「通信文化新報」特集記事詳細

 年/月

第6900号

【主な記事】

農家との絆を深める
「ぶどうゆうパック」を拡大
愛知県知多連絡会


 民営・分社化で激減
 国内の「ぶどう」の生産・収穫量というと、山梨県や長野県がすぐに思い浮かぶだろう。平成27年度の果樹生産出荷統計によると、全国1位は山梨県で4万1600トン、2位は長野県で2万8300トン、続いて3位が山形県で1万8200トンとなっている。また、東海地方の愛知県が8位に入っており、4450トンとなっている。
 愛知県知多地区連絡会(齋藤徹統括局長/半田成岩)では、民営・分社化以前は、生産農家と密接に連携し、ゆうパックで全国に発送していた。しかし、集荷ができなくなったことなどで次第に疎遠となり、ゆうパックの利用が激減した。それを打開しようと一体営業の仕組みを利用して集荷体制を再構築、ゆうパックの拡大に大きな成果を上げている。
 8月中旬、齋藤統括局長、郵便・物販担当の河内直由副統括局長(東海大田)、総務担当の大野信一路副統括局長(協和)と共に生産農家(山銀ブドウ園)を訪ね、郵便局との連携や取扱状況などを取材した。
 ちなみに、愛知県の市町村別栽培状況は①大府市66ヘクタール②東浦町62ヘクタール③東海市33ヘクタール④岡崎市31.5ヘクタール⑤豊橋市22.3ヘクタール。また、愛知県におけるぶどうの主な品種構成は①巨峰(68%)②デラウェア(9%)③ピオーネ(4%)④シャインマスカット(3%)⑤安芸クイーン(1%)となっている。

 一体営業で再構築
 きめ細かな対応
 民営・分社化以前は、旧特定局(エリアマネジメント局)でそれぞれ個々の郵便局が周囲の農家と親密な関係を保ちつつ、集荷を行いながらきめ細かな対応を通して、ぶどう生産者と良好な関係を築いていた。
 それぞれの郵便局が毎年、農園と折衝しながらゆうパックの差出しはもとより、郵貯や簡保などの利用に至るまで、良好な関係を保っていた。
 ところが、民営・分社化後、個々の郵便局での集荷ができなくなったことで、農園とのつながりが次第に疎遠となり、集配局での集荷体制を第一義とするよう移行の再体制をとったものの、競合他社の攻勢もあってゆうパックの利用が激減してしまった。
 これを打開するため、大府・東浦のぶどうを対象に、単独マネジメント局とエリアマネジメント局の垣根を取り除き、一体営業の仕組みを利用して集荷体制をもう一度見直すことで、一度離れてしまった農園との関係を再構築し、東海支社の営業統括本部を交えて「ぶどう会議」を実施することになった。
 その前提として、シーズン料金を適用することになり、競合他社からの奪還営業をエリアマネジメント局が攻勢をかけ、単独マネジメント局と営業統括本部が毎年打合せを行うことで拡大路線をとることができた。
 ゆうパック差出し個数の推移は▽平成20年=2万個▽25年=3万736個▽26年=4万6882個(Y社・S社値上げ)▽27年=6万978個▽28年=4万7219個(日本郵便チルド値上げ)▽29年=5万2000個(予定)となっている。
 取扱量が順調に推移していることについて、齊藤統括局長は「その過程における価格戦略もさることながら、毎年、農園からのヒアリングを実施し、体制や仕組みを改善したことも大きな要因である。エリアマネジメント局長は、絶えず農園に顔を出しながら、意見や要望を聞き出し、配達担当に情報提供するなど、決め細かな対応をしている」と語った。

 独自施策として
 「巨峰」を取り扱う
 知多連絡会として「大府のぶどうを広くお客さまに知っていただき、味わっていただきたい」との思いから、平成20年から地域施策として「巨峰」の取組みを開始した。
 最初の3年間は「大府の長根山ぶどう組合」を利用したものの、品質面や安定供給の面で問題があり、23年から「山銀ぶどう園」と連携した。
 最初は700個そこそこだったが、昨年は2330個までに伸ばすことができた。また、「山銀ぶどう園」に加え、3年前から「あさだフルーツガーデン」も加え、地区施策としてチラシ作成を実施している(500個/名古屋南部連絡会)。

 郵便局を応援したい
 生産農家「山銀ぶどう園」を訪ね、巨峰が所狭しとたわわに実をつけている下で話を聞いた。鈴木直文社長は2代目で、20歳の頃から先代の手伝いを始め、現在は6か所のぶどう園(6000坪)を経営している。
 郵便局との連携は7年目。品種は巨峰を中心に、シャインマスカットやピオーネなどを生産しており、「生産者としてより良い品質のぶどうを追求し、ゴールはない。今後も郵便局を応援していきたい」と語り、ぶどうの生産に関する説明を詳しくしてくれた。

 今年の取り扱いは
 過去最高の勢い
 河内副統括局長は、「今年は大きな天候の乱れもなく、順調に出荷ができている。また、集荷も順調に推移しており、競合他社の値上げもあってゆうパックへの切り替えも見受けられ、昨年を上回る状況である。7月分は前年度比134%、8月分も138%となっており、ゆうパックの引き受けは9月に入ってもまだもう少し続くので、過去最高の6万978個を超える状況である」と笑顔で語った。


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