「通信文化新報」特集記事詳細

 年/月

第6895号

【主な記事】

全国で申込受付を開始
「郵便局のみまもりサービス」10月から提供


 高齢者の自宅を郵便局の社員などが訪問して、生活状況を離れている家族へ伝える「郵便局のみまもりサービス」の申込受付が、8月7日から全国の郵便局で開始された。サービス提供は10月となる。
 基本サービスは「みまもり訪問サービス」と「みまもりでんわサービス」。これにオプションとして「駆けつけサービス」がある。
 「みまもり訪問サービス」は郵便局の社員などが月に1回30分程度、高齢者宅を訪問、生活状況を家族や自治体など指定された報告先へメールで連絡する。生活状況は体調や食事など基本の7項目に、ケガや病気など23項目の中から3項目を選択して合計10項目を確認する。料金は月額2500円(税別)。
 「みまもりでんわサービス」は毎日、決まった時間に電話(自動音声)で体調を確認、その日の状況を電話機のボタンを押して回答してもらったものを家族などに報告する。季節に応じた日替わりメッセージも楽しめる。固定電話の場合は月額980円、携帯電話は1180円(いずれも税別)。
 また、毎月の「みまもり訪問サービス」と毎日の「みまもりでんわサービス」をセットで申込むこともできる。
 さらに、オプションの「駆けつけサービス」は、もしもの時に警備会社(セコム㈱または綜合警備保障㈱)が駆けつけるもの。料金は月額で家族向けが800円(税別)、本人向けが1800~3100円(税別)。※駆けつけ料金は別途必要。
 この種のサービスは2013年10月から、これまで全国13都道県83市町村738局で試行サービスした(30分1980円)。今回はタブレット端末を活用、報告を郵送からメールに変えた。タブレット端末は2万台を郵便局に配備することにしている。
 確認する項目も増やし、より幅広く生活状況をとらえることができるようにした。さらに、希望により写真をメールで送るサービスも加えている。低廉な駆けつけサービスもオプションで加えるなどサービスを改善した。
 日本郵便は類似のサービスを行っている企業と比べても遜色のない料金に抑えており、事業として十分に行っていけると判断したと強調している。また、茨城県大子町から受託している「みまもり訪問サービス」は、今回の基本サービスと同じものを提供しているが、「毎月、郵便局の人が訪問してくれるのを楽しみに待っている」という利用者の声も事業化に至った理由の一つとなっている。
 利用者の獲得は数年で数万人を獲得するとしているが「設備投資もあり直ちに収益ということではないが、数年内には黒字に持っていきたい」という。利用は基本的には20歳以上の国内に住む人。特別な申込み条件はないが、サービスの性質上、会話が成り立つことが必要。介護認定を受けている人でも利用できる。

日本郵便 横山社長 社会的使命を果たす

 「郵便局のみまもりサービス」の申込受付の開始に当たって、日本郵便の横山邦男社長は「縁の下の力持ちになることを厭うなという前島密翁の信条に添って社会的使命を果たす。2万4000の郵便局ネットワークという日本で最高の社会インフラを活用、ユニバーサルサービスを提供するという社会に寄り添い、貢献していくための新たな一歩を踏み出せた。郵便局の安心・信頼のブランドを更に活かすサービス」と意義を強調する。

■「郵便局のみまもりサービス」について、8月7日(月)から全国の直営郵便局で申込受付を開始し、10月からサービスを提供することになりましたが、日本郵便にとってどういった意味を持つのでしょうか。
 サービスの全国展開に向けては、一部報道が先行するなどご心配をお掛けしましたが、社員の尽力でここまで辿りつくことができました。まずもって深くお礼を申し上げたいと思います。
 さて、私は常日頃から、企業の存立は社会的使命を果たすことが大前提であり、企業の成長は社会的使命の全うなくしてありえないと考えています。 
 社会的使命を果たすということは、社会と共生するということであり、前島密翁の信条である「縁の下の力持ちになることを厭うな。人のためによかれと願う心を常に持てよ」が我々の原点です。
 この精神のもと、全国に張り巡らされた2万4000の郵便局ネットワークという日本で最高の社会インフラを活用して、ユニバーサルサービスを提供してきました。
 これこそが、創業以来のDNAとして組み込まれてきた日本郵便の普遍的な使命です。
 我々は、この成果の証である「安心・信頼」という先輩方から受け継いだ最高のブランドを、時代の要請に対応しながら、更に発展させ続けなければなりません。
 我が国は、超高齢社会を迎えています。この大きな社会的課題を解決するために、日本郵便が果たすべき社会的使命、それが「郵便局のみまもりサービス」です。
 社会に寄り添い、貢献していくための新たな一歩を踏み出せたと考えています。

