からは小学2年生の児童86人も加わり、トマトの苗を植えた。
まず小野専務執行役員が「この事業は若い社員の提案で実現した。ふるさと便が誕生して35年。販売と物流だけでなく商品開発の段階から自社で手掛けることはできないかを検証する。腰をかがめなくても作業ができるため、高齢者や障害者の雇用の推進も期待できる。近隣との交流、小学校の児童には情操教育の場としても使ってもらいたい。将来の事業の成長を期待したい」とあいさつした。
青木代表主幹統括局長も「オリジナル商品の開発は今後の物販事業の成長のきっかけになると期待している。ヒット商品の開発や社員が勧めたくなる商品開発も大きな課題の一つ。他社の商品との差別化、商品に付加価値を付けるのが大切」と強調した。
そして「事業化できれば、地域の雇用、社員の活躍の場、社員の定年後の働き場など、大いに可能性が広がっていくと思う。子どもたちと交流を深めることで郵便局をより身近に感じてもらえるきっかけになれば幸い」と述べた。
この後、出席者らはハウスでトマトの苗を植えた。技術面で協力する東京農業大学の峯洋子農学部教授が高床式砂栽培などについて説明。砂栽培は苗を横向きに植える特殊な植え方のため、作業を前にスタッフが実際に植えてみせた。
その後、小野専務執行役員や青木代表主幹統括局長、児童らが苗を植えた。児童らは「甘くて美味しいトマトになるように」と来年1月の収穫を楽しみにしていた。
今回建てたビニールハウス(45×8×8メートル)は2棟。IoT技術が導入され、水や肥料は自動で管理されている。センサーやカメラで、砂内部の潅水率や肥料の量、温度のデータ、室内の画像がクラウド上に上がり、iPadで水やりなどの操作ができる。
様々なデータを蓄積することで、経験が少なくても農作物を作ることができる仕組みだ。実証実験では、高糖度トマトの安定した生産や高齢者の作業、採算ベースに合う収量などを検証する。
今回の実証実験では高糖度トマトを主に栽培するが、提案者の鈴木雄輔事業開発推進室主任は「単価が高く商品化した時に売り上げが見込めるものがあれば、トライアルしたい」と話している。
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