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第6898号

【主な記事】

郵便局はユニバの維持を
野田総務大臣 地方の声すくい上げる


 野田聖子総務大臣の閣議後の会見が8月8日に開かれた。「今後の郵便局の在り方」や「地域活性化」「ゆうちょ銀行の限度額引き上げ」などについて記者の質問に答えた。野田大臣は「地域を良くする運動を祖父から引き継ぎ政治家になった。その足跡をたどりながら、甘えずに、厳しい情勢だから、自分のカラーも出していきたい」と“仕事人内閣”の一員として、野田大臣流の政策に意欲をみせた。

【地域活性化】
 地域活性化について野田大臣は「地方創生が始まり3年が経過して、地方の税収は数字が上向いており、これまでの取組みに一定の効果があったのは事実。持続可能な地方創生でなければならないが、厳しいのは人の問題。この3年で30万人以上が地方から都市に流出している」と前置きし、「人がいなければ地方創生はできない。地方に人が定着できるような政策や取組みが必要。それにどう応えていくのか。多くの人に知恵を出してもらえるようにしたいと思う」と述べた。
【今後の郵便局の在り方】
 郵便局をライフワークにしているという野田大臣。郵便局にはユニバーサルサービスの維持や郵便局の利活用などの課題がある中、今後どうあるべきかについて「最初に郵政大臣になった時に耳に残っている話だが、私たちは貯金をすることは当たり前だと思っているが、それは明治からの話で、江戸時代はそのような制度がなく、あるお金は使ってしまう国民だった。それを貯蓄に向けていくことには相当な苦労があったと聞いている」と郵便事業がたどってきた歴史を挙げた。
 そして「郵政民営化の時にはこれらの日本が積み重ねてきたことに対して、一つ一つ検証する時間があればよかったと思う。それらが議論されない中で民営化がスタートして10年になる。今はできないことがたくさんある。法改正した中でユニバーサルサービスはきちんとやろうということになった。しかし、地方は人口減少していて生活を支える基盤さえ厳しくなっている。郵便のユニバーサルサービスで、生きていくために必要最小限度のことをきちんとやろう。郵便局は今後も、どこにいてもユニバーサルサービスが担保できる場所であってほしい。そのために何をすればよいのか今、考えている」と述べた。
【ゆうちょ銀行の限度額の引き上げ】
 限度額の規制撤廃については「限度額は民業圧迫になるからセットされているが、そのようなことがなくなったなら民間並みの活動ができる。限度額が1000万円から1300万円に引き上げられ、民間金融機関にどのくらいの影響があったのか。データを出して検証し進めていきたい」と基本ラインを語った。
 また「郵便局の金融窓口は、地方に住む人には必要欠くべからざる場所。地方に住む人が不便に感じているという声をすくい上げることが地方にとって大切。地方の皆さんの勇気づけにもなると思う。私一人ではできないことなので郵政民営化委員会や金融庁とも連携し、エビデンスに基づいて進めていきたい」と限度額の撤廃に意欲を示した。
 8月10日に開かれた日本郵政グループの第1四半期決算の発表で、金融2社の限度額について、日本郵政の市倉昇専務執行役は「日本郵政とゆうちょ銀行、かんぽ生命は上場しており、規制はなくなっていく方が良いと思う。ゆうちょ銀行は運用先がないという事実もあるが、お客さまの利便性を考えると限度額はない方がよいといえる」と述べており、同グループとして限度額撤廃を歓迎する方針だ。
 ゆうちょ銀行は約180兆円の預金のうち、日本銀行の当座預金に約50兆円が運用されないまま預けられているが、同社は満期を迎えた貯金についても投資信託へのシフトを促しており現在、日本郵便の協力を求め、販売の強化に向けて体制を整えている。


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