「通信文化新報」特集記事詳細

 年/月

第6904・6905合併号

【主な記事】

資金シフトはなし
[民営化委]限度額引上げで

 第174回郵政民営化委員会(岩田一政委員長)が9月29日に開かれ、総務省と金融庁に対して、金融2社の限度額引き上げ後の状況についてヒアリングが行われた。両省庁とも「資金シフトは起きている状況ではない」と分析している。
 昨年4月から実施されたゆうちょ銀行とかんぽ生命の限度額については「引き上げ後の競争関係に及ぼす影響や経営状態を民営化委員会に報告すること」とされている。
 総務省と金融庁の説明資料によると、ゆうちょ銀行の限度額引き上げ後の個人の貯金残高(昨年3月末から6月末まで)は、約3.1兆円増の約177.5兆円。流動性預金(通常貯金と振替貯金)は払戻しの減少により増加する一方で、定額貯金、定期貯金は減少している。他の金融機関でも同様に、個人の預貯金残高は増加し、定期性預貯金が減少するという傾向がある。限度額の引き上げについて、総務省では「ゆうちょ銀行については、利用者利便の向上や郵便局の事務負担の軽減などの観点から効果があった」と評価している。
 かんぽ生命保険は、引き上げ後(昨年3月末から6月末まで)の個人保険の保有保険金額は、約2.8兆円減の87.7兆円。4月の保険料率の改定前は新規契約の保険金額が増加したが、他の保険会社も同様に増加。同保険契約は大手保険会社も同様に減少傾向にあり、顧客のニーズが高額な死亡保険から医療保障にシフトしている影響とみている。
 岩田委員長によると、ゆうちょ銀行について、総務省は「残高は増加しているが、他の業態に比べて大きく伸びているわけでなく、業態別増加率は一番低い。他の金融機関からの資金シフトが起きている状況ではない」、金融庁は「各業態ともばらつきはあるが、預貯金残高は増加しており、全体でみると特段のシフトは見られない。流動性預貯金に滞留しているのは注意深くみていきたい」との見解だと言う。


>戻る

ページTOPへ