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第6958号

【主な記事】

野菜を栽培、物販商品に
日本郵便が実験 遊休地を活用


 日本郵便は、長野市にある信越郵政研修センター運動場跡地を活用し、高糖度トマトなどをビニールハウスで栽培する実証実験を10月17日から始めた。土を使わない高床式の砂栽培のため、宅地のままで農作物が作れるのが特長。美味しいトマトができれば、カタログや郵便局窓口での販売も視野に入れている。
 日本郵便には郵便局跡地や社宅、郵便局予定地など遊休地が全国に点在する。将来は売却または商業施設・住宅施設として活用する予定というものも多い。高床式のビニールハウスなら農地転用をせずに作物が作れ、売却する時は簡単に取り外し、別の場所に移動が可能だ。
 日本郵便ではこの栽培方法を採用するメリットとして、「売却までの間は土地の有効活用ができる」「地域や気候に左右されないため、全国どこでも作物が作れる」「IoTを使った管理と自動潅水システムなどにより、熟練した農業技術がなくても比較的簡単に栽培ができる」「腰をかがめなくてもよいので高齢者や障がい者でも作業ができる」を挙げる。
 今回利用するビニールハウスは2棟。実証実験の運営は日本郵便が行い、砂栽培技術やハウスを建てる技術は東京農業大学や東レ建設に協力してもらう。
 トマトの栽培は難しいといわれているが、すでに高糖度のものは収穫されているという。
 実証実験では収穫量や品質(高糖度のトマトを安定的に作る)、高齢者でも負担なく作業ができるかなどについて確認する。ビニールハウスの隣には信越支社があり、できたトマトは社員に食べてもらい、意見を聞く。質の高いトマトが安定して栽培できればハウスの面積を全体の4割弱に当たる1500坪まで増やす計画だ。
 この栽培方法は、東京農業大学と東レ建設の共同研究で進められ、2016年度の総務省委託事業「IoTサービス創出支援事業」に認定された。京都・大阪・千葉で実施され、この3月に終了した。
 主にシェアリング農業システムについて検証。一般から公募した延べ450人が参加し、コマツナやベビーリーフ、パクチーなどを栽培した。継続して参加を希望する人も多かったという。
 東レ建設は「仕事付きケア付き高齢者向け住宅」として展開している。
 10月17日には定植式が現地で行われた。日本郵便の小野種紀専務執行役員、青木進代表主幹地区統括局長、信越支社の三田彰子支社長、北信地区連絡会の原口喜延統括局長、東京農業大学の山本祐司総合研究所長、東レ建設の冨山元行社長らが出席。近くの長野市立南部小学校の児童がトマトの苗を植えた。


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