郵便局への絶対的な信頼感
ネットワークの価値向上
現場への支援体制を構築

■この「郵便局のみまもりサービス」について、郵便局が取り組む意義はどういった点にありますか。
 郵政事業は、明治4年の創業以来150年近くにわたり、一貫して地域に根付き、地域と共に成長してきました。現在、全国的にこれだけの規模でご家庭への訪問サービスを提供できるのは、郵便局をおいて他にありません。
 今年4月から先行実施している茨城県の大子町では、従来、町の嘱託職員として家庭を訪問していた方が、郵便局の社員として訪問しています。この社員は「郵便局」というだけで、高齢者の皆さまに温かく迎え入れてもらえることに大変驚いたとのことです。こうした地域の皆さまの郵便局への絶対的な信頼感は、まさしく郵便局の強みでもあります。

■「郵便局のみまもりサービス」は、どういったサービスなのですか。
 基本サービスとして「みまもり訪問サービス」と「みまもりでんわサービス」、オプションサービスとして「駆けつけサービス」があります。
 その中心となるのが、郵便局の安心・信頼のブランドを活かした「みまもり訪問サービス」です。郵便局社員が毎月1回30分程度、ご利用者宅を訪問の上、生活状況を直接確認し、タブレット端末を活用して、ご家族や自治体などに報告するものです。
 先行実施の経験を活かして、訪問時の様子を写真に撮り、報告書に添付できるようにしたり、確認項目の一部を契約者が自由選択できるようにするなど、お客さまのニーズにお応えしたサービスとなっています。料金は、類似のサービスを全国規模で展開している企業と比べても、遜色のないものとしています。
 また、みまもり訪問サービスの実施に当たり、2万台のタブレット端末を郵便局に配備することとしています。このタブレットがあれば、お客さまを訪問する際に、クラウドシステムの環境を活かして様々なサービスをご提供することができます。こうしたイノベーションの成果を取り込んでいくことで、サービス品質は更に高まり、例えば、質問項目に地域ニーズに特化したものを加えるなど、ご提供できるサービスメニュー拡大の可能性も大きく広がるものと考えています。

■どれくらいの事業規模を考えておられますか。
 最初は小さく確実にスタートしていき、将来的には数万人規模のサービスとなるよう育てていきたい。
 いきなり大きな利益を上げるというより、郵便局がこれまでに培ってきた地域の皆さまの信頼に着実にお応えすることによって、より一層の郵便局ネットワークの価値向上や顧客基盤の強化へとつながるものと考えています。

■実際に販売を行う郵便局に対して期待することは。
 サービスの提供を通じてお客さまとのつながりをさらに深め、営業の質を高めてほしい。何事も、現場、現物、現実が重要ですが、お客さまとの対話の中で、一人暮らしの高齢者やそのご家族が、日々どのような不安を抱えているのか、どのようなニーズやウォンツがあるのかが見えてくるもの。この情報が別のサービス展開につながる可能性もあります。自信を持って、サービスの魅力をお客さまにご説明し、お伝えしていく機会を積極的に作っていただきたいと思います。
 また、このサービスでは、お客さまへ営業を行い、申込の受付を担当する郵便局と、その後、定期的な訪問サービスを担当する郵便局とが異なることが多くあります。しかも、この二つの局が物理的に相当程度離れた場所にあったり、異なる支社の管内であるといった場合も十分想定されます。
 したがって、これまでにない新しいオペレーションを行うという側面を持っていますが、むしろ、現在の郵便局ネットワークが一層、厚みのあるものになるチャンスと考えています。本社・支社を挙げて、全力でサポートしていくこととしています。

■現時点での懸念事項について、どういった形で解決していこうと考えていますか。
 郵便局からの懸念の声が多い認知症の可能性のあるお客さまへの対応については、本社が中心となって、専門家の助言も得ながら、適切に対応していきます。場合によっては難しい判断を要する場合もあり、慎重に対応する必要がありますが、皆さんが不安に感じることのないようにします。対応事例が蓄積されていくことにより、徐々に解決できることだと考えています。
 また、自治体への提案のための説明資料やふるさと納税における関係部署の連携、更には利用者が急増した場合に備えて、OBへの委託によるサービス提供体制などについても準備を進めていくことも考えています。
いずれにしても、新しい取組みでもあるため、成功事例などの情報の共有を十分に行い、必要な対策があれば迅速に講じていくよう本社・支社の体制も整えました。

■最後に現場の社員の皆さんに一言。
 新たな挑戦にワクワクしています。郵便局が果たすべき社会的使命を実現するための、まさに郵便局にしかできない新たなサービスです。
 全社一丸となって取り組み、必ず成功させましょう!


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