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第6935号

【主な記事】

手紙の書き方授業
新入社員研修で(近畿支社)

 近畿支社(矢﨑敏幸支社長)は新入社員等を対象とした研修の中で、「手紙の書き方教室」を5年ほど前から行っている。手紙文化の素晴らしさや本格的な手紙の書き方を学び、社会人としての手紙のマナーをしっかりと身に付けることに加え、自社の郵便商品を積極的に活用し、営業にも役立てていくことなどを目的としている。
 4月に近畿郵政研修センターで行われた2018年度新入社員研修の中で、30年度の新入社員たち約700人を対象に、局長ら16人が分担して講師・サポーターを務め、期間中の7日間にわたり各クラス3コマずつ授業を行った。
 4月24日は「心を運ぶ手紙の書き方」と題し、田中幹久局長(平野加美南)、山口浩司局長(尼崎大西)、高石正吾局長(西宮仁川)、江原敬子局長(和歌山鳥井)、辻田忠広局長(茨木中穂積)、黒山敦也局長(川西久代)の6局長が講師を務めた。
 前半は手紙のマナーや書き方のルールを学んだ。田中局長が「メールやSNSは誰が文字を入力しても同じ字面だが、手紙は書いた人の個性が出る。字があまり上手くないというプレッシャーを感じる人もいると思うが、実はそれはすごく武器になる。字が下手な方が相手の心に引っ掛かり、名前を覚えてもらえることで、結果的に営業などにもつながっていく。自信を持って書いてほしい」とあいさつ。
 手紙は春夏秋冬いつでも出せることや、はがきの表と裏、宛名や差出人の住所・名前の文字バランスなどに加え、「㈱など、省略せずに書く」「宛名が連名の場合、それぞれに〝様〟をつける」「個人宛てや、会社でも担当者が分かる場合は〝様〟をつける。〝御中〟は会社名や団体名を宛名とする敬称で、その中の誰か、という意味を持つ。採用担当者宛ては『人事部 採用担当者様』と〝様〟をつける」ことなど、様々な場面を想定してレクチャーした。
 「誰に何を伝えるかが大事」と強調し、研修生たちは前文・本文(主文)・末文・後付け、時候のあいさつ、頭 語と結語などのほか、バランス良く本文を書くこと、具体的な書き方やマナーとともに「はがきはスペースが限られるので、自分が一番伝えたいことを簡単に書く」ことなどを学んだ。
 「手紙は電話やSNS、お客さま宅を訪問して話をすることとも違い、都合の良い時に読める。文字や文章、選んだ封筒や便箋などに個性が出るので、相手に自分を印象付けられる。自分のペースで言葉を選び、書いて伝えられる。もらうとうれしい。相手を思い浮かべながら、言葉を選んで紡いでいく。受け取った人も書いた人を思い浮かべて読む。上手い下手ではなく、丁寧に書いた字は必ず伝わる。簡潔に短く書くことで、インパクトも強くなる」とアドバイスを受けながら、みんな実際にはがきを書いていった。
 黒山局長がお客さまから届いたお礼状のエピソードを披露したほか、風景印・小型印の魅力を紹介すると、みんな興味を示していた。
 そして「お客さまが何かを購入した時、契約した時に、ありがとうの手紙を送るとお客さまはすごく喜ぶ。相手をよく知っていることも大事だが、自分のことをお客さまに知ってもらうこともすごく大事。お客さまの話をたくさん聞くと同時に、自分のことをお客さまに知ってもらうのが営業パーソン」と、営業につながるお便りについても学んだ。
 研修後半は筆ペンや水筆などを使用して、みんな楽しく思い思いに絵はがきを描いた。予め用意した研修生たち全員の、下の名前の平仮名一文字を消しゴムで彫った落款を押して完成。研修生からは「手紙は普段、ほとんど書いていなかった。メールで簡単に済ませていたが、こうして自分で頑張って手紙を書いて送る方が、気持ちの良さは断然上」との声も。
 最後に、田中局長が「手紙を書くようになると、いいことがたくさんある。いろいろな周りのことに気を配るようになり、季節感やニュースもすごく気になり、視野も広がり、感性が豊かになる。字も覚え、言葉や語彙も増えていく。手紙がコミュニケーションをとる1つの手段であると分かると、今まで以上に付き合いが広がり、関係性も太くなっていく。仕事はもちろん、私生活でも手紙をどんどん使ってほしい。今後の皆さんの人生が手紙で少しでも豊かになることを願っている」と結んだ。


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