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第6909号

【主な記事】

起業や移住を促進
[野田総務大臣]ふるさと納税で支援


 総務省はクラウドファンディング型ふるさと納税(寄付)を活用して起業や移住を促進する支援策を来年4月から実施する。ファンドで集めた寄付金に自治体が上乗せする場合は、特別交付金で支援する。
 自治体間で返礼品競争が過熱する中、同省では返礼品で選ぶのではなく、応援したい事業を選択する形のふるさと納税を提唱していく。
 野田聖子大臣は10月27日の閣議後の会見で「地方が力強さを維持していくのには人が大事。今回の政策は人を軸にした」とその目的を強調した。
 新たな地方創生支援策は「ふるさと起業家支援プロジェクト」と「ふるさと移住交流促進プロジェクト」「優良事例集の作成による横展開の促進」の三つ。
 野田大臣は「人が地域で安定して生きていくには起業は有効で、大企業のない地方には大切なこと。一方で、その町に関心を持っている人との絆を持ってもらう仕掛けを作っていく」とその狙いを述べる。
 ふるさと起業家支援プロジェクトの仕組みは、地域の課題解決につながる事業を立ち上げる起業家に対して、自治体がふるさと納税の寄付者向けファンドを設置、賛同者から資金を募る。自治体がこのファンドに上乗せして資金を補助すれば、総務省がファンドの資金を超えない額を基準に特別交付税として支援する。自治体の上乗せ額の50%が交付税として自治体に戻ってくる仕組み。
起業家への支援として、現状では民間金融機関からの融資もあるが、審査が厳しいうえに利益を出さなければならないこともあり、小さな規模の起業はしづらい環境にある。
 同ファンドでは配当やリターンを求めないが、寄付者を「ふるさと未来投資家」として、継続的なつながりを持つため、事業報告や見学会の開催、新製品の贈呈などを奨励している。
 野田大臣は「ふるさと納税は寄付だから見返りを求めないのが基本。地域に関わっていきたいという声があり、寄付で起業家にその夢を託してもらう。夢が実現すれば、優待のような形で戻ってくる新しいコンセプト。お互いウィンウィンの形ができればいいと思う」と述べている。
 ふるさと移住交流促進プロジェクトは、クラウドファンディング型ふるさと納税を活用して、移住交流促進事業を実施する。ふるさと未来投資家は町に何らかの関心を持っている人でもあるため、継続的なつながりを持つ取り組みについては、モデル団体を対象に特別交付税を通じて財政支援を行う。
 移住体験や就職支援、移住定住のための情報発信といった移住・定住対策の具体的な取り組みには特別交付税の措置で支援する。


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