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6913号

【主な記事】

地域活性化へ連携協定
大阪府唯一の村・千早赤阪村と


 大阪府南河内地域に位置し、楠木正成の出身地として知られる大阪府で唯一の村・南河内郡千早赤阪村(松本昌親村長)。「一冊の絵本のような村」がキャッチフレーズで、府内で一番標高の高い金剛山や棚田などの自然に囲まれた、歴史と観光の村だ。
 平成26年4月には、大阪府内で初めて過疎地域に指定された。人口減少、少子高齢化、集落維持、防災対策、企業誘致など課題が多く、その解決には行政には無い民間企業の視点や経営改善の取組みを積極的に取り入れる必要がある。
 村では「郵便局は民営化後も地域とのつながりや社会貢献への取組みを展開しており、安全・安心・信頼・便利の地域拠点としての機能を果たそうとする点は行政と共通し、見習うべき点でもある」と方針決定。
 昨年より郵便局との間で、両者がそれぞれの資源を持ち寄って有効活用するために協力活動を推進し、地域活性化と住民サービス向上を図ることを目的に、協定締結に向けた協議を進めてきており、このたび、協定内容について合意に達した。
 11月21日、千早赤阪村のくすのきホールで「地域における協力活動に関する包括連携協定」締結式が行われ、村からは松本村長、清水秀都副村長、日本郵便から辻井久仁大阪府河内南部地区連絡会統括局長(藤井寺小山)、荻野英樹局長(千早赤阪小吹)、松阪昇局長(河南)らが出席。
 松本村長は「地域と深いつながりや、社会貢献の取組みが進められている郵便局と緊密な連携を図り、安心して快適に暮らせる地域社会づくりをより一層推進していきたい。本村のように過疎化と少子高齢化が進んでいる中山間地域では、郵便局のネットワークは重要な社会インフラであり、地域住民の安全・安心につながる。また、郵便局の民間企業としての視点から業務の効率化、各種研修の共同開催など検討を進めることで、住民本来の生活向上につながるよう連携を深めていきたい。今後、地域の見守りや情報提供の方法、各種研修共同開催などに関して具体的な話を進めていきたい」とあいさつ。
 辻井統括局長は「地域が無いと郵便局は存在しない。締結はありがたい話。かつては地域貢献というとボランティアの部分だけがあり、それだけでは地域は活性化しない。地方がもっと生き生きとしないと、人口減少という否めない現実の中でやっていけない。南河内の人口減少が著しい中、いかに地域の人たち、特に行政の人たちを中心にやっていけるか、我々としても大きな課題。本格的に今日から深い議論をしていける端緒にしていきたい」と語った。
 荻野局長は「地方創生の取組み方針として全国2万4000のネットワークを生かし、村の〝まち・ひと・しごと創生〟等に貢献し、村と共に持続的に発展していきたい。改正民営化法で郵便局はユニバーサルサービス提供が義務付けられているが、地方の郵便局が今後も存続し、地域の皆さんにサービスを提供し続けていくためには、地域の人口流出を防ぎ、地域を元気にすることが必要。官民一体となって地域を元気にするよう、今後も住みたい村・住み続けたい村を目指して協力して取り組んでいきたい」と意欲を見せた。
 今回、千早赤阪村と協定を締結したのは千早赤阪小吹局、河南局、河南神山局、富田林局の4局。代表して荻野局長、松阪局長、松本村長が協定書を交わした。なお、大阪府内市町村と郵便局との包括連携協定の締結は初となる。
 主な包括的連携項目は▽地域活性化、住民サービス向上に関すること=各種研修の共同開催や研修プログラムの検討、民間企業の視点から業務効率化や行政運営見直しの検討、地域課題の相互検討や情報発信▽地域の安全・安心、見守り支援に関すること=地域の子どもや高齢者の異変を発見した場合の一時保護や情報提供▽道路損傷等による危険箇所の情報提供に関すること=村道の損傷等の危険箇所、不審者や不審火等を発見した場合の情報提供▽不法投棄が疑われる廃棄物等の情報提供に関すること=不法投棄をしている者等を発見した場合の情報提供、などとなっている。
 清水副村長によると、若い人は大学進学や就職などで村を離れ、ほとんど戻ってこないという。日本全体の人口が減少する中で、村の人口をこれ以上減らさないためには働く場所を作ることも必要となるなど、様々な課題があるが、「職員だけで全ての行政サービスを賄うのは不可能。協力しながらノウハウも伝えてもらい、支援も受けながらやっていかないと」と期待を込めた。


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