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第6957号

【主な記事】

郵便局は文化・芸術の拠点
「アール・ブリュット kofu-kofu展」

 富山県呉西地区連絡会(山口等統括局長/女良)の伏木古府郵便局(邑本友明局長)は9月1日から10月12日まで、局前の展示をはじめ、お客さまルームの窓をボードでふさぐなどして、事務室内のすべてを使用した「アール・ブリュット kofu-kofu展」を開催した。地域のお客さまはもとより、県外からも多くの人が見学に訪れ、多くの驚きや感心の声が聞かれ、正に郵便局がギャラリーになった感で、盛況のうちに終了した。

伏木古府郵便局(富山県)で開催
 この展示は、今年の7月に立ち上がった高岡市伏木古府元町のアートNPO工房ココペリを拠点としている「富山県障害者芸術活動支援センター ばーと◎とやま」が後援したもので、富山県全域を対象として支援活動を展開している。
 「アール・ブリュット」とは、生の芸術、飾りのない芸術、ありのままに行った表現や作品のことだ。フランス語でアールはアート、ブリュットとは生まれたまま、飾りのないなどの意味がある。
 また「ばーと◎とやま」は、国と県からの助成で伏木古府元町を拠店とする「アートNPO工房ココペリ」が委託され、県内の障害を持つ人の芸術文化活動の調査や支援、展覧会の企画などを行っている。
 伏木古府局での展示は、ココペリの代表である米田昌功さんがたまたま来局し、いろいろな話をしているうちに実現した。
 米田さんが文化事業に積極的であることが分かり、「郵便局はショップでなく、文化や芸術などすべてのコミュニティでありたい」という邑本局長と意気投合、単なるロビー展でなく、ギャラリーをイメージし、作品や啓蒙のための開設ボードなども展示することにした。
 米田さんは、かつて美術の先生をしていたこともあり、現在は画家として活躍し、各地で個展などを開催している傍ら、ココペリの代表を務めている。
 また、今回の展示に関して反響は思った以上に大きく、9月19日からお客さまルームの一角にノートを置いたところ、50数人が感想などを寄せた。思いなどが詳しく書かれ、人々の関心の高さを示した(主なものは次のとおり)。
▽こんなに感動させられた機会はなく、本当に楽しく見せていただきました。
▽テレビを見て来ました。私の息子も軽い知的障害と自閉症を持っています。これからこういう機会があったら、また来たいと思います。
▽もっと早く来たかったのですが、やっと来ることができました。郵便局と美術のコラボ、全国に発信できそうですね。
▽局長さんの情熱に乾杯! こんな郵便局は初めて。もっといろいろな局に広がるといいですね。繋がっていくことを願っています。
 なぜこれほどの反響があったのか。米田さんは「理由はいくつかあるが、郵便局という場所が潜在的な安心感と開放感があること、アール・ブリュットの作品が持つ人を癒し、人の可能性を考えさせる効果の相乗効果で、文化や人のコミュニティであった本来の郵便局の役割を、より身近なものとして再認識させたことなどが考えられる」と語る。
 邑本局長は今回の展示の際、富山県呉西地区連絡会の山口統括局長に相談をしたところ、連絡会としても全面的に協力することになったと言う。新たなプランとして山口統括局長の女良局をスタートとし、連絡会の郵便局に拡大していくこととしている。
 企画名は「PO-OF・ART・PROJECT」(ポフ・アート・プロジェクト)」。PO-OFはPOST・OFFICの略。郵便局での芸術活動という意味で、この企画名を一つのキーワードとして郵便局での展覧会を展開していくことになっている。




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